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零れ落ちたひ
初投稿です。よろしくお願いします。
街の上をーーー国の上をーーー雲の上をーーー星が落ちていく。
熟れた傷のような鈍い赤色の軌跡を雲上の青い空に刻んでいき、寸秒のうちに白い雲を突き破る。
雲底から姿を見せた輝く星は、尽くせぬ焔を身にまとう。
多くの人類は呆けた目でそれを追い、数多の終末のイメージを脳裏に巡らせる。
世界の終わり。命の終わり。
死んでしまう。
しかし、あらゆる絶望を想起させた紅星は、高度を下げるにつれ徐々に身を縮めていく。
少しずつ萎んだその体は手に収まるほどの大きさになり、辺境のちいさな村目掛けて落ちていく。
そして星は一人の少年の体に着地した。