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8話 帰宅後②

 俺からの質問に対してアステラの答えはおおよそ公園で言われたことと同じようなことだった。


①アステラは今から7年後の世界からタイムスリップしてきたということ。

②7年後の世界では『創星』という強力な能力者によって世界が壊滅状態になったということ。

③俺や琴音も同様に死んでいるらしく、アステラは『創星』による世界の崩壊を防ぐために過去にタイムスリップしてきたということ。

④『創生』の野望を防ごうとするアステラと後に邪魔になる予定である精進羅黒の命が狙われている。


とこんなところである。


「今思ったんだが、さっき襲ってきた筋肉もその『創星』ってやつの刺客なのか?」


「どうでしょうか?その可能性ももちろんありますが、情報がないのでいまはまだなんとも」


 アステラからの説明は一通り終わりこれからどうするかという議論になった。


 すでに日付は変わっており外もすっかり暗くなっていた。真面目な話に移行したこともあり琴音も若干眠そうであった。


「とりあえず明日からはお前をどうするのかを考えるのと『創星』の調査だな。」


「あてはあるのですか。」


「あるっちゃある。これでも栄凛の生徒会ではあるからな。」


 そういうとアステラは少し安堵したようだ。状況に進展が見られたことで少し楽になったように見える。タイムスリップまでしたのに、何も得るものがなかったとしたら絶望の一言では済まないだろう。彼女は幾千もの仲間の死体を見てきたのだから。


「お前は琴音と一緒にもう休んでおけ。俺はさっきぶっ飛ばした奴から話聞いてくるから」


「いいですよ、無理しなくて。羅黒さんこそ休んでください」


「俺は神秘の影響であんま休まなくていいんだよ。お前も知ってるはずだろ」


「そういえば羅黒さんの神秘ってなんでしたっけ?」


 アステラの予想外の返答に俺は顔をしかめる


 アステラから聞いた話では未来で俺とはしばらく一緒にいたらしい。さらに俺の神秘はセフター0に登録されるレベルで別段秘匿性もあるわけではない。


 それなのに知らないということは……


「お前ほんとに一緒に俺と行動してたのか?なんか怪しくなってきたぞ」


「しっ、知ってますよ。名前は精進羅黒、9月4日生まれ。O型。好きな食べ物はチーズとカラピス。本人は身長160cmって言ってますが本当は1cm盛っていてチビといわれると怒ることも。」


「なんでそこまで覚えてて神秘忘れてんだよ。あと身長盛ってないからな、ほんとに160あるし。」


「嘘つき」


「うるせえよ」


 めちゃくちゃ失礼なことを言われ続けたが一様俺のことは本当に知っているらしい。ただ、身長に関しては本当に盛った記憶はないしチビといわれてキレたこともないし、そもそも身長のことを気にしたこともない。チーズやカルピスなどの乳製品を摂取するのもそれを気にしてではなくもともと好きだったからでありチビだの小学生だの言われてもいちいち気にしないがそれをいちいち言及するほど俺も暇ではないので話を進める。


 「神秘名は『超耐性』、正確に言うと疲労、傷、毒とか普通の人間にとっての弱点に対して異常に高い耐性があるだけ。だからランクも一番下のセフター0。右腕と左足は…中三の頃に琴音の件で色々あって使い物にならなくなって代わりに戦闘用の義手と義足が装着されることになった。って感じでだいじょうぶか?」


「はい。だいたい思い出せてきました!」


なぜか俺の能力の詳細を聞くとアステラは嬉しそうにしていた。さっきからよくわかんない奴だなと思いはしたがいちいち言及することはしなかった。


 ちなみに先ほど言ったセフター0というのは神秘のランクのことである。


 まず、大まかな分類としてランクは0、1、2、間に2.5をはさんで最上位の3となる。俺の『超耐性』はただ体が頑丈になるだけで別に身体能力も上がるわけでもないので0となっている。(昔死ぬほど鍛えられたので、多少身体能力は人より優れているとは思うが………)


 ランク3の人間はかなり希少。所属している生徒会に一人いるがそいつはめちゃくちゃ強い。本気を出せばそれこそ町一個は壊滅できそうである。


 もっともランク=本人の強さを必ずしも示すとは限らない


 そして、そこからさらに区分されてセフター、ハザードに分類される。とはいってもその言葉の通り、犯罪者なら危険因子(ハザード)指定され、それ以外なら安全機構(セフター)指定される。


 例えば、先ほどアステラを襲ってきた刃上は明らかに犯罪者だからハザード指定され、俺は今のところ犯罪歴はないのでセフター指定される。


 まあ、普通に生きていればまずハザード指定されることはない





「ん?話終わったー?」


 眠そうにしていた琴音は髪をわしゃわしゃした後、顔を上げてこちらを見た。


「終わったよ。もう遅いからお前も寝ておけ」


「えー、まだ3時だよ。寝るには早いよー」


「『まだ』じゃない、『もう』だろ。少しは規則的な生活を送れよ。」


 あきれたように言うと、琴音はしぶしぶといった表情でとぼとぼと自分の部屋へと向かっていった。


「アステラも疲れているだろうし寝ておけよ。テレビ前のソファーかそれが嫌なら俺の部屋のベットで休んでおけ」


 そう言うとアステラも疲れたのかすぐにソファーに倒れこみそのまま眠りについた。


 二人が寝たのを確認した後、先ほどの襲ってきた男に話を聞きに行こうとすると、俺の携帯に連絡が来ていたことに気づく。


 そこで予想だにしないことが伝えられた。


 刃上利宗の心臓部分に穴が開いており死亡を確認したとのことだった。     



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― 新着の感想 ―
[良い点] 口封じされましたねぇ。大変なこととなりました。死因が直接的すぎてちょっと吹きました。そこを狙うのかぁと。アステラもちょっと黒いものを匂わせつつ、続きがどうなっていくのか、とても楽しみです。…
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