22/66
間話 ある男の決意
歩く。ただ歩く。
すでに死したはずの肉体を動かしていく。体という体は傷だらけとなっており、常人ならば動くこともかなわないだろう。
体からはもうすでに痛みすら感じなくなってしまった。それでも彼が動くのはひとえに彼を突き動かす使命があったからだ。
---精進羅黒を殺す
同じ歴史の過ちは繰り返さない。その存在は人類にとって不要であることを彼は誰よりも理解していた。
先ほど病院の中庭にて殺害の対象を目視し、改めてそう決意する。
歩く。ただ歩く。彼が裁かれるその時まで
空はすでに蒼闇に染まっていた。




