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よく忘れてしまうけど

作者: P4rn0s
掲載日:2026/02/05

家がある。

鍵を回せば、自分の居場所がちゃんとそこにあって、

靴を脱ぐ場所も、荷物を置く場所も決まっている。


お風呂は、入りたい時に入れる。

蛇口をひねればお湯が出て、

今日は少しぬるめにしようか、なんて気分で温度を選べる。

それが特別だなんて、考えたこともなかった。


ご飯もそうだ。

空腹は、基本的に我慢するものじゃない。

冷蔵庫を開ければ何かしらあって、

最悪コンビニに行けばどうにでもなる。

お腹いっぱいになる、という行為に、

努力も覚悟もいらない。


夜は、安心して眠れる。

屋根があって、壁があって、

誰かに追い出される心配もなく、

明日の朝が来ることを疑わずに目を閉じる。


こういう幸せを、

生まれた時からずっと与えられてきた。


だから、たぶん。

今の生活が「とんでもなく幸せだ」と言われても、

ピンとこないのだと思う。


欠けたことがないものは、

満たされていると気づきにくい。

失ったことがないものは、

ありがたさとして形を持たない。


不満がないわけじゃない。

むしろ、細かい不満ならいくらでも思いつく。

でもそれは、この土台があるからこそ

出てくる贅沢なノイズみたいなものだ。


誰かが必死で手に入れた「普通」を、

自分は最初から持っていただけ。

それだけの話なのに、

それを誇ることも、卑下することもできずに、

ただ当たり前として生きている。


幸せに鈍感になったんじゃない。

ただ、幸せの基準線が、

最初からずっと高い位置に引かれていただけだ。


今日も、家に帰って、

お風呂に入って、

ご飯を食べて、

安心して眠る。


それを幸せだと感じなくても、

それが幸せじゃないわけじゃない。

たぶん、そういう世界で、

僕は静かに生きている。

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