5章 第34話H 絶対に守ると決めた
『ドゴン!!』
うそ、だ。
ヴァンの剣で首を刎ねられ、尻尾の一撃で胸から上が潰されたロックの体が、床を突き破って消えていった。
「ロック……ロック!?」
穴に駆け寄って声をかけたけど、返事がない。
床の下にあった大きな部屋は、瓦礫が巻き上げた土煙が邪魔で何も見えないし、魔力視は部屋いっぱいの濃密な魔素のせいで何も見えない。
壊した魔素収集装置からこぼれたものが、全部流れていったんだろうか。
「ヒデオっ!!」
『ゴウッ!!』
引っ張られて上体を反らした俺の目の前を大きな火の玉が通り過ぎ、俺の前髪を焼いた。
穴の下から火の玉が爆発した音が聞こえ、少しして近くでゴトッとという音がした。
音のした方に顔を向けたら、そこには見覚えのある人の頭だけが転がっていて、俺はその顔と目が合った気がした。
馴染みのある黒髪で、ツノが消えたいつも通りの、ロックの頭。
義体なんだから、それでロックが死ぬことは無い。
そんなことわかってるのに、あまりの現実感のなさに頭がついていかない。
その時だ。
シャクッという氷を削るような音の直後、俺の背中に痛みが走り、何かがのしかかって来た。
「ぐはっ……」
「がはっ……」
むせる声が背中からのと重なって、俺の口から血が溢れ出した。
胸が焼けるように熱い。
視線を落とすと、左胸から白い切っ先が覗いている
振り向くと赤いヴァンが剣を鞘にしまうところだった。
それを見ながら、俺と一緒に串刺しにされたらしいキンバリーと一緒に、床の穴へ吸い込まれるように落ちていった。
焦げ臭い匂いに目をやると、黒焦げになったロックの義体が目に入った。
すぐ近くで聞こえる呻き声に目を向けたら、キンバリーが肩で息をしながら、落下の衝撃で折れたらしい足を引っ張って伸ばしている。
俺の義体を見ると、魔石スレスレの位置に穴を空けられていたものの、動くことには問題は無さそうだ。
でも右足だけがびっしょりと濡れてる。
……ロックの、ミニスライムが……張り付いていた、場所だ。
スライムは……どこにも見当たらない。
「どうです? 動きそうですか?」
突然上から聞こえてきたかすかな声に、耳を傾ける。
赤ヴァンの声だけど、誰と話しているんだろう。
「問題ありませんね。私もナナを殺す瞬間を直接見たかったのですが、のちに記憶を共有する時を楽しみにしていますよ」
「私も更なる高みへと至るであろう力と記憶を、楽しみにしていますよ。では私は道すがら、残りの記憶を読み取るとしましょう」
何を話しているんだろうと思っていたら、天井の穴から黒い塊が振ってきた。
「おや? キンバリーはともかくヒデオまで生きているとは思いませんでしたよ」
黒い塊。スライム化した、ヴァンだった。
ただ下半身は完全にスライムで、上半身は俺がさっき真っ二つにしたものを、無理矢理くっつけているような奇妙な姿だ。
「何で……てめえはさっきヒデオがぶった切った……いや、そうか。てめえ赤いやつの中に入っていたヴァンの一つだな?」
「一つとは失礼ですねえ、これでも私達は生きているのですから、物のような数え方は気に触りますね。ですが貴方達と話をしていられるほど、私は暇じゃあないんですよ。私はこれから私自身を増やし、そこの古竜を吸収しなければいけないのでね。ついでに貴方達も吸収して差し上げますから、ここで死んで下さい」
ヴァンが光線魔術を何条も放ち、その数本が俺に向かっているのが見えた。
ああ、俺もここで死ぬのか。
俺、何してんだろ。
俺のせいでロックがやられた。
姿が見えないけど、多分アネモイさんも。
俺なんかを、助けるために……。
「クソ野郎が! 腑抜けてんじゃねえええ!!」
いきなり首の後を引っ張られ、そのまま投げられ壁にぶつかった。
キンバリーに投げ飛ばされたらしい。
そのキンバリーはさっきまで俺がいた場所で剣を振り、光線を放ち、ヴァンの光線を防ごうとしていた。
でも剣は焼き切られ、打ち消しきれなかった光線がキンバリーの体にいくつもの穴を空けた。
「があああああ!! クソ痛えぞ畜生!! だがよ、こんなもん女神様の涙を見たときの痛みに比べりゃ、どうってことねえんだよクソが!!」
キンバリーが叫びながら、落ちていた俺の刀を拾ってヴァンへ斬りかかっていった。
……女神、様。
……ナナ……。
「ヒデオてめえゴラァ! 御大層に女神様の幸せについて語っておきながら、こんなところで諦めてんじゃねえぞ!! てめえが語った愛や幸せってのは、ここで終わって良いもんなのかよ!!」
キンバリーが振るう刀がヴァンのスライム状の腕を切り落とし、光線を弾きながら胸をえぐる。
だがその瞬間、ヴァンの足元のスライムが何本もの槍状に伸びて、キンバリーの体を貫いたのが見えた。
「ぐああああああああああ!!」
(パチャッ)
キンバリーの悲鳴にまぎれて、どこからか小さな水音が聞こえた。
焼け焦げたロックの義体の近く。
そこに小さな緑色のスライムと、ずぶ濡れの緑色の髪をした少女。
まさか……ロックとアネモイ?
「……俺様は……俺様は、諦めねえぞ! 愛も幸せもよくわからねえが、そいつは嬉しいもん、温けえもんだってのに気付いちまったんだ! だからヒデオ、俺様もてめえの幸せを願ってやる!! 愛してるぜ畜生がああああ!!」
馬鹿野郎。
俺に向かって愛を叫ぶなってば。
ああでも目が覚めたよ!
情けない……情けないよ!!
いつもいつも俺は、ナナに守ってもらって、ロックに守ってもらって、そして今もキンバリーに守ってもらって。
全部……全部! 俺が弱いから!!
もう誰も死なせない!! 俺も死なない!!
キンバリーが自分に刺さったスライムの槍を切り捨て、またヴァンに斬りかかっていった。
今行くぞ、キンバリー!
俺は、生きて帰るんだ!!!!
――汝、力を欲するか
ああ! どんな力だろうと使ってやる!!
――力を、欲するか
誰か知らないけど、欲している! 今すぐ寄越せ!!
って、何だ? いきなり視界が真っ黒に染まったぞ!?
……何だよこれ!
誰だか知らないけど、邪魔をするな!
ロックとアネモイがヴァンに見つかる前に、ヴァンを倒さなきゃいけないんだ!
今戦っているキンバリーを助けに行かなきゃいけないんだ!
「何のために力を欲する」
「誰だ!」
声のした方へ振り向くと、闇の中で巨大な竜が俺を睨んでいた。
この岩のような体表、地の竜か?
「何のために力を欲する」
「生きるため、そして守るためだ!!」
「力とはすなわち敵を討ち、滅ぼし、喰らうための――」
「うるさい!! 俺はロックを、アネモイを、キンバリーを……ナナを守れる力が欲しいんだ!! 滅ぼすためだけの力じゃない!!!!」
今更竜の睨みなんかに怯むかよ!
「ここに連れてきたのはお前か! 今すぐ俺を元の場所へ戻せ!!」
「力を以て何を成す」
「しつこいんだよ! 俺は守れる力が欲しいんだ!! 自分自身を、そして大事な人を守る力だ!!」
早く元の場所に戻せ!
そう思った瞬間、俺の視界が元に戻った。
見えているのは真っ暗になる直前と全く同じ、キンバリーが自分に刺さったスライムの槍を切り捨た直後だ。
とにかく立ち上がろうと壁の突起に手をかけたら、それが壁ごと砂のように崩れていった。
何だよこれ、壁じゃない? ……さっきの、地の竜? 古竜!?
――汝、守るための力を振るえ
……ああ、そうか。頭の中というか、俺の魔石に膨大な記憶と力が流れ込んでくる。
わかったよ古竜。遠慮なくお前の力、使わせてもらうよ!
俺の中にあるスライムの全てを出して、古竜の亡骸を吸収!
古竜が自分から吸収されようとしているせいか、滅茶苦茶早いな!!
でも今は一塊あればいい、義体を動かす分のスライムだけ回収だ。
全身が軽い。力がみなぎる!
その場から一気に加速し、肩で息をするキンバリーとヴァンの間に体を割り込ませ、再度ヴァンの下半身から放たれたスライムの槍を体で受け止める。
「……やっと、やる気になりやがったかよ……」
「待たせてすまない、キンバリー。あとは俺がやる」
その場にへたり込んだキンバリーから刀を受け取り、体の表面で止まっているスライムの槍全て一刀で切り捨てる。
「私の攻撃が効かない!? 何故だ!!」
「俺が古竜になったからだよ」
「何をバカげた……なん……だと……!?」
ヴァンの視線の先には、俺が残した橙色のスライムが取り付いた、力と記憶など存在の全てを俺にくれた古竜の抜け殻がある。
「みんなを守るため、俺はここでお前を斬る」
「貴方は、貴方は一体、何なのですか!?」
「ヒデオ・クロード。地の古竜から力を受け継いだ、ただのスライムだ」
スライムの槍を体の表面、正確にはその外側を包む古竜の鱗で防ぎ、じっとヴァンを見る。
いや、視る。
古竜の魔力があれば届くはず、魔力視最大出力。
……視えた。魔石は下か。
魔石は下半身のタールのようなスライム体の奥、不規則にゆらゆらと移動している。
腰を落とし右足を前に、刀を左の腰に構え、左の掌に古竜の鱗を出して刀身を握る。
刀身には地の魔素を圧縮し、左の掌を切り裂かないギリギリまで込める。
目を閉じて神経を研ぎ澄まし、スライム体の中をゆっくり移動する魔石だけを視る。
スライムの槍が、光線魔術が、俺の体表に浮く古竜の鱗に弾かれているのを感じながら、大きく息を吸い、止める。
『シャッ!』
左手から鳴る鞘走り。
抜いて一閃。
『パシャッ』
水のように粘度を失って散るヴァンのスライムの中から、真っ二つになった魔石が一つ。
そして水たまりに落ちる、ヴァンのゴーレムボディの上半身。
刀を振り切った姿勢のまま、警戒を続ける。
だがもう……ヴァンが動く気配は、無い。
……勝てた。
……守れた!
俺がロックを、アネモイを、キンバリーを守れたんだ!!
ありがとう、古竜……おまえのおかげだ!
――力を振るったのは汝
お前が手を貸してくれなかったら魔石視は使えなかったし、上半身に魔石があると思って無駄に攻撃してたと思う。
――我を納得させる理由を示したのも汝
それでも礼を言わせてもらうよ。
でもごめん、まずはみんなの様子を見ないと!
ロック! アネモイ!!
ロックは……サッカーボールくらいの緑色半透明のスライム体の向こうに、ヒビが入った魔石が見えるんだけど……気を失ってるのか触っても反応は無い。
アネモイは……これアネモイだよな? なんでいつものナナくらいまで幼くなってるのかわからないけど、呼吸はしてる。
それに二人をつなぐ魔力線と、ロックと俺をつなぐ魔力線もはっきり見えてる。
さっき魔力視の出力上げすぎた反動で見えやすくなったみたいだけど、これが繋がってるってことは二人共無事だ。
キンバリーは!?
振り返ると倒れたキンバリーを抱き起こす一組の男女がいた。あの二人は上で、スライムヴァンに融合させられてた吸血鬼じゃないか。
刀を空間庫にしまい近寄ると、キンバリーは俺を見てニヤリと口の端を上げた。
でもその肌は干からびて、髪の毛も真っ白になってる。
「やりゃ……できんじゃねえか……クソが……」
「喋るな、キンバリー。何だよこれ、力の使いすぎか? ……俺の血を飲め」
爪で左手首の動脈を切り、吹き出した血をキンバリーの口に流し込む。
こくん、こくんと喉を鳴らす音が聞こえるのに、キンバリーの体に力が全然戻らない。
確かに作り物の血だけど、それでも効果はあるはずなのに、何でだよ……。
「く、くく……もう……手遅れ、みてえだぜ……」
「ヒデオ様、既に我々もキンバリー様に血を差し上げたのですが……」
「キンバリー様の……魔石が……魔石があぁぁ……ぐううぅ……」
よく見るとキンバリーの胸の細い傷口から……割れた魔石が覗いている。
……槍の跡じゃない、これは……上で赤いヴァンに刺された傷……。
こいつこんな状態で、俺を庇って……馬鹿野郎……。
「ありがとよ、ヒデオ……なんか、よ……体が、軽くなったぜ……。魔石、やられてから……いや、もう少し、前からか? 俺様の体が、急に軽くなって……力が湧いてきていてよ……そのおかげで……今まで動けたんだろうがよ……」
「力が……? ああ、そうか……お前、ナナからも力が流れ込んでたんだな……」
キンバリーの割れた魔石に、二本の太い魔力線が繋がっている。一本は俺、もう一本は俺のと一緒に西へ伸びてる。間違いなく、ナナだ。
「どういう……ことだよ……?」
「俺もナナも、仲間や関わりの深い相手に、無意識に魔力とか供給してるらしいんだ。俺の息子と娘にも、ナナからぶっとい魔力線が繋がっててな……女神の加護とか言われてるんだぜ? ……それが、お前に繋がってる」
「ナナ……女神様の、加護……? 俺様なんかに……女神様が……は、ははは……ああ、そうか……」
涙なんて似合うような奴じゃないだろ、何泣いてんだよ馬鹿野郎……。
「なあ……てめえさっき、女神様からもっつったよな……女神様の加護はわかるけどよ……じゃあなんだよ、てめえとも……繋がってるってことか? ……ヒデオの加護とか、悪趣味、だぜ」
「うるさい馬鹿野郎……ぶっとばずぞ……」
「やってみろ、よ……もう、限界みてえだしよ……てめえになら、とどめを刺されるのも、悪くねえ……」
「限界とか言うな! お前は幸せを知りたいんだろ!! 俺はお前に愛についての勘違いを教えなきゃいけないんだ!! それにまだお前とは決着がついてないだろ!! 勝手に終わりにするな!!」
キンバリーと繋がる魔力線、何で薄くなってんだよ!!
俺の魔力も、古竜の魔力も送り込んでやるから、立てよ! 立って、くれよ……。
「ああ……あったけえ、なあ……でも、よ……いい加減に、しやがれ……てめえ、まだやることあんだろ……」
「キンバリー……」
「女神様のところに、行くんだろ? ……俺様も……げほげほっ、がはっ!」
「キンバリー!!」
苦しいはずなのに、穏やかな顔でこっち見るんじゃないよ。ちくしょう……。
キンバリーを抱き起こしていたフローレンスさんという吸血鬼が、俺と場所を変わってくれたので、だんだんと声の小さくなるキンバリーの口に耳を寄せる。
「俺様も……お前の……一部に、しやがれ……てめえのそのツノ、古竜の、だよな? さっき古竜を喰ったから……強くなったんだろ? 俺様の力も……あと、少ししかねえが……全部、持っていけ……」
「何、言ってんだよ馬鹿野郎……」
ツノって言われて気付いたけど、頭の横から二本、アネモイやテテュスみたいなのが生えてた。けどそれは今、どうでもいい。
視点の定まってないキンバリーの顔がこっちを向いて、右手を震わせながら伸ばしてきた。
その手をしっかり握ると、弱々しく握り返してきた。
「ヒデオ……二度と……女神様を、泣かすんじゃ、ねえぞ……今度は、てめえが……守れ……」
「ああ、約束する。もう絶対にナナを悲しませない」
「ああ……それと……エイブラハムとフローレンスを、頼んだぜ……」
俺からキンバリーにつながる魔力線、なんでどんどん薄くなっていくんだよ……。魔力も生命力も全開で送り込んでるのに……。
ナナからの魔力線もさっきより太くなってるのに……だんだん薄くなっている。
「あったけえ、なあ……女神様と、てめえからの力がよぉ……。……ああ……そう、か……これが……いや、これも、幸せってやつなのか……。女神様……俺様にも、見つけられた……ぜ……」
キンバリーの口の端が僅かに釣り上がったのが見えた直後。
キンバリーと繋がる二本の魔力線が、完全に……消えた。
「……馬鹿、野郎……一緒に帰ろうって言ったじゃないか……それなのに……うああああああああ!! キンバリーーーー!!!!」
ちくしょう!
ちくしょうちくしょうちくしょう!!
こいつはどうしようもない屑だったけど、前を向いて生きようとしていたのに!!
大嫌いだったけど、今のこいつとならいい友人になれそうだって思ってたのに!!
ちくしょう!
ちくしょう……。
……わかったよ。
お前の最後の望み、俺が叶える。
お前の全て、俺がもらう。
俺を守ってくれたお前の力、使わせてもらうよ。戦友……。
キンバリーの亡骸を抱き上げ、古竜に取り付く俺のスライムの元へ行く。
……ロックにいろんなもん食わされたけど、人を食うのは初めてだ。
ナナも……同じ気持ちだったのかな。
スライムにキンバリーの亡骸を乗せ、吸収を始める。
キンバリーの体の様々な情報が、記憶として俺の魔石へ蓄積されていく。
同時に、俺に中にいる地の古竜へも記憶が流れ込んでいるのがわかる。
ほんの数秒でキンバリーの体は俺のスライムに沈み、その全てが俺のスライムと一つになった。
そのスライムの一部を頭に乗せ、頭髪を全部吸収。
今俺の中には、地の古竜がいる。俺に力を貸してくれ。
――汝の望むままに
「キンバリー。俺と一緒に来い」
キンバリーの頭髪を再構築、俺の義体の頭髪と入れ替える。
生命力を失った白髪ではなく、不敵に輝く金色の髪だ。
俺を見て驚きすすり泣いているエイブラハムとフローレンスに向き直ると、揃って片膝をついて頭を下げてきた。
「二人はゲートゴーレムが使えるようになったら、ロックとアネモイを連れて一緒に来てほしい。俺はゲートをくぐったらすぐにナナのとこへ行くから、二人を頼む」
そのあと互いの自己紹介をしたりゲートゴーレムのことを説明したりし、古竜の吸収を完全に終え、義体の修理を終えた時、ロックの体がぷるんと震えた。
「ロック? ロック!!」
――持って……いけ……。
目の前に俺の身長より長い筒が落ちてきた。
……どう見ても大砲です。
「もしかしれこれ……帝都吹っ飛ばしたレールキャノン?」
返事がない。
代わりにもう一つ何か降ってきた。
バイクのヘルメット?
「使えってことか? ……わかった。ついでに一式借りて良いか?」
返事代わりにロックの体がぷるんと震えた。
会話もできないくらいのダメージなのか……すまない。それとありがとう、ロック。
というか今のは魔力線を通した念話みたいなものか?
……使えるな。
ゲートゴーレムが転移可能になるまで、あと三時間。
それまでに地竜……名前が無いと不便だな。
……イグアース。今からお前はイグアースだ。
――汝の望むままに
よし、じゃあイグの力で、俺にできることを教えて……いや、一緒に考えてくれ!
たった三時間しかないけど、エリーもサラもシンディも、ローラもハルトもティナも、そしてナナを守るため、イグの力を使いこなせるようになってやる!




