味のないガム
青空色のガムを口に放り込んで
君が来るのを待っていた
弾ける夏のような味は
今日の寒空には合わないけれど
冷たい後味は
氷のようだった
賑やかな校門は
少しずつ静まり
生徒たちの笑い声が
帰途に溶けてゆく
独りで噛むガムは
冬の味
遠ざかる足音に耳を澄ましては
君のじゃない
君のじゃないと
肩を落として
君だけを感じるために
他の足跡を消してゆく
空は橙色に染まっていた
校舎からチャイムの音がする
君は来なかった
今日も来なかった
けれど
きっと明日も此処で待つ
味のないガムを噛み締めて
ずっと
君が来るのを待っていた
ご覧いただきありがとうございました。
味のないガムを、ずっと噛み締めて。
誰かに届きますように。




