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コバエの新人研修

作者: 星つむぎ
掲載日:2026/08/02

今日もキッチンの片隅で、ちまちまと動くコバエたち。

おや? 新しく羽化した新人隊員へ、隊長が指導をしているようだ……。


「良いか、みんな。人間にそもそも近づくと、叩き潰されるから、絶対に近づくなよ!」

「イエッサー!!!」


気合の入った返事をする新人と、そんな新人たちへ熱血指導しているコバエ隊長。


「先日は、私を指導してくださった偉大なる先輩が、人間の飲み物の中に誤って飛び込んだ結果、戦死なさった!」

「アイ・サー!!」


いや。誤って飛び込んで戦死って……。


「だから、人間に近づくなよ!!」

「アイ・サー!!!」


──その五秒後。


「隊長ォォォ!! 新人一号が人間が用意していた麦茶にダイブしましたァァァ!!」

「何だとォ!? おのれ! 人間めぇ!!」


いや。人間めって……。近づくなって言われたところに近づいたのは、新人一号でしょうよ……。


「隊長! 新人二号、緑茶に着水したようです!!」

「何!? 無事に着水出来たのか!?」


え? 緑茶?

季節的には水出しもしてるだろうけど……冷房が効いてるなら、多分普通にホットでは?


「ダメです、隊長ォ! 急須だったので、熱湯に着水して二号戦死しましたァァ!!」

「何だとォォォ!!」


……だと思った。

人間側は淡々としたもので、コバエを確認した途端、コップの麦茶を廃棄。そして急須の中にコバエが飛び込んだのを確認して、さらに緑茶も廃棄。


「あ!! 隊長! 人間が何か、スプレーのようなものを取り出しました!!」

「何だと!? 何が書いてあるか分かるか!?」

「いえ……小型のスプレーで、人間の手に完全に収まっていて、こちらからは確認できません!!」


いや、どう考えても殺虫剤だと思うんだけど……。


「隊長ォ!!! 部下たちが一斉に飛び込んでいきます!!」

「何処にだ!!」

「緑色の容器の中にですゥ!! ああ……なんだか、あそこから芳しい、いい匂いが……」

「危険だ! 行くなぁ!!!」


あらまぁ。

まずはコバエ取りの罠に、何匹か飛び込んで行っているみたいね……。

で、人間側は……?


──プシュッ。


「ああ! しまった……ぐぅ……い、息が……」

「くッ……仕方ない!! 生き残ったものだけでも、退避~!!」

「小隊長! もうすでに部隊の半数が戦死しています!!」

「撤退だ!!」


コバエ達、一斉に排水口に飛び込んでいっちゃった……。

あ、人間側にまた動きが?


「ぐッ……な、なんだ、この液体は……!! これは……」


ああ、漂白剤の原液をそのまま排水口へ。

……生き残った部隊も、ここまでみたい。




***




「もう! せっかく淹れたてのお茶だったのに、コバエのせいで捨てなきゃならんくなったじゃん。マジで夏って、どっかから湧いて出てくるの、やめて欲しいわ~」




合掌。

夜中のテンションで書き上げたギャグ。

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