EP8:魔王城転移
『やっほー!始めまして!救世主様♡』
俺が気がつくと、目の前には王冠を被った女の子が目前に立っていた。身長は130cmもない、黒髪で大人しそうな見た目からギャップを感じる。
「ここはどこで、あなたは誰ですか」
『私はこの魔国を統治する魔王!ティアラだよ!』
「魔王様が何のようでしょうか」
『私と結婚をしてよ!救世主様♡』
「初対面なのに?」
『私は人族に戦争を起こそうと思ってるの!その為には救世主様の力が必要ってことなの!』
「…仲良くやってたんじゃ」
『表面上はね!でも、裏では帝国のドロドロに腐った欲が成長してね、もう今すぐにでも戦争が起きようとしている状況なの』
「お断りだ」
『え!?なんで!?』
「俺は無人島に帰る、戦争の抑止力なんかの為に魔王様に協力する義理はない」
『一応これ、お願いじゃなくて命令だよ?救世主様』
「俺は地を這ってでも無人島へ帰ってやる」
『大丈夫!きっとわかってもらえるから♡』
魔王が右手を挙げるよりも、先に走って魔王の右手を掴んだ。
『嘘、何で…』
「もういいか、これ以上無駄な血を見たくはない」
魔王はその場に座り込んで、脱力してしまった。今回は何でも切れるナイフを使う羽目にならなくて良かった、そもそも殺す意思のない魔王を殺すことはないが。
「おい、魔王。一ついいか」
『何…』
「少なくとも革命を起こした帝王は俺が殺した、戦争は当分起こせないはずだ」
『え、帝王を殺した!?そんなこと出来るはずないよ!』
「それでも俺は殺した、戦争なんてくだらないことを起こそうものなら元凶を消す。俺の無人島でもセカンドライフは邪魔はさせない」
『あえ…はい…』
「もし辛いことがあったら無人島においで、ヘビの殺し方教えてやるよ」
俺は魔王を背に玉座の間?から出た、そしてすぐに迷子になったことに気がついた。
「なんて広いお城なんだ、歩けど歩けど出口へ辿り着く気配を感じない。魔王に帰り道を聞くべきだったが、もう手遅れだ」
歩いていると、向こうからガイコツが慌てた様子で走ってきた。
『大変だ!大変だ!ってワァッ!!誰だオマエ!』
「みんなから救世主って呼ばれてる人です」
『救世主様でしたか!大変です!人間2人が攻めてきました!助けてください!』
「救世主はなんて不自由なんだ」
俺はガイコツに導かれるがままに入り口へと向かった。