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第一話 プロローグ

プロイセン王国と聞いて皆さんは何をイメージするだろうか。

ある人は強力な軍隊でドイツを統一(オーストリア地域を除く)した国家と言い、またある人は進んだ工業技術と科学技術でフランスやイギリスと肩を並べた国家と言うだろう。


そんなプロイセン王国の前身であるブランデンブルク=プロイセン公国の君主フリードリヒ・ヴィルヘルムに、ある1人の男が転生した。


その男は日本で、地元の地銀に勤めていたが、例の如くトラックにはねられ死亡し、神に会い、フリードリヒ=ヴィルヘルムに転生した。


では、そんな男の第二の人生を覗いて見るとしよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…此処はいったい何処なんだ?」


俺はギリシャ神殿風の建物以外ない真っ白な空間にいた。

まるで、某少年漫画の精神と◯の部屋の様だ。


そんな事を考えていると、遠くから素裸のフランシスコ=ザビエルの様な髪型の老人が近づいて来た。


「…貴様ら霊長類は何故、そこまで信仰心と言うものがないのだ。」


その老人は怒りを含ませた声で言った。


「へ?」


俺は思わず変な声が出てしまった。

だが、老人は俺のそんな様子を気にする事なく、言葉を続けた。


「無神論に論理実証主義、唯物論、アナキズム、マルクス主義…上げていくて切りがないな。…昔は作物が実れば神のおかげだだとよく感謝されたものだが、今では例え豊作であろうと、科学技術が発展したお陰だと言う様になってしまった。」


「…まあ、でも実際に科学技術の向上による豊作ではないですか。…というか、そもそも貴方はどなたなんですか?」


俺は恐る恐るそう言った。

すると、老人は堂々と言い放った。


「貴様ら風に言うと、神だ。」


俺はこんな漫画のテンプレみたいな事があるんだと思いながら疑問を尋ねた。


「さいですか。…それで、此処は何処なんです?」


「天界と現世との狭間だ。」


「そうですか、なら早く天国に送ってくださいよ。」


俺は自分が死んだ事が確定したというのに、とても冷静なことに驚きながら、そう言った。


「駄目だ。」


神は間髪入れずにそう言った。


「…何故ですか?」


「…現世では総人口の16%…つまり、12億人以上の人々が神を信じておらんのだ。それだけに止まらず、最近では"神は死んだ"などとほざく輩もいる。…これは、由々しき事態だ。そこで、我は考えたのだ。…科学文明が発展してしまったから人々の信仰心は薄れてしまったのだと。…ならば、科学文明の進んでいない時代に送り、信仰心を芽生えさせてやればいいとな。」


「…それが、私を天国に送れないのと、どの様な関係が?」


すご〜く嫌な予感がする。…まさか、ね。


「簡単な事だ。…お前をその文明の進んでいない時代に転生させる為だ。」


嫌な予感的中しちゃった…。


「…何で、何で私何ですか?他の人でもいいじゃないですか!…私が何をしたというのですか!」


俺がそう反論すると、神は苛立った様子で言った。


「…貴様は、我と出会ってからずっと我の容貌を見て心の中で笑っておるではないか!」


「…バレてました?」


俺は悪戯がバレた子供の様にそう言った。


「当たり前だ!」


「ですが、いきなり裸でフランシスコ=ザビエルの髪型みたいな老人が現れたら、笑ってしまうのも致し方無いではないですか。…と言うか、声に出さなかっただけマシだと思うのですが。」


俺は開き直ってそう言った。

すると、神が怒りに震えながら言った。


「貴様、とうとう開き直りはじめたな!…初めてだ。こんなにも神を馬鹿にしておる霊長類は。…今から数百年前に"危機"と呼ばれた時代があった筈だ。…お前をその時代に転生させてやる。」


「いや、俺は天国に行きたいんで結構です。というか、数百年前なんて衛生状況は悪いは、飯は不味いはと良いとこ何もないじゃないですか。」


「貴様の意見など聞いておらんわ!…精々、転生してから前世での行いを悔い改めるのだな。」


神がそう言うと、俺の足元が空洞になり、俺は下に落ちていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


西暦1625年 ブランデンブルク領 ベルリン近郊


気がつくと俺はヨーロッパ風の建物の中にいた。


「建物からしてヨーロッパである事は分かるけど、此処はいったいどこの国なんだ?」


俺はそう独り言を呟きながらキョロキョロと周囲を見渡した。

すると、窓があった。何が見えるかなと思いながら窓を覗いて見ようとしたら窓のガラスが反射して自分の顔が映った。


だが、その自分の顔は現代日本で嫌と言うほど見て来た顔ではなく、以前の俺の顔とは似ても似つかない5歳ほどの白人の男の子の顔であった。

ここで、俺は本当に自分は転生したという事を嫌でも再確認させられた。


気を取り直して窓の外を見てみると、見覚えのある建築物が見えたと同時に途方もない絶望感が襲って来た。


「あ、あれはベルリン大聖堂じゃないか。」


ベルリン大聖堂。それは西暦1465年から存在し、1608年以後はルター派の礼拝を行なっている壮大なドームがついている聖堂だ。

因みにだが、ベルリン大聖堂の地下にはプロイセン王家であるホーエンツォレルン家の墓所がある。


さて、何故俺がベルリン大聖堂に見覚えがあるのか。それは1人旅行でヨーロッパを訪れた時に観光したからだ。

その旅行中、ローマでスマホを擦られたのは良い思い出だ。


話がそれでしまった。では、本題に戻ろう。俺がベルリン大聖堂が見えたと同時に絶望感が何故、襲って来たのか。

それは、神が俺を転生させる時に「数百年前に"危機"と呼ばれた時代があった筈だ。…お前をその時代に転生させてやる。」と言っていた。

ドイツ、数百年前、危機この3つのワードから俺は一つの言葉が思い浮かんだ。


十七世紀の危機。


それは小氷期の到来による作物の不作、作物の不作による経済の停滞、ペストの流行によるヨーロッパ人口の減少、ヨーロッパ中での宗教対立と言った出来事をまとめた言葉だ。

因みにだが、ヨーロッパ中での宗教対立の最たる例として三十年戦争と言うものがあり、恐らく俺が居るであろうベルリンはその三十年戦争で人口が半減している。

因みにドイツ全体では人口の三分の一が三十年戦争の間に消失している。

つまり、俺は三十年戦争で死んでしまう可能性が高いという訳だ。

これで俺が絶望感に襲われた理由が分かるだろう。

それでも、もし俺が権力者に連なる者なら死ぬ可能性は幾らかは減るだろう。


そんな事を考えていると背後から声を掛けられた。

誰だろうと思い振り返ると髭を生やした4、50歳位の白人男性がいた。


「全くフリードリヒ様、また教養の時間を抜け出して…貴方様は栄えある神聖ローマ帝国ブランデンブルク選帝侯であるホーエンツォレルン家の跡取りなのですよ。…もう少しその自覚を持って下さい。」


その男性はその後も10分程、くどくどと俺に説教をした後、宮殿に帰りますよと言って俺を馬車に乗せた。


説教されて分かったのは、どうやら俺は大選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムに転生したという事だった。

俺が知っているフリードリヒ・ヴィルヘルムの主な功績は、当時の東ヨーロッパの両雄スウェーデン王国(バルト帝国とも言う)とポーランド王国からのブランデンブルク=プロイセン公国(後のプロイセン王国)の独立。

そして、最も重要な功績として後にプロイセンがドイツ統一を成し遂げる程の国力を付ける地盤を築いた人物だ。

かの有名なフリードリヒ大王がプロイセン王国の国土を大幅に拡大出来たのはフリードリヒ・ヴィルヘルムの功績無しでは成し遂げれなかっただろう。


これでも、ピンと来なかったら人の為にフリードリヒ・ヴィルヘルムを日本の偉人で言うと、織田信長の父親である織田信秀、又は織田信長の祖父である織田信定のポジションであると言える。


そんな事を考えている内に馬車が宮殿と思われる場所に着いた。

すると、白人男性は降りる前に俺に話しかけた。


「フリードリヒ様、今日は勉学の時間はもう有りませんのでご自由にお過ごし下さい。ですが、明日は今日の分の遅れを取り戻す為にハードに授業を進めますよ。…分かりましたか?」


「はいはい。」


俺が適当に返事を返すと、白人男性は眉を吊り上げこう言った。


「フリードリヒ様、返事は一回です。…それと、もう教養の時間を抜け出さないで下さいね。」


俺は自分がやった事じゃ無いのに理不尽だと思いながら返事した。


「分かったよ。」


その返事を聞いて安心したのか、白人男性は優しい笑顔で「それではまた明日、お会いしましょう。」と言うと宮殿とは反対側に歩いて行った。


俺はどうやって部屋に戻ろかと考えていると、メイドが慌てた様にやって来た。


「フリードリヒ様、お出迎えが遅れてしまい申し訳御座いません。」


「気にするな。自室に帰りたい。」


「ありがとうございます。…自室で御座いますね。こちらで御座います。」


そう言ってメイドは自室の前まで案内してくれた。


「ありがとう。」


そう言うと俺は部屋に入って行った。


部屋の中は意外と質素だった。

まあ、これはフリードリヒ・ヴィルヘルムの趣味なのだろう。知らんけど。


しかしだ、今日はいろいろとあり過ぎて疲れた。早めに寝てしまおう。

そう考え、ベッドに入った直後強烈な頭痛が襲って来た。


ああ、やばい。どんどん視界が歪んで行く。

違う誰かの記憶が強引に俺の頭の中に入って来ている感覚だ。

一体俺はどう成ってしまうんだ…。

俺は漠然とした恐怖心を抱きながら気を失った。


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