2章 第15話Ci 森の息吹
『森の息吹』は女戦士であるクイーナをリーダーとした、魔物狩りを専門に行う冒険者パーティーである。今回はゴブリンの巣の有無を調査するという依頼で森を進んでいた。
「どう? シンディ。足跡は見つかったかい?」
「あるよー、三~四体でまとまって移動してるねー。さっき倒したのとは大きさ違うから、別のグループかな?」
槍を持つクイーナの問いに答えたのは、弓を片手にしゃがみ込み地面を凝視する緑色の髪をポニーテールに結わえたシンディであった。見た目こそ十五~十六歳に見えるが実年齢は三十近い、森人族の女性である。
「それぐらいの数なら問題ねえ、また俺が全部叩き切ってやるよ」
パーティーの戦士ワイルが両手剣を構えてにやりと笑いシンディの様子を窺うが、自分の方を見ようともしない様子にがっかりした表情を浮かべている。
「てめえは斬るだけじゃなく守りもちゃんとしやがれ、クイーナやシンディと違っててめえに手加減するようなゴブリンはいねーんだからな」
「捕まえる価値もねえ筋肉ダルマなんかにゴブリンが手加減する理由はねえからな? まあお前を『それ』目的で捕まえるようなゴブリンがいたら見てみたいもんだがな」
「ははっ、ちげぇねえ」
盾を持つ二人の戦士、エジーとリットンが品のない冗談を言ってゲラゲラと笑っているが、シンディとクイーナにとっては笑えない話である。
「まあまあ、それよりゴブリンの足跡はこの奥に続いているんですよね?」
それを宥めて話題を変える、このパーティーの最年少の魔術師トーリ。シンディの不機嫌そうな表情を見て気を使ったのだろう。
「そだねー。でもこの距離で二つのグループの足跡が見つかるくらいだから、巣があると見て間違いないかなー」
「巣があるならリーダー級が間違いなくいるだろうね。リーダー級が率いるようになると悪知恵働かせるようになるからね、あんたら気をつけるんだよ?」
「……しっ。……ゴブリンの声が聞こえる。あっち。数は……三、かな?」
「よっしゃ出番だ! エジー、リットン、行くぞ!」
「待ちな馬鹿! 私たちの任務は偵察……ああもう! 気をつけろって言ったばかりなのに!!」
走り出したワイルを追うように駆け出すエジーとリットンを静止しようとするクイーナだが、一足遅く三人は森の奥へと姿を消してしまう。
「シンディ、トーリ。馬鹿共を追うよ。シンディは周辺警戒お願いね」
クイーナは二人の返事を聞くと軽く頷き、先行する三人の後を追い駆け出す。交戦中の三人に一行が追いついた時、傷を負った一体のゴブリンにワイルがとどめを刺そうと剣を大きく振りかぶっていた。
「ギギッ、ギャー!!」
そのゴブリンは剣を受けながらも大声で叫ぶと、そのまま倒れ動きを止める。それを見た残った二体のゴブリンは盾を持つエジーとリットンに対して深追いをせず牽制するだけで、何かを待つような様子を見せ始めた。
「この馬鹿! こいつら仲間を待ってやがる、早く倒して逃げるんだよ!!」
シンディとトーリの放った矢と魔術による石礫に怯んだゴブリンは、エジーとリットンの片手剣と片手斧を避けきれずに体に受けて絶命する。
「何だよクイーナ、こいつらが仲間を呼ぶだって? そんなこと見たことも聞いたこともねえよ。それより魔石取り出そうぜ」
そう言って腰から大ぶりのナイフを取り出すワイル。
「あっちからゴブリンのグループが迫ってきてるよー!」
「リーダー級がいればゴブリンも頭使うって言ったばかりだろ、ゴブリン以下の馬鹿かお前は!」
「いや、でも五体や六体程度俺達なら余裕じゃねえか」
強硬な態度を崩そうとしないワイルだが、続いてシンディから発せられた言葉で顔を青ざめる事になる。
「クイール駄目、あっちとそっちの方からも足音してるよー。やばい、かな!」
「ちくしょう! 置いて行かれたくなかったら走りな! 囲まれたら終わりだよ!!」
そう言って踵を返すクイーナに、シンディとトーリも続いて走り出す。戦利品であるゴブリンの死体を置いていくことに難色を示していたワイルとエジーとリットンだが、置いて行かれてはたまらないと慌ててクイーナの後を追う。
先頭を走るクイーナの目に、木々を挟んで並走し、追い越していくゴブリンの一団の姿が見えた。シンディとトーリの放った矢と石礫によって一体は倒れたものの、そこまでが精一杯で完全に先回りされてしまった。
「正面の一団を突破して村まで走るよ! ……ちくしょう! エジー、リットン、後ろだ!!」
メンバーに指示を出すために振り返ったクイーナは、最後尾を走るエジーとリットンに背後から迫るゴブリンの姿を捉え声を荒げる。エジーは間一髪で盾で防ぐことが出来たが、リットンは攻撃を受け脇腹を小剣で貫かれてしまう。そのリットンを攻撃したゴブリンは、引き換えしたワイルの両手剣を受けきれずに縦に両断され、内蔵をぶち撒けながら倒れていく。さらにワイルはエジーの前のゴブリンを攻撃しようとするが、別のゴブリンが茂みから飛びかかりワイルの左腕を切り裂いたことで足を止めてしまう。
「ちくしょう! シンディ!!」
「はいよー……水の癒やしよー」
クイーナの声でシンディも引き返し、まずはリットンの脇腹に、次いでリットンと最後尾を代わったワイルの左腕に癒やしの術をかけていく。その時前方を警戒していたクイーナの前に四体のゴブリンが姿を表し、ゲギギッと声を上げながら襲い掛かってきた。クイーナはその一体を槍で突き、もう一体を蹴り飛ばし、トーリの石礫で怯んだ一体の足を払い転ばせるが、飛び込んできたもう一体の小剣を避けきれず、腹部に浅い傷を負ってしまう。そして何とか最後の一体を倒し終えた頃には、また別のゴブリンの一団が姿を見せるのであった。
シンディは次々と傷を負っていく仲間たちに必死に癒やしの魔術を使いながら、自身も弓を手にゴブリンを屠っていくが、乱戦となり弓の弦が切られ腰の片手剣を抜き応戦していた。気づけばゴブリンの数はこちらの倍まで増えており、皆防戦一方で逃走はおろか眼前の一体のゴブリンにすらまともにダメージを与えられない状況が続いていた。そしてその均衡を崩す言葉が、シンディの口から発せられる。
「もう駄目ー、魔力切れだよー……」
それを聞いたワイルがあからさまに防御を固め始め、その横をすり抜けた一体のゴブリンがトーリへと飛びかかり、手にした小剣を振り下ろす。肩口を大きく切り裂かれ膝をつくトーリにとどめを刺そうと剣を突き立てようとするゴブリンだが、間一髪でクイーナがゴブリンへと槍を突き立て、事なきを得るトーリ。しかし無理な体制で槍を突き立てたためかクイーナ自身はバランスを崩し、そこに振るわれたゴブリンの石斧が左腕へとめり込み、鈍い音を立てる。
シンディは二体のゴブリンから同時に飛びかかられて地面へと押し倒され、ゴブリンはそのままシンディの上着の襟首に手をかけて引きちぎり、小振りだがしっかりと膨らんだ二つの膨らみを露わにさせる。ギギッと声を上げながらニタアと笑うゴブリンを思い切り蹴り飛ばすシンディだが、その際に足をくじいてしまう。もう一体も胸に気を取られているうちにシンディは剣を振るって引き剥がそうとするが、前部を引き裂かれたシンディの上着の襟を掴んで引き摺り倒そうとしたため、やむを得ずシンディは上着を脱ぎ捨ててゴブリンを引き剥がすことに成功する。
「もーやだよー、そんなもの見せつけないで欲しいかなー」
左腕で胸を隠しながら引き剥がしたゴブリンと対峙するシンディの目は、ニタアと笑うゴブリンの下半身に屹立する男性のモノを捉えていた。更にシンディのその姿を見たゴブリンが徐々にシンディとクイーナの方へと下半身の一部を屹立させながら集まるようになり、シンディとクイーナは恐怖に顔を引き攣らせ始めていた。その時ワイルはゴブリンの包囲網が緩んだことに気が付き、その原因であるシンディの姿を視界に捉え、近くにいたエジーとリットンにだけ聞こえるような声で逃げるよう提案した。
「てめえ、クイーナとシンディ置いて行こうってのか!」
「女ならしばらくは殺されねえ! 後から助けに行くって手もあるだろ、このままじゃ全滅だ!!」
激高するエジーだったが、ワイルのその言葉に反論することができなかった。
「あ、あんたら……私達を置いて行こうってのか……?」
ゴブリンはあからさまにシンディとクイーナの方へと距離を詰めており、その時包囲の輪が完全に崩れた。そこにまずはワイルが、次いでトーリ、リットン、エジーと続けざまに走り込み包囲網を抜ける。
「ちくしょうがああああ!! てめえら死んじまえ!!」
叫ぶクイーナに一瞥もせず、ひたすら逃げるワイル達。しかし数体のゴブリンがワイル達を追ったおかげで二人の包囲が僅かに緩み、この間必死でゴブリンの少ない方向を探っていたシンディがクイーナを連れて森を抜ける。その間にクイーナが片手で振るっていた槍は折られ、岩肌を見つけてそれを背に囲まれないよう耐えるが徐々にゴブリンが増え諦めかけたその時、森から放たれた何発もの魔術がゴブリン達へと降り注いだのだ。
「とまーこんな感じだよー。間一髪だったかな? ありがとねーレイアスくん」
緊張感の欠片もない話し方をするシンディだが、それを背負って走るレイアスはシンディの細い体が小刻みに震えている事に気付いており、口調についてとやかく言うことはなかった。
「治療魔術が使えるんだな、それなら明日にはある程度動けるな……よし、村に着いたぞ。エリー、追撃の様子は?」
「大丈夫よー、今のところ近くにゴブリンはいないよー。アタシみんなよりちょっとだけ耳が良いの、索敵は得意かも?」
「かも、って何だよ……まあいいや」
「裏門前、人影……多分『森の息吹』の三人」
先頭を走るサラが裏門前に立つ男たちの姿を視界に捉え報告する。最後尾のエリーシアは、自分の仕事を取られたうえレイアスにひっついているシンディが気に入らず、不機嫌顔を隠そうともせずただ走り続けていた。
「あ、ありがとう、レイアス……その、仲間を助けてくれて……」
門の前に着くとワイルがレイアスに頭を下げるが、そこにクイーナがつかつかと歩み寄り、無事な右腕を振り上げて全力で殴り飛ばし、残りの二人の顔を一瞥する。
「トーリは?」
「あいつは怪我が酷いんで、中で休んでる……」
「そうかい。お前らはそのまま朝まで歩哨続けてな」
そう言って返事も待たず、すたすたと村への門へと進むクイーナに続き、レイアス一行だけではなくシンディも一言も男達と話すこと無く門をくぐり、村に中についた頃には完全に日が落ちていて、村内の所々に篝火が焚かれていた。一行は村で一つだけの宿に向かい、それぞれの部屋に別れて休息を取ることにする。
「おー、何か思ったより魔力回復してるよー。クイーナ腕出して、治療できるかも」
「ああ、頼んだよ……シンディ、すまないね……」
クイーナはそう言うと思いつめたような表情を浮かべ、シンディに視線を合わせるよう正面から向き合う。
「シンディ、聞いてくれ。……『森の息吹』を解散する。そして私は……討伐専門冒険者を降りようと思う。もう歳だし、いい機会だよ……」
「うーん……はい、治療済んだよー。アタシも足治そうっと……仕方ないよねー。アタシも最近ワイルのアプローチがしつこくて嫌な感じだったし、そのアピールだか知らないけどクイーナの指示を無視して勝手に動くようになって連携悪くなってたもんねー。命あっての物種かも? それに今回、レイアス達がいなかったら、アタシ達……お嫁に行けなくなってたかも!?」
真剣なクイーナとは正反対に、能天気に明るく話すシンディ。しかし僅かにその体が震えていることを、クイーナは気付いている。
「私はもう結婚してるってば。ただ子供もできなかったし、旦那は早くに無くしてるし、再婚する気が無いだけよ。……クーリオンに戻ったら、採集専門のパーティーにでも入れてもらうわ。だから今回が最後の仕事……よろしくね、シンディ」
「うん、最後までがんばろー。アタシは戻ったらどうしようかなー。あ、レイアスのパーティーに入れてもらうのも良いかも? あのパーティーならすぐにお金も溜まりそうかもー♪」
「あんたはほんと、いつだって能天気に振る舞うね。……おかげであの岩肌まで追い詰められても、諦めずに済んだよ。とうとう、あんたに救われることになっちまったねぇ……シンディ、ありがとう」
そう言ってクイーナは治療してもらった腕でシンディを抱き寄せ、優しく頭を撫で付ける。間もなくシンディの鼻を啜る音が部屋に響き渡り、クイーナはシンディが落ち着くまで抱きしめ頭を撫で続けていた。
「ゴブリンの巣がある方向はだいたいわかった、情報感謝するよ。で、それは良いとして俺らのパーティーにシンディを、ってのはどういうことだ?」
「そのままの意味よ。私ら『森の息吹』は解散するので、シンディをそちらのパーティーに推薦したいのさ。といっても正式に解散するのはクーリオンに戻ってからになるけどね」
クイーナとシンディが改めてお礼と情報交換をしたいというので、宿の食堂に集まり会話をする一行。その中で突然パーティー解散の話を聞かされ、戸惑うレイアスたちであった。
「クイーナ達を見捨てて逃げるような連中とじゃ、一緒にやっていけないわよね……」
呆れたような表情をしながら話すエリーシアだが、クイーナは首を横に振って口を開く。
「冒険者は自己責任よ。私はあいつらの行動について、彼ら自身が生きるため必要なことだからこれ以上責める気はないわ。ただ、見捨てられた一個人としてぶっ飛ばすくらいは許されると思うのよね。でも今回の件はきっかけにすぎないわ。……私ももう年だからね、戦闘専門のパーティーからは足を洗うことにしたのさ。クーリオンの近場で採集とたまにゴブリン退治くらいならなんとかなるからね」
「それにクイーナにぶっ飛ばされたワイルってゆー奴が、最近何かとしつこくって困ってたんだー。アタシは単にお金を稼ぎたいだけだから、レイアスくん達みたいな稼げるパーティーに入れて貰えたら嬉しいかな? それに、男ばかりのパーティーにアタシ一人入るのは流石にちょっと怖いかなー。アタシもそうだけど、エリーシアさんやサラさんみたいな女の子の冒険者って少ないからねー。中でも戦闘専門のグループとなると、『森の息吹』が解散したらクーリオンにはレイアスくんのパーティーだけになっちゃうかも?」
「治癒魔術が使えて、しかも斥候としての腕も確かなんだろ? 冒険者としては一流で、俺達が持っていない技術がある。パーティーとして考えれば歓迎したいんだけど、問題はこちらの方針に付き合えるかどうかだ」
そのレイアスの言葉を聞いたエリーシアは少しばかり嫌そうな顔をするが、何も言わずに次の言葉を待っている。
「俺達というか、俺の目的なんだが……俺は、魔人族を探している。というか、生命魔術を使える者を、だ。エリーもサラも、俺に付いて来てくれているだけで、今冒険者として動いているのも魔人族のいそうな場所へ行けるだけの実力をつけることとお金を稼ぐためだ。魔人族は北の紛争地帯に隠れ住んでいるという噂と、隣の大陸に存在しているという書物を読んだ。場合によっては長距離の移動もあるし、着いてこれなければそこでお別れになる。それでも良ければ、力を貸してもらえると助かる」
「それなら全然問題ないよー。アタシ元々世界樹のあるアトリオンの生まれだから、どこでも行けるかな。アタシはお金を稼いでアイテムバッグを買って、いろんなところから珍しい作物を集めて農園を開くのが夢なんだー。だから隣の大陸行くのなら、こちらからお願いしたいかも!」
身を乗り出して手を伸ばすシンディに応え、レイアスも手を差し出して握手を交わす。シンディの隣ではクイーナが安堵した表情を浮かべ、レイアスの隣のエリーシアはわずかに残念そうな表情を浮かべている。
「それじゃー決まったところで、レイアスくんちょーっとだけ席を外してもらってもいいかな? 女の子同士で話したいこともあるかもー?」
「ん? ああ、それなら歩哨に出てるワイルだっけ? 彼らの様子でも見てくるよ。……そう言えばもう一人いなかったっけ?」
「魔術師のトーリだねー、死ぬような怪我じゃないし治療してもトーリの魔力がすっからかんで役に立たないから、明日にでも治療するよー。万が一今夜ゴブリンの襲撃があったらって考えると、一回でも多く治癒魔術を使えるよう温存したいかなー」
「ああ……納得した」
レイアスはトーリという魔術師にご愁傷様と心の中で呟くと女性陣に背を向け、ひらひらと上げた右手を振って宿を後にする。
「女同士の話って何?」
「エリーシアさん、レイアスくんの事大好きなんだねー。サラさんもかな?」
「な! あたしは別に、あいつのことなんて……ただの幼馴染だし……」
「私は、好き。エリーと一緒」
シンディの言葉に顔を真っ赤に染め上げて反論するエリーシアだが、サラはお構いなしに直球を放り込む。
「ちょ、ちょっと! サラ!?」
「あー、やっぱり? レイアスくんにおんぶしてもらった時エリーシアさんの顔が引き攣ってたからねー。何かごめんね? 大丈夫、万が一レイアスくんとそうなっても独り占めしないよー?」
「シンディさん……レイに気があるんですか?」
「ん? 無いよー?」
シンディを睨みながら問いかけたエリーシアだが、その返事に毒気を抜かれてポカーンとしてしまう。
「え、だって、万が一そうなったらって……」
「レイアスくん、格好いいし強いし助けてもらったし、好感度はかなり高いかな? でも流石に今日会ったばかりだしー、先の事はわからないから、万が一そうなったらって言ったの。だからレイアスくんとそういう関係にならないとは約束できないけど、独り占めはしないってゆー約束なら出来るよ? だから、できれば仲良くして欲しいかな?」
そのシンディの言葉に、何と返せば良いのか悩むエリーシアに、クイーナが苦笑を浮かべて語りかける。
「エリーシアさん悪いね、シンディはこういう飄々とした娘でね。ただ一つ確実なのは、シンディは恩を仇で返すような真似だけはしない。この娘が私達のパーティーにいたのだって、以前一人で活動していたシンディを私が助けたからなんだ。以来ずっと私に付いて来てくれた。だから私達を助けてくれたエリーシアさんとサラさんに義理を欠くような真似は絶対にしないよ。たとえ恋愛絡みでもね」
「そ、そういう事なら……」
「……シンディさんも、一緒」
「サラさんありがとー。でもそこはまだわからないから、保留にして欲しいかな? エリーシアさん、ありがと。よろしくね?」
そう言って右手を伸ばすシンディに応え、エリーシアも右手を伸ばし握手を交わし、次いでサラも同様に握手を交わす。
「サラで、いい」
「じゃあアタシの事も呼び捨てにして欲しいかもー」
「エ、エリーで良いわ……よろしく、シンディ」
その後は女冒険者として困る着替えや身だしなみや生理現象について等、男性には聞かせられない話で盛り上がる。尽きぬ話に時間を忘れる四人だが、その話は宿に飛び込んできたエジーの一言で終わりを迎える。
「南の森からゴブリンが出てきてやがる! 奴ら村を襲うつもりかもしれねえ!!」




