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revolution world    作者: renge
再びの異世界と邂逅
9/78

9 東の洞穴に住む怪物

 ■ ■ ■ ■ 



「―――――――よし。忘れ物は無しっと」


俺は自分の荷物(とはいっても竹刀と木刀)を確認して村の出口へ向かう。因みに、さっきの俺の暴言は、別に腹が立ったからというわけではない。あの愛花という少女が言おうとした言葉は何となく予想できる。


『私がいけにえになれば』


ようはそういう事だろう。その考えに行き着いた時、脳裏に、嫌な記憶がよみがえった。自分の記憶と思いたくないが、確かに自分自身が認めている記憶。


「――――――ほんとに、この世界にいたときの俺は、何してたんだろうな」


自嘲気味に呟く。そして、


「よしっ、行くか!!」


俺は、東へ向かって歩き始めた。


 ■ ■ ■ ■



「―――――――しっかし、暗いなぁ……」


時刻は夜の8時程か、辺りはすっかり暗くなり、注意して見なければ10メートル先も見えない。


「そろそろ夜営とか考えた方がいいかなぁ……」


などと言っていると、


「―――――――おっ?あれって……?」


洞窟のようなものが見えてきた。いや、洞窟というよりは、洞穴に近いかもしれない。方角さえ間違えていなければ、ここが怪物の住処らしいが……。


「―――――――うっ……」


洞穴に近づいた瞬間に、異臭が漂う。血の生臭い匂い。異臭に耐え、洞穴を進むと、


「―――――イテッ」


何かにぶつかった。しかしそれほどの痛みではな

い。……いや、少し待ってほしい。壁にあたったのであれば普通にいたいはずだ。それこそ痛みにもんどりうってもいいレベルの痛みのはず。でも、実際は全然痛くはない。……つまり壁ではない、ということは────?


「―――――おぉぉぅふ……。」


デカイ。とにかくデカイ。ざっと見三メートル程の大きさだろうか、確かに、狂暴そうな四足歩行の怪物だった。


(けど、デカイだけなら……)


俺はそう思って、一度距離をとろうとする。しかし、怪物が、無造作に前足を振るう。


「―――――っ!?」


俺は慌ててしゃがむ。怪物の前足は俺の頭すれすれを通りすぎた。俺はしゃがむと同時に抜刀し、


「はぁっ!!」


一気に木刀を振り抜く! ――――――――が、


「――だよね、これじゃ切れるわけねぇわなぁ・・・」


当然のごとく木刀で切る、などという真似ができるはずもなく、ゴッ、という音とともに弾かれる。


(木刀じゃ切れない、けど現状これ以外に武器がない。―――――と、なると、なんとか木刀で切る方法を探すか、欧殺するかだな)


前者は方法が現状ないし、後者は時間がかかりすぎるしそれをするなら頭を狙う必要がある。


(なにか、なにかないか……何かいい方法。)


考えていると、怪物の前足が迫ってくる。


「ヤバッ―――――」


刹那、視界が反転する。怪物の前足の攻撃をもろにくらい、衝撃で吹き飛ばされた。


「―――――くっ、いってぇ……ん?」


俺は、血を流しながら、地面になにかが落ちているのを見つける。


「剣……だよな?これ。」


そう、剣だった。錆びなどもない。今すぐにでも使えそうだ。すると、怪物は止めをさしに来る、だが、


「――――せやぁ!!」


攻撃をしてきた前足を叩き切る。そのまま前につんのめった怪物を一刀両断する。


「ハァッ、ハァッ……クッソ、何とか……なったか……」


絶命した怪物を見ながら、そう吐き捨てる。


(……それにしてもこの剣……いいな。使い勝手もいいし、暫く借りておくか)


俺は剣の持ち主に心の中で謝罪したあと剣を拝借し、洞穴をあとにした。

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