第2話:本戦開幕! チート乱舞のコロッセウム
予選を圧倒的なタイムで突破した俺、佐藤太郎は、コロッセウムの控え室で深呼吸を繰り返していた。観客の歓声が壁越しに響いてくる。満員のスタンドは、王族のバルコニーから一般席まで、異世界の住人たちで埋め尽くされている。転生者たちの存在が公になってからというもの、この『スポーツモンスター』大会は王国最大のイベントに昇格したらしい。賞金はもちろん、王女の特別褒賞、王国騎士団への即時入団権、そして何より「最強転生者」の称号。俺の原作知識では、主人公がこれを取って物語が加速するはずだったけど……今は俺がそのポジションにいる。
「佐藤さん、本戦の第一種目、モンスター狩りタイムトライアルの本番です。相手は中級モンスター『アイアンホーン・ビースト』。角が鉄のように硬く、突進攻撃が厄介ですよ。」
受付のエルフ女性が、興奮気味に説明してくれる。彼女の目がキラキラしてる。予選での俺の無双っぷりが、すでに噂になってるみたいだ。
「了解。じゃあ、原作通りじゃなくて、もっと派手にいくか。」
チート修正スキルを発動。頭の中でイメージする。「アイアンホーンの突進速度を少し遅くして、角の硬度を弱体化。代わりに、倒した時の経験値2倍に。」
世界が一瞬揺れた気がした。スキルが発動した証拠だ。原作者特権、恐るべし。
本戦開会式。コロッセウムの中央に王女が登場。金髪の美しい姫君で、原作では主人公のハーレム要員だったけど、今は俺のファンみたいに視線を送ってくる。嫌な予感しかしない。
「本日の第一種目、モンスター狩りタイムトライアル! 参加者10名、同時スタートで最速クリアを目指せ!」
ゲートが開き、俺たちはアリーナの森エリアへ。観客の歓声が爆発する。スタートラインに並ぶと、昨日話しかけてきた黒ローブの転生者――名前は黒崎と言ったか――が睨んでくる。
「お前みたいなメタチートは許さん。俺の『影遁チート』で、影から一瞬で仕留めてやる。」
「へえ、楽しみだな。」
笛の音が鳴る。俺はスピード無双をフル発動。体が風になる。森の中、アイアンホーンが群れで待ち構えている。体長5メートル、角がギラギラ光る。原作知識で弱点は首の付け根。でも、俺はもっと速くいく。
ダッシュ! 一瞬で最初のビーストの懐に入り、拳を叩き込む。スピード無双の加速で、衝撃波が角を砕く。1体目、0.3秒。観客が息を飲む。
「何だあれ!? うさぎみたいに跳ねてるぞ!」
2体目、3体目……俺は跳躍しながら連続攻撃。キングカズマを彷彿とさせる敏捷さで、ビーストの突進をかわし、背後から核を貫く。タイムはどんどん縮まる。黒崎は影に潜って奇襲を仕掛けてくるけど、俺のスピードが上。影から飛び出してきた瞬間、俺はすでに次の標的へ移動済み。
「くそっ、追いつけねえ!」
他の転生者たちも頑張ってる。力チートの田中はビーストを殴り飛ばしてるけど、タイムは俺の半分以下。魔法チートの女の子は範囲攻撃で複数同時に狩ってるけど、精密さが足りない。俺は10体全部を3秒以内でクリア。新記録更新。
アナウンスが響く。「佐藤太郎、驚異の2.8秒! 新記録です!」
コロッセウムが揺れる。俺はフィニッシュラインでポーズ。観客が「タロー! タロー!」ってコールしてる。恥ずかしいけど、悪い気はしない。
休憩を挟んで第二種目、背の高いモンスター越えの本戦。相手は『スカイトレント』。高さ15メートル、枝が鞭のように襲ってくる。ルールは、助走なしで背を越える。失敗したら即失格、しかも枝に絡まれて大ダメージ。
参加者は5人に絞られた。俺、黒崎、田中、魔法少女、そして召喚チートの少年。
「スタート!」
俺はスピード無双で地面を蹴る。体が浮く。風を切って跳躍。トレントの枝が迫るけど、空中で体を捻って回避。背の高さを越え、着地。タイム0.7秒。完璧。
黒崎は影遁で影を伸ばして登ろうとするけど、トレントの枝に絡まってリタイア。田中は力で枝を折ろうとして逆に吹き飛ばされる。召喚少年は小型ドラゴンを召喚して乗って越えるけど、タイムは俺より遅い。
「佐藤太郎、またしてもトップ通過!」
第三種目、モンスター仲間収集リレー。今回はチーム戦。俺は単独だけど、原作者特権でOKらしい。制限時間10分で、何体テイムできるか。収集したモンスターを「パス」して次のエリアへ進む形式。
森エリアに放たれたのは、狼型、鳥型、熊型のモンスターたち。俺は原作知識で弱点を突く。狼には肉を投げて誘導、鳥にはスピードで追いついて首根っこ掴み、熊にはチート修正で「好戦性を低下」させて即テイム。
5分で15体。観客がどよめく。「あいつ、モンスターを友達みたいに扱ってるぞ!」
リレー形式で、テイムしたモンスターを並べて「パス」。狼に乗って疾走、鳥で空から援護、熊で壁役。完走タイムは他のチームの倍速。
本戦三種目終了。俺は全種目1位通過。決勝は明日、最終種目『モンスター騎乗レース』で決着。
控え室に戻ると、王女が直々に訪ねてきた。ドレス姿で、頰を赤らめて。
「佐藤様……素晴らしい戦いぶりでした。明日も、ぜひ見ておりますわ。」
「は、はい。がんばります。」
彼女が去った後、黒崎が再び現れる。今度は仲間を連れてる。転生者グループらしい。
「お前、この世界を弄びすぎだ。俺たちはお前の設定で苦しんでる。決勝で、絶対に潰す。」
「好きにしろよ。俺は自分の物語を、最高のエンドに変えるだけだ。」
夜、宿屋でステータスを確認。レベルはすでに50超え。スキルも強化されてる。チート修正で、少しだけストーリーを弄る。「決勝のレースコースに、隠しギミック追加。俺有利に。」
明日の決勝。モンスター騎乗レース。野生の飛竜級モンスターを即席テイムして、コロッセウムを一周する大レース。転生者全員参加。俺のスピード無双と騎乗スキルが、どれだけ通用するか。
俺はベッドに横になりながら思う。この未完の小説を、俺の手で完結させる。しかも、最高のハッピーエンドで。




