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英雄とスライム  作者: ソマリ
最終章 大戦編
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5章 第24話O くだらな過ぎて言葉もねえ

 ヴァンにやられてから二日経った朝。

 オレ達はアトリオンの東、進軍するプロセニア軍の陣が見える小高い丘にいた。


「ねえオーウェン、ドラゴンゾンビが私達に気付いたわ」

「腐ってるくせに鼻の利く連中だぜ。ジル、それにてめえら……準備はいいな?」


 ジルとその後ろにいるフォルテとフォルトとかいう森人族の姉妹のうなずきに、オレは口の端を軽く上げて応える。


「彼の仇は、きっと討つ」

「姉さんそれは違う、まだ死んでない」

「ニースに任せておけば安心よ? さっさと片付けてブランシェに様子を見に行くわよ」


 ヒデオが変態紳士って言ってた森人族姉妹の夫は、ドラゴンゾンビの最初の襲撃で重傷を負ったって聞いたな。

 ニースが他の重傷を負った兵士と一緒に、ブランシェに連れてってくれたんだ。問題ねえだろうよ。

 しかし今回はニースに助けられっぱなしだぜ。あとで何か礼をしてえところだが、あいつ何やりゃ喜ぶかな。

 ……ドレス……はねえな、ジュリアがもっといいもん作る。

 宝石……くらいしか思いつかねえな。

 そういや女に送って喜ばれるものとかあんま考えたことねえが、そもそも女に送るようなものでいいのか? ……ひとまず目の前の問題片付けてからゆっくり考えるか。


 つーか、兵士どもも俺達に気付いただろうに、何だってドラゴンゾンビ一体しか寄越さねえんだよ。


「まずは俺が行くぜ。やつらが動き出したら、手はずどおり頼む」


 丘を駆け下りながら空間庫から剣と盾を取り出し、肉の潰れる汚ねえ音を立ててこっちに向かってくるドラゴンゾンビにまっしぐらだ。

 ブレスを吐くつもりなのか、こっちを向いて口をあけたけど関係ねえ。


『GYSYAAAAA!!』


 ジルの張った障壁にぶち当たって逸れるブレスを無視し、ブレスが切れた瞬間を狙ってドラゴンゾンビの顔の下に入り込む。


「うおらあああっ!」


 左手の盾を強く握り、全力でドラゴンの顎をカチ上げる。

 気持ちわりい腐った肉の潰れる音が耳障りだが、構わずがら空きの首に右の剣を振り下ろし、落ちてきた頭を避けながら切り替えした剣で前足も切り落とす。


「そういや昔はヒデオたちと五人で、こいつ一体相手に苦戦してたっけな……」


 オレも強くなったもんだぜ。

 とはいえ、嬢ちゃんや嬢ちゃんの仲間達の足元にも及ばねえけどな。

 オレにできるのは、こうして嬢ちゃんが不安に思ってることを片付ける程度だ。

 嬢ちゃんはティニオンに何かあっても悲しむからな。


 それにしても……畜生。ヴァンの野郎、舐めた真似しやがって。

 プロセニアの連中も、何だってヴァンなんかに踊らされてやがんだよ。

 だいたいてめえらが余計な真似してなかったら、ヒデオをアイオンに呼ぶことも無かったってのによ!


『グシャッ!!』


 プロセニアの陣を睨みながらドラゴンの横っ腹を盾で殴りつけたら、ひっくり返っちまった。

 まだ動いてるが、もう少しそうしてやがれ。

 こいつにもプロセニアにも八つ当たりだってことは頭じゃわかってんだがよ、もう少しオレのイライラ解消に付き合えよ。


 プロセニアは、と。やっと残りのドラゴンゾンビのお出ましか。

 そこで転がってるのもあわせて全部で十体。

 うちの兵士をやってくれた分の借りも、返させてもらうぜ!




 ドラゴンゾンビのブレスは、全部ジルが空間障壁で防いでくれる。

 オレはブレスの間をかいくぐって、腐った頭を潰し首を斬り落とし脚を断ち切り、三体の動きを完全に封じた。

 森人姉妹の魔術も良い腕してるぜ、オレが囲まれねえようにしながらも、ドラゴンの気を引き過ぎないよう適度に援護してやがる。

 俺は至近距離でのドラゴンゾンビの攻撃は盾で止め、剣で受け流し、その時をひたすら待つ。

 やがて横薙ぎに振られた一体の尻尾が俺を直撃し、盾で止めたものの大きく吹き飛ばされちまった。

 だが、いい具合にドラゴン共は一箇所にまとまったぜ。

 丘の上のジルと視線を合わせて同時にうなずき、オレは空間庫から水晶玉を二つ取り出してドラゴン共の中心に投げつける。

 水晶玉の割れる音と同時に、ジルが張った空間障壁がドラゴン共を包み込んだ。


『GYAAAA……』

『GYUUUU……』

『GURURU……』


 水晶玉の一つからは煙が出て障壁の内側に充満し、もう一つからはかなり強い光が出ているようだが、煙のおかげで薄っすらとしか見えねえ。

 間もなくべちゃっ、ぐちゃっつー嫌な音がして、ドラゴン共の呻き声が完全に消えた。

 そして光が消えて煙が薄れると、そこにはすべての肉が腐り落ち骨だけになった、十体のドラゴンだったものが転がっていた。


 誰だかが作った魔道具を真似てニースが作ったという水晶玉には、ブランシェの食品研究所で見つかった『発酵を促す菌』とかいうものと、菌の生命力を増大させるための回復魔術が込められていたらしい。

 発酵と腐敗は紙一重とか何とか言われたが、正直仕組みについてはわからねえ。

 生物には効果がねえらしいが、そんな事は知らねえプロセニア軍の連中は、相当怯えた目でこっち見てやがんな。

 士気が下がってるならちょうど良い。


「てめえら出番だ!! 全軍構えろ!!」


 オレの声に反応してジル達の後方丘の反対側から、ティニオンの軍旗が何本も持ち上がった。


「全軍突撃!! 侵略者共を蹂躙しやがれ!!」

「「「おおおおおお!!!!」」」


 丘の向こう側から一斉に現れた数百の騎兵が、丘を駆け下りてオレの横を通り、プロセニア軍へ一気に迫る。

 更に丘の向こうからは数千の歩兵が槍を手に、丘を下ろうとしていた。

 そしてオレの隣に転移してきたジルと手をつなぎ、プロセニア軍の後方へと転移する。

 簡単に逃げられると思うんじゃねえぞ、ヴァンの犬ども。




 数十人を斬ったり盾で殴り潰したりしながら敵陣をまっすぐ進んだが、よく見りゃ何だこいつらのやる気の無さと、薄汚れ具合は。

 死にたくねえって必死さも伝わってこねえし、退路を絶ってるとはいえ逃げようとする様子もねえ。

 気持ちわりい連中だぜ。

 敵陣の正面はうちの兵士と森人姉妹が派手にやってるようだが、こいつは時間の問題だな。

 こうしてよそ見してる間にも斬りかかってきたやつを返り討ちにして歩いていたら、今日初めてオレの剣を避けた奴が出てきた。


「ティニオンの英雄、オーウェン・ティニオン第三王子とお見受けする!」

「ああ? てめえはプロセニアの指揮官か?」

「そうだ! 貴様らと魔王のせいで滅茶苦茶にされたプロセニア王国の将軍にして第一王子、ゾット・プロセニアなるぞ!」


 おいおい第一王子自ら出陣とかどんだけ切羽詰まってんだよ。

 だが動きは素早いし剣筋も中々だぜ、それに軽く振ったオレの剣を何とか盾で防いでやがる。


「滅茶苦茶ってどういう意味だよ、ああ?」

「そのままの意味だ! 奴隷という労働力を失い、民の心の拠り所であった光天教の悪事はバラされ、英雄と呼べるほどの強者はここ数年で全てが命を落とし、しかも国民は先日元奴隷共に命を救われたのだぞ! 私が、民が抱える屈辱、貴様にわかるか!?」

「わかるわけねえだろ、馬鹿かてめえ。奴隷がいねえなら自分達で働け。光天教の膿を出し切ったんだから仕切り直せよ。英雄がいなくても魔物ぐれえ軍で何とかしろよ」


 斬りかかってきた剣を盾で受け止め、ゾットの顔を至近距離で見るが……だめだな、こいつ。

 何にもわかってねえ。


「つーかてめえ、元奴隷がどんな想いでてめえらを助けに行ったのか、わかるか?」

「我らを笑いに来たのであろうよ!」

「ほんっとてめえ……馬鹿だな。オレ以上だぜ」


 剣を空間庫に放り込んで拳を握り、ゾットの盾めがけて思いっきり振り抜く。


『ボゴォッ!』

「ぐあああああ!!」


 盾を砕くだけのつもりだったんだが、勢い余ってゾットの左腕も潰しちまった。


「オレにも元奴隷たちの考えがわかるわけじゃねえけどよ、あいつらなりのケジメだったんじゃねえのか? てめえらに対する恨みを捨てるためのよお。それが屈辱だあ? 笑わせんじゃねえよ」

「ぐう……同じ、人……だと……? 貴様こそ笑わせるなよ、亜人も、森人も、地人も、全て我ら人族に似せて光人族が作った、まがい物の劣等種だろうが!」

「はあ?」

「そんな劣等種と我ら人族を同列に扱うなど、貴様には人としての誇りはないのか!!」


 何言ってんだこいつ。

 劣等種って何だそりゃ。


「それって光天教が捏造した歴史か? プディングとの戦争終結条件が、正しい歴史の周知だったと聞いてるんだがな」

「父からは魔王に脅され、根も葉もない話を広めることになってしまったと聞いているぞ! そもそも誰一人信じていなかったがな!」


 信じるかどうかじゃねえんだよ、それを聞いてどう考えるのかが大事なんだよ。

 つーことはこいつら、考えようとしなかった馬鹿ってことか。


 気付けばジルは俺の後ろに控えてるし、前線にいた森人姉妹にうちの騎兵も戦闘をやめ、オレたちの方を見てやがる。

 こいつは単にゾットぶっ飛ばすだけじゃ済みそうにねえな、面倒くせえ。

 それに森人姉妹に向いてるプロセニア兵やゾットのツラ……気に入らねえな。


「なあ。念の為もう一度聞くが、お前らが森人族とかの他種族の誰かに、酷いことをされたとかじゃねえんだよな?」

「我らが劣等種相手ごときに、害を受けるわけがなかろう!!」

「過去てめえらの祖先が、何かされたってわけでもねえんだよな?」

「くどい!!」


 嬢ちゃんからプロセニアの話を聞いて、過去に何かあった恨みがあるのかもしれねえとか、少しだけ思ってたんだけどよぉ……甘かったのはオレの方だったか。


「……野人族は森人族に魔力で劣り、地人族に腕力で劣り、獣人族には腕力や敏捷さに劣るからな。もしかしたら過去に大負けでもしたのかと思ったんだがな」

「オーウェン貴様……我らが劣等種に劣った存在だとでも言いたいのか!」

「ある意味劣ってるだろ。森人族は美男美女が多いし地人族は手先が器用だし、何より俺達より三倍は長く生きる」


 ゾットやプロセニアの兵士達の顔つきが変わったな。

 余計酷くなって、敵意もむき出しだぜ。


「だがよ、オレ達野人族は森人族より体力があるし、地人族より魔力はあるし体格もいい。寿命は短えが沢山の子供が産める。どの種族と比べても、ある部分では劣り、ある部分では優れてる。亜人種や魔人族に光人族も同じだ。同じ人族とはいえ、種族が違うんだからな」

「……何が言いたいんだ」

「そうだな、難しい話は俺も苦手だから、こっからは簡単に言ってやる」


 オレを睨むゾットを、プロセニア兵を逆に一通り睨み返し、一つ大きなため息をつく。

 ほんと、下らねえ。


「てめえら嫉妬してるだけだろ」


 おうおう全員顔真っ赤じゃねえか。

 こりゃ図星か。


「てめえらのツラ、うちの英雄の嫁さんたちを見る貴族令嬢の顔や、兄貴を見る一部のバカ貴族の顔にそっくりだぜ。羨ましい、妬ましいってな。試しに隣にいる仲間のツラ見てみろよ、酷え顔してると思わねえか? ……てめえも同じ顔してるんだぜ」


 ゾットや一部の兵士が顔真っ赤にして喚いてやがるが、聞く価値もねえ。無視だ無視。


「種族だけじゃねえ。男女にだって違いはあるし、それどころかオレとゾットだって違う。自分と同じ存在なんて、普通はいねえんだよ」


 嬢ちゃんとかは普通じゃねえから除くけどな。


「てめえらの前の戦争相手だったプディングじゃあ、森人族は農業が得意なやつが多いからって農作業してるやつが多いぜ。地人族は職人や鉱夫、獣人族は兵士や衛兵、アラクネ族は縫製、魚人族は漁と、それぞれが得意分野を生かして国を発展させている。そして全ての分野に野人族等の他種族も混じっている。漁をするアラクネや畑を耕す狼獣人とかな」


 もしかしたらプロセニアにも、そんな未来があったのかもしれねえのにな。


「……ふん、劣等種の力を借りねば発展できぬなど、我々は人族としての誇りを捨てる気はない!」

「何の落ち度もねえ相手を、自分より一つでも優れた部分があるからって妬み嫉み虐げるのが、てめえらの誇りか。……てめえら二度と人族を名乗るんじゃねえ、同じ種族だと思うとこっちが恥ずかしくなるぜ」


 嬢ちゃんが差別を嫌っていながらも、プロセニア人を毛嫌いしている理由がようやくわかったぜ。

 差別も偏見も、無くなるもんじゃねえってことはよくわかってる。

 でもこんな下らねえ理由での差別なんざ、全力で否定してやる。


「てめえら、よく聞きやがれ。確かに種族によって違いはある。でもな、同じように笑い、悲しみ、愛し、憎しむ、同じ人族だ! ティニオン人とプロセニア人も、オレとてめえらも、考え方の違いこそあれど同じ人だ! 男と女の違いも、人種の違いも、国の違いも大した問題じゃねえ! これ以上『人』としてみっともねえ真似をするんじゃねえ!!」


 オレの言葉に、辺りがシーンと静まり返っちまった。

 見ると兵士共は……こっちのもプロセニアのも、結構真剣な顔で考え込んでやがる。

 それでいい。自分の頭で考えやがれ。

 だがゾットだけは、相変わらず人をばかにするような顔でこっちを見ていやがる。


「く、くく……貴様らとて、他者を虐げているではないか。貴様らティニオンは罪なき光天教信者を虐げ、魔王は劣等種を虐げてきた我らを虐げている。それにどれほどの違いがあるというのか! 所詮は口先だけの、劣等種に与する愚か者の世迷言よ!!」

「……やっぱりお前馬鹿だろ。大した理由のねえ差別と、事実と経験を理由とした区別を一緒にすんなよ」


 この話はこれ以上続けても、こいつを納得させるのは無理かもしんねえな。

 理解できねえだけなら話す価値はあるが、理解する気がねえなら相手にするだけ無駄だ。

 兵士はもう戦意はねえみてえだし、ゾット一人ぶっ飛ばして終わらせて、ヴァンのことでも聞き出そう。そう思ったところに、オレとゾットを囲む輪からフォルテとフォルトが一歩出てきた。


「可愛そうな人ですね。私達の夫は野人族ですが、あなたと違って互いに出来ること出来ないことを理解し尊重し合える、言動だけは世界一格好いい男ですよ」

「それに比べて貴方はとても格好悪いですね。ところでさっきから何度も劣等種という言葉を口にしてますが、人種以外に何か誇れるものはないのですか?」

「薄汚い劣等種ごときが口を開くな、耳が汚れるわ! 皆も劣等種とその仲間の声になど、耳を傾けるな! どのみち我らはこうするしか道はないんだ!! 皆剣を取れ!! 故郷で待つ家族のため、劣等種共に鉄槌を下すのだ!!」


 ちっ、フォルテもフォルテもいらねえ煽り入れんなよ。それよりゾットの叫びで兵士達の目に必死さが浮かんできたが、こうするしか道はねえってどういうことだ。

 それを問いただすためにも、たった今ゾットが懐から出した怪しい薬は飲ませるべきじゃねえな。

 一歩で距離を詰め、ゾットの右手の薬瓶ごと握りつぶす。

 悲鳴をあげるゾットの首を掴んで持ち上げ、顔を近づける。


「ぐっ!? ……がはっ……」

「おい、道がねえとか故郷で待つ家族とかどういうことだ説明しやがれ」

「……」


 ……返事がない。


「ねえオーウェン……その人、首が絞まって気絶なさってるみたいよ?」

「ああ? ……力入れすぎたか」


 折れてねえよな?

 仕方ねえ、そのへんの兵士に聞くか。


「おいそこの。代わりに説明しろ」


 兵士は説明を引き受ける代わりに、食料を要求してきやがった。

 厚かましいと思ったが仕方なく受け入れると、残ったプロセニア軍は全員があっさりと降伏した。

 おいおい、さっき一瞬だけどかなり殺る気だったじゃねえか、なんだよこりゃ。




「そんで交渉してきたやつはただの兵士じゃなく近衛兵だったんだが、それはどうでもいい。そいつの話によると、プロセニア王国の首都アプロニアが、たった一体のゴーレムによって壊滅。たまたま王都の外に出ていて無事だったゾットと近衛兵の前にそのゴーレムが現れ、ティニオンに侵攻しろと脅されたそうだ。さもなくば他の街も次々に滅ぼすと言われ、腐竜玉とかいう魔道具も貰い、指定された日付通りにティニオンに侵攻してきたんだとよ」

『ヴァン、じゃろうのう……』


 だろうな。

 通信機越しの嬢ちゃんの声もうんざりした感じだが、こっちもうんざりだ。

 道理でプロセニア兵が妙に薄汚れてたはずだぜ。


「だろうな。とりあえずプロセニア兵とゾットは、奴隷がいねえならてめえらで畑を耕せっつってケツ蹴っ飛ばして開放、食料も可能な限り持たせておいたぜ」

『なんじゃ、ティニオンも被害が出ておろうに、それでよいのか?』

「あの状態じゃ賠償金も取れねえよ。それに今はくだらねえことに手間かけたくねえんだ。ひとまずこれで、ティニオン側の問題は解決したぜ」


 流石に人的な支援はできねえし、食料だって増産が始まったばかりだしな。

 難民が押し寄せてきても面倒だし、最速で解決させるにはこれが最善だろうよ。


「それとニースの魔道具のおかげでかなり助かったぜ。ありがとうよ、嬢ちゃん」

『ニースに伝えておくのじゃ。じゃがこれでセーナンの問題さえ片付けば、あとはヴァンを残すのみじゃのう』

「フォルカヌスの方は長引きそうなのか?」


 ステーシア嬢ちゃんなら上手くやるだろうから心配はしてねえが、一応な。


『うむ……ヴァンが現れたのじゃが……今レーネと、互角の戦いをしておる』


 はあ?

 確かにレーネは俺より強えが、ヴァンと戦えるとは思えねえぞ?

 どういうことだ?

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