味のないガム
掲載日:2026/01/20
青空色のガムを口に放り込んで
君が来るのを待っていた
弾ける夏のような味は
今日の寒空には合わないけれど
冷たい後味は
氷のようだった
賑やかな校門は
少しずつ静まり
生徒たちの笑い声が
帰途に溶けてゆく
独りで噛むガムは
冬の味
遠ざかる足音に耳を澄ましては
君のじゃない
君のじゃないと
肩を落として
君だけを感じるために
他の足跡を消してゆく
空は橙色に染まっていた
校舎からチャイムの音がする
君は来なかった
今日も来なかった
けれど
きっと明日も此処で待つ
味のないガムを噛み締めて
ずっと
君が来るのを待っていた
ご覧いただきありがとうございました。
味のないガムを、ずっと噛み締めて。
誰かに届きますように。




