表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/37

第28話 おっさん、凱旋する

 俺達は見事スタンピードを阻止し、ダンジョン(コア)の破壊に成功した。黒幕と思しき仮面の紳士は、取り逃してしまったが、取り敢えず依頼は完遂された訳だ。


 廃坑の外へ出ると、陽は沈み掛け、空は橙色から紫色へのグラデーションに染まり、星々が瞬き始めていた。


 冒険者達は一様に疲れた様子ではあるが、その顔は大規模作戦を完遂した充実感で満ち溢れ、おたがいの健闘と無事を讃え合い、それぞれの馬車に乗り込み、一路ソルバルドの街へ向けて出発する……


 ……一定のリズムを刻み、心地よく揺れる馬車に、疲れが出たのだろう皆んな寝てしまった。


 瑠奈は俺の隣で肩に持たれたまま、静かな寝息を立てている。キャトリーヌはだらし無い格好のまま眠り、涎を垂らしながら時折ニャーニャー言っている。おやつを食べる夢でも見ているのだろうか……大規模な任務を殆ど被害もなく終えた達成感と、心地よい疲労感で馬車内は満たされている……




「皆、ソルバルドの街が見えた」


 暫く走り続けていると、御者台で手綱を預かる鬼灯が知らせてくれる。


「すまんな鬼灯、押し付けてしまって」


 静かに目を閉じて休んでいたフレアが鬼灯に労いの言葉を掛ける。


「否、帰還までが任務だ」


 言葉短に答える鬼灯、御者台の向こうにはソルバルドの街が見え始める。


 街へ近づくにつれ篝火や、魔道具の光が見えてくる。俺達が出発した南門にはスタンピードで撃ち漏らした魔物達に備え、街の護衛を任された沢山の衛兵や冒険者達の姿が見える。


 俺たちの帰還に皆が手を振って迎えてくれる。門の近くに設営された天幕からは、頭二つ三つ抜けるほどの巨体が現れる……


「(如何しました? 貴方がた人間に正義が有ると、勘違いでもしてましたか? それともハルクの衝撃的な過去に言葉も出ませんか?)」


 一瞬脳裏に浮かぶ、仮面の紳士の言葉……時間は有るんだ、後でじっくりと言い訳を聞こうじゃ無いか。


 俺達はほんの少しの蟠りを感じながら、南門に集まった大勢の野郎どもに手荒い歓迎を受けるのだった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ