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協奏曲 〜君と。〜  作者: AZURE
けんか。
13/51





 言葉どおりこういちは悪い噂を止めた。


 ぼくがこういちといつでも行動を共にしていると、それを冷やかすものが出てきた。


 それに対して放ったこういちの一言。


 「しょうがないだろ、それだけ俺が魅力的なんだから」


 こういちは自分が女たらしで通っていたのを見事に利用したのだ。


 こういちは続けて、


 「女も男も関係なく俺に惚れちゃうんだろ。ま、仕方がないことだが」


 何というナルシスト道。


 相手は絶句していた。


 「俺の前じゃ、男も女もねえよ。俺は最高傑作の芸術品なんだからな。だから、もしかしたらお前も俺に惚れちゃうかもしれないぞ? ま、お前に惚れられても仕方がないけどね」


 自分の美化を徹底して語り、こういちは相手を打ちのめした。


 「それに冬夜はね、そこらにいる女より純粋で表裏のないやつだから、女といるより楽なんだ」


 相手が「だってこいつホモだぜ? 気持ち悪くないのか?」と問い詰めても、こういちは余裕をかました笑みを浮かべるだけだった。


 「冬夜はホモじゃないよ。れっきとしたノーマルだ。本来は女しか駄目だが、「俺」には引き付けられてしまったんだよ。それだけ俺の引力は強いんだ」


 自分で言っていて恥ずかしくないのかとツッコミたくなったが、ぼくはこういちが頼もしく思えた。


 相手は何も言えなくなり、すごすごと退散した。


 その後ろ姿をこういちは腰に手を当てて眺めた。



 この件はあっという間に広がった。こういちが女たらしだけでなく、とんだ自信家でナルシスト野郎だという噂が、ぼくのホモ疑惑を立ち消えにした。ぼくらが2人一緒にいても、もう誰も何も言われなくなった。


 でもなんか……こういちには悪いような気がしてならない。


 「何で?」


 「だってさ、こういちに悪いイメージがついちゃったじゃん。ぼく申し訳なくて」


 「いいんだよ別に。それに少しくらい悪いイメージがあれば、女も寄り付かなくなるだろうし」


 「それはないと思う……こういちのことだから」


 今日もこういちと肩を並べて歩く。ぼくはそれが嬉しくて仕方がない。




初夏の空は眩しかった。



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