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英雄とスライム  作者: ソマリ
最終章 大戦編
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5章 第27話G+ 僕はただ、ナナさんに褒められたかっただけなんだ

 ロックさんと異空間内でスライムでの戦い方や活用例を聞きながら、決行の時を待つ。

 でも昼食を食べ終わると、ロックさんから作戦開始を早めることにしたと聞かされた。

 ゲートゴーレムが空間座標の把握をあらかた終えて、ゲートはまだ開けないもののゲートゴーレム経由で通信が可能になったらしく、最新の情報を得るためナナさんへ通信をつなぐ。


 それが終わったら作戦決行だ。


「こちらナナじゃ。たった今シアからザザッ……たのじゃが、セーナンにヴァンが出たらしく、今レーネと交戦中らしいのじゃ。一回りザザッ……らしく、これから確認に行こうと思っておる」


 空間把握が不完全なせいか雑音が入るけど、ヴァンが出たというのははっきりと聞き取れた。

 ロックさんと顔を見合わせてうなずく。

 これで勝機が増した。


『じゃあそっちは任せたよ。帝都のヴァンは最大で四体だね、連れ去られたお姫様助けてすぐ戻るよ。とりあえず通信と転移を阻害している装置を壊したら、一度連絡する』

「まさか正面から戦うザザッではなかろうの?」

『大丈夫、作戦があるから。ただ一~二体は直接そっちに飛んで行くかもしれないから、それだけ警戒しておいてほしい。じゃあ行ってくるよ』


 ああロックさん通信切らないでよ、僕にも一言くらい話をさせて!

 僕だってナナさんの仲間なんだってアピールしなきゃ!


『僕もナナさんの仲間だからね! だから僕に任せて、ナナさんは安心して待っててよ!』

「おお、グレゴリーもザザッ……巻き込んですまぬのう、ザザッ……のじゃ」


 通信切れた。

 なんか謝られちゃった。

 仲間だって認めてもらえてないのかな……こうなったら実力で、ナナさんの仲間だってことを認めさせてやるんだ!


「じゃあ俺達は南から迂回して帝都に侵入するよ。何か張り切ってるけど、無茶するなよ?」

「大丈夫だよ、ロックさん。こっちは任せて!」


 そして異空間の裂け目から出ていったロックさんとアネモイさんを見送って、僕は一人準備を進める。

 茶色い半透明な僕のスライムで、ダグ・アルト・ロックさんの偽物を作り、光学迷彩魔術で人っぽい姿に見えるようにする。

 そして僕自信はナナさんから貰った白いコートに身を包み、その上から光学迷彩で白い髪の毛が見えるように偽装する。


 そしてロックさんの異空間から、通常空間へと転移。

 これで転移反応は感知したはずだ。

 そしてオアシス周辺の砂漠に、僕の分体スライムをいくつも埋める。

 これで準備は全部整った。

 短距離の転移をもう一度行い、あとは真っ直ぐ帝都へ飛ぶ。

 さあ来い、ヴァン。



 日が落ちる頃になって、遥か遠くに二体の強い反応を魔力視が捉えた。

 ヴァンだ。

 まっすぐこっちに向かってきている。


 僕が空中で止まり、全速力で北へ飛ぶと、ヴァンは二体ともついて来た。

 ナナさんのフリもスライム製のダグとアルトもバレてないみたいだ。ヴァンから撃たれる光線魔術を避け、障壁で止め、闇魔素で重力を制御し風魔素で速度を上げる。


 通信阻害も、空間魔術阻害の結界も、魔素集積装置でやってることはわかってる。

 そこを破壊してしまえば、一気にナナさん側有利に傾くからね。

 その守りに加えて待ち伏せも必要となると、帝都にいると思われる残り四体のヴァンのうち、こっちに来るのは多くても二体という読み通り。

 でもこれ……うーん。できれば夜明けまで引っ張りたかったんだけど、じわじわ距離を詰められてきてるから、深夜には追いつかれるかな。


 何にせよ予想通りこっちに来たヴァンが二体で良かった。

 ヴァンを避けて帝都へ向かう素振りを見せながら、何とかもう少し粘ってオアシスまで引っ張るんだ。




 さあて、そろそろ追いつかれそうだし、振り返って速度を落とそうか。

 するとヴァンも速度を落とし、僕との相対速度を合わせてゆっくり近付いてきた。

 月明かりの中に全く同じ姿、真っ黒な人型竜のゴーレムが二体浮かび上がる。

 僕を最初不意打ちでやったのも、こんな姿だったのかな。


「やっと諦めたようですね。昔のナナに似ていますが、貴女は何者ですか?」


 あれ? ……しまった、もしかしてヴァンって小さい方のナナを知らない!?

 これじゃ防御に徹して時間稼ぎなんてやってたら、下手すると僕を無視して帝都かブランシェのどっちかに行ってしまうかもしれない。

 仕方が無い、予定より早いけどやるか。


 僕の方に来るのが一体なら倒し、そのまま帝都へロックさんの援護に向かう予定だった。

 二体以上ならオアシスの異空間へ逃げ込めって、ロックさんには言われてた。


 でも今の僕には、戦う理由がある。勝たなきゃいけない理由がある!


 だからまずは落ち着くんだ。

 以前の僕とは違う。

 今の僕はヴァンに勝てる。


 勝つ。


「……ああもう、バレるの速すぎだよ。やあ、ヴァン。直接話すのは三度目だね。それとも別のヴァンだったかな?」


 偽装魔術を解き、距離がこれ以上縮まらないよう速度を調節しながらヴァンに顔を見せる

 ヴァンの表情はわからないけど、軽く首を傾げたところを見ると覚えていないか知らないか、かな。


「……ああ、いつぞやの子ネズミではありませんか。貴方を殺したのは私ではありませんが、記憶を共有しているので覚えていますよ。ですが三度目ですか? 記憶にありませんが、私がまだ人だった頃の話でしょうか」

「記憶の共有ねえ、僕が初めて会ったときよりも人間離れが進んでない? とはいえ僕も初めて会った頃とは姿が変わっちゃったからわからないと思うけど、まあいいや。どっちのヴァンも僕が相手をしてあげるから、かかってきなよ」

「くっくっく、生意気な子供ですねえ。ナナに生き返らせてもらったのですか? 不思議ですねえ、普通ならありえないことだと笑い飛ばすのですが、ナナならありえると思ってしまいます」


 確かにナナさんなら、今は無理でもそのうちできそうな気がするよ。

 でもね、ヴァン。

 僕を子供と侮ったのは、致命的だよ。

 まずはヴァンに術を真似されないよう、手元周辺の魔素を軽く乱す。


「ヴァン、いいこと教えてあげるよ。……こう見えて僕は君なんかより、ずっと年上だよ? なんたって二千年近く生きてるからね」

「……っ!? まさか、貴方は!!」


 遅い。

 ヴァンが顔を向けてるこっち以外、上下左右後方など死角全てから火雷岩氷さまざまな圧縮魔素の槍を放つ。

 二体のヴァンは慌てて唯一の退路、僕に向かって一気に飛んでこようとした。

 ヴァンの光線が僕に飛んできたけど、全部同じ魔術を当てて相殺する。

 そして剣を抜いた二体のヴァンが僕に迫ったところで、ダグとアルトに偽装させていたスライムを二人の前に出す。


「偽物で私を止められるなど!」

「思い上がるんじゃなあない!」


 かかった。ヴァンの剣で真っ二つになったスライムで、そのまま二体のヴァンに覆いかぶさる。

 一瞬動きを止められれば十分だ。そのヴァンの背に、圧縮魔素の槍を誘導し叩き込む。


 スライムも焼けたり凍ったりしてだいぶ駄目になっちゃったけど、今の一撃でヴァンに与えたダメージは……ちぇっ。やっぱり硬いし障壁でいくつか防がれちゃったみたい。

 それでも一体は翼と尻尾が根元から壊れ、もう一体も外装がところどころ溶けたり傷がついてるから、初手としては上々かな?


「君のほうこそ、思い上がるなよ。僕は始まりの魔術師にして女神ナナの下僕、グレゴリー・ノーマンだ!」


 ナナさんのため、ヴァンはここで落とす!!


 二体のヴァンが振る剣を避けながら、尾無しの顔面に魔素で作った剣を叩き込む。

 くそういけると思ったんだけどな、硬すぎてこの剣じゃヴァンの外装を切り裂けない。

 後ろから切りかかってきた尻尾付きのヴァンの顔面には圧縮魔素の風の刃を叩き込み、動きが止まった隙に距離を取り、空中を移動し続ける。

 追撃を警戒したのにどっちも僕と一定の距離を保って飛び、様子をうかがっているようだ。

 よく見ると尻尾付きの顔が半分削れて目が片方無くなっている。


「これで区別しやすくなったんじゃない? 尾無しのヴァンと目無しのヴァン」


 少しからかっただけのつもりだけど、目無しのヴァンが転移し斬りかかって来た。

 上段から中段下段と流れるような剣捌きだけど、僕は全て剣で受け止め目無しヴァンの顔面目掛け今度は火の魔素を集める。

 あとちょっとというところで避けられちゃったけど、惜しかったなあ。

 あとは距離を取りつつ、しばらくの間は魔術合戦だ。


 二体のヴァンが放つ光線の数より僕が一度に撃てる光線の方が多く、全部打ち消してもお釣りが出る。

 でも圧縮しない数頼みの魔術じゃヴァンの攻撃は打ち消せても、ヴァンが硬すぎてまともにダメージが通らない。

 かと言って圧縮魔素の術だと一度に出せる数が二体のヴァンが撃つ術を下回り、打ち消しきれずに僕の方まで届いちゃう。


 早まったかなぁ、一対一ならもうとっくに勝ってたのに。


 後ろに転移して来たヴァンの更に後ろに転移し、振り返ったヴァンの顔面に圧縮魔素の火槍を当てたり、逆にこっちから転移して剣で頭を殴ったりと、徹底的に頭を狙い攻撃していたら、尾無しと目無しの動きが止まった。

 ……しまった、ばれたか。


「さっきスライムとぶつかってからどうも手足が重いと思っていましたが、面白いことをしますねえ」

「グレゴリーィィィ……貴方の目的はどうやら、時間稼ぎのようですねえ? 何が狙いですか?」


 尾無しも目無しも外装の関節部に取り付いていたスライムに気付いちゃったか、小さな光線を自分に向けて連発し焼き払い始めた。

 だけどもう十分さ。

 この場所までたどり着けたんだから、僕の勝ちだ。


「時間稼ぎで済ますつもりなんて最初から無いよ? 僕がここで、お前たちを倒すんだから」


 圧縮した火の魔素で作った火矢を僕の頭上に50本作り、ヴァンに向けて放つ。

 光線で何本か消されたけど、僕の火矢を完全に消し去る威力の光線は何度も撃てないようで、ヴァンは何枚も空間障壁を出しつつじわじわと後退しながら防いでいる。

 その障壁を壊し、時には避けさせながら、残りの火矢がヴァンに迫る。


 そろそろ、かな?


 義体からの感覚遮断。

 直後僕の真後ろに転移してきた尾無しと目無しの剣が、僕の胴体に深く突き刺さった。


 かかったな、ヴァン。


「貴方には聞きたいこともありますから、簡単には壊しません。前のように魔石を引きずり出して……何っ!?」


 真下の砂の中から放たれた圧縮光線魔術が、自分の体とヴァンへと迫る。

 逃さないよ。義体に刺さる剣を掴み、ほんの一瞬ヴァンの逃亡を邪魔するだけで十分だ。

 地中に埋めておいた40体のスライムから放つ光線を途中で合流させ、二本の光線にまとめてヴァンを撃つ。

 ヴァンの頭部へと伸びる光線に対し二体とも両腕で頭部を庇ったが、当たる寸前に光線を曲げる。

 頭ばかり狙ってたのは、このためだよ!


「があああっ!」

「ぐあああっ!!」


 スライム達からの光線は、狙い通り尾無しと目無しの胸の中心に穴を空けた。

 ヴァンの魔石が頭に入っていないのは前回のでわかってるからね、それなら胸に違いない。

 僕の義体にも穴が空いちゃったけど、魔石は無事だから問題ない。


「自分の得意魔術でやられる気分はどうだい? もう返事もできないだろうけどね!」


 やったよナナさん、僕の魔術と頭脳とスライムの勝利だ!


「……やって、くれましたね……」

「私が一つ、壊れてしまったじゃあありませんか」


 え?






―――――






 うおー、滅茶苦茶はええええええ!

 竜の姿になったアネモイの首に必死でしがみついてるけど、少しでも気を抜くと吹っ飛ばされちゃうよ!

 元の姿なら軽く音速超えるのは知ってるけど、自動車サイズでもこんな速度出るんだな!

 しかしよく見ると空気抵抗減らす術なのかな? 少し先の空気を割って真空にしてるおかげで、こっちには少し強めの風くらいしか感じない。かなり静かに飛んでるね。


 一晩中飛んでたけど夜明け前には着きたかったから、アネモイにラストスパートお願いしたんだけど、これならもうすぐ帝都が見えてきそうだよ。

 ……あれ、アネモイさん?

 高度も速度もどんどん落ちてますよ?

 なんか……すごい勢いで、地面が迫ってるんですけどおおおお!!


『ドゴオオオンッ!!』




 ……不時着した。いや、墜落だこれ。


「……なあ、アネモイ?」

「……はっ!? 何があったの!? 顔が痛いわ!!」

「俺も滅茶苦茶痛いわああ!!」


 ものすごいクレーターが出来てるじゃないか、むしろ良く無傷だったよ二人共!


「ああ! ……ねえロック、私だって息ができないと苦しいのよ! ロックに抱きしめられるのは嬉しいけど、私死んじゃうかと思ったんだから!!」

「……あ」


 吹っ飛ばされないようにってしがみつきながら、全力でアネモイの首を絞めてたかも。

 うん。

 アネモイ、落ちてたんだな。


「申し訳ありませんでしたあっ!」


 ひたすら謝って人型になったアネモイに恭しく服を着せ、おやつ与えて機嫌直してもらって、気を取り直して出発だ。

 さーてヒデオは、と。

――魔道具の反応を追跡できません。何者かの空間庫に入れられたものと思われます。


 あちゃあ、グレゴが何体釣ったかわかんないけど、そっちのヴァンが持って行ってたら面倒だな。

 とりあえず行くだけ行こうとクレーターから出ると……やべえ、帝都が見えてんじゃん。

 これ気付かれたかも……って、帝都から何かがこっちに向かってきてる。


 ……あの魔力の高さ。


 ヴァン!


 クレーターの底に戻り、おやつのケーキを平らげてご機嫌のアネモイを抱き寄せ、頭を撫でる。

 ヴァンは一体しか見えないけど、やっぱ危ないからね。


「アネモイ、おふざけはここまで。ヴァンが一体こっちに来てる。ここで待ってな」

「いーやーよー!!」


 アネモイの顔が迫ってきたの同時に、口に生クリームの味が広がった。 

 同時に全身にみなぎる、竜の力。


――いざとなったらこのまま気絶するわ! だからロック、ちゃんと私を連れてナナのとこに帰ってね!


 ……仕方ないなあ、もう。


 この状態だと考えてることアネモイに筒抜けだからなあ。


 怖がらせないようなるべく心は鎮めて……派手にぶっ飛ばそうか!


 パワードスーツとか戦闘ロボみたいな、機械的な鎧を出して体にまとう。

 肘や膝などの間接部はむき出しだけど胴体とかはかなり硬い装甲だし、両手首に散弾の発射魔道具と腰に二門のショートバレルレールガン。

 カッコいいヘルメットもかぶって「カツンッ!」……ツノが邪魔で、かぶれない……。

――ぷーくすくす!


 あ、そうか。ここにアネモイ置いていけばヘルメットかぶれるな。

――……。


 ヘルメットに仕込んだギミックが使えないのは残念だけど、静かになったし、まずは外れてもいいから一発ぶっ放そうか。

 ロングバレルレールキャノンを取り出し、50キロメートルくらい離れたヴァンに狙いを定め……ふぁいあ!


『ズバアアアンッ!!』

――うひいいいいいい!!


 うおぉ……弾丸の衝撃波か? 至近距離で聞くもんじゃないね、耳がきーんってなって何も聞こえないや。

 衝撃も物凄くて、肩が外れるかと思ったよ。ちゃんと試し打ちしておくんだった。

 というかアネモイの悲鳴が頭の中で響いてうるさい。

――ねえロック、耳が痛いの……速く飛ぶの失敗したときにも、こんな音するの……。


 そうだね、今度撃つときは飛ぶときみたいに結界張っておかないとね。

 さて、ヴァンは……と。残念、下半身吹っ飛ばそうと持ってたのに外れたか。

 でも左肩から先がきれいに無くなってるねえ、ざまあみろ。


『ドゴォォォォン……』


 ……レールキャノンの弾丸、落ちたみたいだね。

 ヴァンに当たって軌道が逸れたのかな……。

――ねえロック、帝都からきのこみたいな雲が昇っていくわ。


 気のせいです。見なかったことにしてヴァンの相手をしましょう。


 クレーターから出てヴァンの元へ飛び、途中で腰のレールガンを……やめとこう、反動で俺が吹っ飛ぶし、万が一流れ弾がまた帝都に飛んでいったら……。

 ……ヒデオ、巻き込まれてなきゃいいなぁ……あはは……。

 とりあえずヴァンは丁寧にも俺が近付くのを待っているみたいだし、さっさと行ってあげよう。


「やあヴァン、また左腕無くなっちゃったの? ヴァンっていつも真っ先に左腕無くなるよね、わざとなの?」

「…………」

「何もごもごしてんの、もしかして怒りで声も出ないかな? ところでヒデオ返してもらいたいんだけど、どこにいるの? 教えてくれたら楽に殺してやるんだけど」


 何か言えよ。ヒデオの居場所聞き出してからじゃないとぶっころ……おっと、平常心平常心。

 怖くないからね―アネモイ。

――ねえロック。何も聞こえないんだけど。


 ん?そういやヴァンの口がモゴモゴ動いてるけど、もしかしてこれ……。

 なんか耳の奥でキーンって響いてるし……。

 あ。


「……ヴァン、ちょっとたんま。大事な話がある」


 剣を抜いて構えるヴァンに右のひらを向け、ゆっくりと言葉を続ける。


「……さっきの衝撃で何も聞こえなくなっちゃったから、そのまましばらく待っててくれない?」


 返事代わりに、大量の光線が俺めがけて飛んできちゃったよー。

 短気だなぁ。

 よく見るとヴァンの全身がぷるぷる震えてんだけど、もしかして激怒しちゃった?


「………………! …………!!」

「なに言ってるか聞こえませーん」


 そのままよっ、ほっ、はっ、と変な格好しながら光線避けてると、黒いヴァンの全身が、心なしかどす黒くなってきた気がする。


 相当お怒りのご様子だけど、俺の怒りはそんなもんじゃないよ。

 とりあえず他のヴァンも来る様子は無いし、耳が聞こえるようになるまでしばらくおちょくりまくってやる。

 意趣返しだ、くすくす。

――ロック……悪趣味だわ。


 俺の妹を悲しませたんだ、これいくらい可愛いもんだろ?

――ロック、もっとやるのよ!


 へいへい。

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