EP9:救出の怒り
『救世主様ァー!救いに参りましたァー!』
魔王城の入り口に辿り着くと、見たことのない人の兵士達とエクス&カリバーが魔族達と争っていた。
「ガイコツさん、彼らは誰?」
『王国の奴らです!私たちも加勢せねば!』
「もう来たの?誘拐されて1日も経ってないのに」
『救世主様がここへ来てから3日経ってます!』
「俺のついた嘘がこの世界を良くない方向へ大きく動かしてしまった、死者が出なければいいけど」
俺は急いで争いの場へ走った、なんとか辿り着いたが、中々に血生臭い惨状と化していた。死者はいなくとも、怪我人は大勢出たようだ。
「エクス!カリバー!やめろ!」
『救世主様!』
『救世主様だって?』
『救世主様だァ!』
ワイワイガヤガヤ…
「ふざけるな!死者は出さない約束だろ!何をしに来た!」
『死者は出していません!それに、救世主様は魔王に誘拐されたのでは…』
「だからといって武力行使は良くない!平和にやってたんじゃないのか、戦争になったら平和を望む一般の方々も危害が及ぶだろ!な!そこのゴブリン!」
『は、はい。救世主様』
「理解したら、種族問わずに怪我者の手当てをしろ」
俺がそう言うと、お互いに手当てをし始めた。俺はエクスとカリバーを呼んで、頭に軽くチョップをした。
『痛っ』
「わざわざここまで助けに来てくれてありがとう」
『ご無事で何よりです、救世主様』
「でも、力付くは良くない。話が通じるんだから、きちんと話し合わないと」
『ですが!相手が先制して救世主様を…!痛っ』
「エクス、やられたらやり返す倍返ししてたら最初は2倍でも、最終的に100倍くらいになるでしょ、魔王にはきちんと説教しておいたから、これでおしまいね」
『魔王を倒したのですか…!』
「若いのに魔王をしててしっかりしてるよね、殺してはないよ」
『申し訳ありません救世主様、ですが、今回は国王様の命令でしたので断り切れませんでした。私も救世主様を救いたい一心でしたので』
「国王?帝王じゃなくて?」
『話すと長くなりますが、構いませんか』
「要約だけしてくれる?」
『帝国側は王国側に借りがあるということです』
「なるほど、とりあえず俺を王国へ案内してくれる?助けを出してくれた国王にお礼を言いに行かないと」
『わかり…ました?』
こうして、魔王の救世主誘拐の件は一旦幕を閉じた。俺は兵士の方々に後のことを任せて、エクスとカリバーを連れて王国へと向かった。