EP1:無人島に行くなら何を持っていく?
なぜだろう、俺は温かい砂浜の上に寝転んでいる。波の音がとても心地よい、どこまでも青い空が広がっている。なぜ俺がこんな状況下にあると言うと、少し前に遡る。
――1時間前…
「急げ急げ!早くしないと売り切れるぞ!」
「お前が英語の補習なんかに時間を取られてるからだろ!?」
「仕方ないだろ!?俺が理解しているのはis am areだけなんだから!」
俺達は新刊のコミックスを買う為に全力疾走していた。だって、死んだ筈の主人公の仲間が目の前で蘇るなんて続きが気になり過ぎるにも程がある!
「俺が先に読むんだからな!お前はその後だ!」
「一緒に読めば良い話だろ?ってこんな時に赤信号かよ!」
俺達が足踏みして交差点の信号を待っていると、右方向から黒パーカーにフードを被りこんだ男が運転するトラックが猛スピードで走行してくる。なんて危険な野郎だ!そう思っていると、なんと!俺達を巻き込んでトラックがビルに突っ込んだ!もちろん即死した。そして、気がつくと、目の前には真っ暗な空間が広がっていた、だが自分の体は発光しているように良く見えた、地面もあるようだ。
「は?今俺死んだ?」
『マジか!お前死んだのかよォ!』
「あんた、誰?どこにいる?」
『俺?この世界作った神ィ!』
「神?何言ってるんだ?」
『本当だって!ビックバンを起こしたのは俺だって!』
「何かのドッキリ?俺早く本屋に行きたいんだけど」
『え?お前死んだから無理に決まってんだろォ!アハハ!』
「じゃあここにいる俺は誰だよ」
『お前だよ!わかんない?思念体ってやつ!』
「思念体?本気で言ってんの?」
『最近人間観察にハマっててさ!お前のことずっと見てたんだけど、死んじまったなァ!』
「おい…もう続き読めないのか…?」
『お前の人生終わりィ!』
「せめて何で蘇ったかだけ知りたかった…」
『まぁ落ち込むなって!セカンドライフを用意してるんだからよォ!』
「セカンドライフ?俺はこれから天国へ行くんじゃ?」
『獄なんか存在するわけないだろォ!?生物が死んだらそこで終わりに決まってんだろォ!』
「俺は?」
『お前のセカンドライフの行き先はどんな場所が良いィ?』
「刺激的で楽しい世界」
『じゃあこの宇宙に転生させとくなァ!』
「ちなみにどんな世界?」
『魔法の溢れる危険なファンタジー世界だァ』
「危険!?そんなの嫌なんだけど!?」
『お前無人島に行くなら何を持っていくんだァ?』
「無人島?ナイフ」
「じゃあ何でも切れるナイフ持たせとくから頑張れよ!じゃあな!モルモットォ!」
「え?」
『大丈夫!一番安全なところに送ってやるからァ!』
魔法の溢れるファンタジー世界って言ってたっけ。ここ、無人島じゃんか。俺の右手にはナイフだけしかない、なぜか短パンしか履いてないし、人生終わった。って感じで俺の無人島生活が始まった。