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第50話 おっさん、美人グラマスにロックオンされる

 タリシアが落とした、とんでも無いBOMBの威力に、すぐさま四つの殺気が立ち上がる。その反応はまるで良く出来たシューティングゲームの操作性宜しく、神速のレスポンスだった。


「どうじゃ、このワシを好きにできるのじゃぞ? 後ろの小娘達とは比べ物になるまい」


 全くこの人は……空気読めないのか、読む気がないのか、後ろから発せられる殺気もどこ吹く風と、さらにフレア達に挑発的な視線を放つ。


「フレア様、その言葉はどないな意味で言うてはるんやろか?」


 意外にも、真っ先に口火を切ったのはパーティの良心で控えめな瑠奈だ。その彼女の表情はカジノで俺を奮い立たせた、あの時の感じによく似ているが、


「どないも、こないも、言葉通りじゃ。ワシの男となって一緒にこのギルドを盛り立てて行かんかと、そう言う事じゃ」


 その瑠奈の剣幕すらも余裕で受け流し、質問に答える。


「まあ、おぬしの男で有るならば、諦めもするが?」


 一方タリシアの方は大人の余裕か、ニヤニヤと意地の悪い笑みで悠然と問い変えす。


「え、いや、そ、それは……ちゃいますけど」


 タリシアの意地の悪い質問に、言葉を詰まらせる瑠奈。そう言うのは、俺本人の前でやらんで貰えませんかね?


「それならば、何も問題無かろう」


「問題大有りです、タリシア様。ヨシダは我々のパーティメンバーで大事な仲間です。これから竜災の夜の真相解明と黒幕を突き止めると言う任務が有ります。彼を拘束する様な真似は、しないで頂きたい」


 瑠奈に次いでフレアが反論する。頑張れリーダー、俺の命運は貴女に掛かっている。


「じゃから、さっきから言うとろうが、パーティでの活動は続けて良いと。ワシは寛大じゃ、そこまで束縛するつもりは無い。なんなら、ワシが本妻なら、小娘どもを纏めて妾にしても良いぞ? どうじゃ、文句は有るまい」


「「「「…………」」」」


 そうはっきりと宣言するタリシアに、ウチの女性陣は言葉を失い戦意喪失寸前だ。

 頑張れみんな、俺があのセクシーヒップに敷かれてこき使われるかどうかの瀬戸際だ。ファイト!


「一つ聞いても良いだろうか、何故タリシア様はヨシダに固執する。最初は見習いかなどと仰られていたのに」


 鬼灯よく言った、そうだそうだ、冒険者見習い呼ばわりは忘れてないぞ。


「そうにゃ、荷物持ちとか言って馬鹿にしてたにゃ」


 そうだキャトリーヌ、もっと言ってやれー、俺はパーティの荷物程度って、アレ?


「それはそうじゃろ、初見では魔力も感じかったし、ただの優男程度にしか見えなんだからの、とてもじゃ無いがスタンピードの要とは普通思わんじゃろ」


 鬼灯やキャトリーヌの援護射撃も飄々と躱し、俺の価値を語り出す。


「じゃがの、報告書の内容、模擬戦での能力、それを的確に運用する戦術とワシの言葉の裏を読む知性、何より異世界からの転生者と言う唯一無二の存在じゃ」


 絶世の美女で、グランドマスターの絶賛についつい鼻の下がヤバくなる俺、フレア達パーティでもやってけるし、あの尻に敷かれるのも悪く無いかも……などと考えたり。


「こんな面白い男は二人と居らん、おぬしらがツバを付けとらなんだら、ワシが付けるのは当たり前じゃろ」


 そう宣言する彼女に、フレア達は返す言葉が見当たらないのか、言葉に詰まっている。


「おぬしらの様に、黙っていて振り向いて貰おうなど、虫の良い話じゃ。欲しいなら自ら掴み取れ! ヨシダよ返事は要らん、ワシは欲しいものは必ず手に入れる、覚悟しておれ」


 マジか、強烈なロックオンレーザーの照射に、ほとほと参ってしまったが、取り敢えず答えなくても良いみたいなので、暫く放置しておく事にした。と言うかせざるを得ん。

 それはさて置き、ここでの調査に含みがある発言を思い出し、頭を切り替える。


「で、なんだか盛大に話がソレましたが、ここでの調査は結局協力願えるのですか?」


 未だ、憤懣やるかたない様子のフレア達も取り敢えずは放置して、今後の方針を決める為に話を戻す。


「そうじゃのう、愛しのダーリンのお願いなら、協力もやぶさかではないがの」


 ……わざとらしい演技をジト目で眺める。なんだよ愛しのダーリンって、雷魔法が得意なタイガーストライプのビキニ美女かよ。


「あの、そう言うの良いので、真面目な話でお願いします」


「なんじゃ、つれないのう。分かった本ギルドも調査に協力しよう」


(貸し付けといて、利子で首が回らなくしてやるからの)


「「「「「本当ですか?」」」」」


 その返答に、俺たちは綺麗にハモりながら聞き返す。


「本当じゃ。ただし」


 出た、"ただし"、やはり、"やぶさかではなかった"訳か。


「おぬしらのパーティでの実力を示してもらう、先ずは潜入捜査と情報収集のクエストをこなして貰おうかの」


 喜びも束の間、やはり一筋縄では行かない様で、俺たちはパーティでの実力を示す為、クエストを成功させなければならない様だ。


「我々の実力を試すためのクエストが、潜入調査や情報収集と言う事は、戦闘能力以外での能力を見られると仰られるのですか?」


 フレアが早速詳細を詰めに掛かる。タリシアと比べれば感情の起伏が有るが、頼りになるリーダーである事に違いない。


「そうじゃ、戦闘能力は報告書と先のヨシダの力で大体分かった。じゃがそれ以外の能力は未知数じゃからな。当然テストさせて貰おうぞ。どの道王都(ここ)じゃと力だけの脳筋では務まらんからの」


 流石はグランドマスター、ふざけた要求をしてたのが嘘の様に、いざ仕事の話になると、その隙の無い表情は一筋縄では行かない難敵である事を再認識させる。


「潜入調査や情報収集はわかりました。そのクエストの具体的な内容は如何言ったモノでしょうか?」


 フレアが緊張した面持ちでクエストの具体的な説明を求めると、アリシアの口からラノベの王道展開とも言える内容が語られた。


「おぬしらに依頼する内容は、とある辺境伯の屋敷で催される夜会に、臨時護衛という名目で潜入し、ある情報を探って貰う」


 よりにもよって、俺のシューティングスキルが全く役に立たない、ステレス系クエストかよ。バルムンクのOhNAMI社が出してたステレスアクションゲーム、アイアン・ウォーカーのスキルは……無かったよな……はぁ、ダンボール箱無いかな。


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