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②ー⑤ 私たち3人、どうやら同じ人に恋しているみたいですね

「それではここで、改めて自己紹介をさせていただきます。」


先輩方に、屋上に連れて行ってもらった私はまず、二人にそう言った。


「私の名前は月野瀬優奈。今年この高校に入学してきた高校一年生です。……その、先輩方に、誰もいないような場所に連れて行ってほしいって言った理由なんですけど、お二人と、話したいことがありまして……。」


私がこの二人に聞きたいこと、それは私の人生に、これから先の私と広葵先輩の関係に、大きく影響を及ぼす可能性があること、


「お二人は、広葵先輩のことが好きですよね?」


と、言うことだ。……広葵先輩が振られたっていうから、躑躅さんって子と、先輩が付き合うことはないなと、思っていたが、あの呼び方、そして私たちが3人で話しているところを見ているあの表情、あれは恋をしている乙女の目だ。


「……お二人はってことは、優奈ちゃんも、広葵君のことが好きなの?」


そう、躑躅さんは聞いてきた。


「はい。私は広葵先輩のことが好きです。大好きです。ずっとずっと、ず~っと前から、子供のころから大好きでした。」


別に隠すことでも、恥ずかしいことでもないので私はそう言った。……まあ、さすがに中学校の友達とかにこの言葉を言うのは恥ずかしいよ?でも、この二人は、わたしと同じく広葵先輩のことが好きなのだ。だから別に隠す必要はない。(まあ、私の予想が当たっていたらだけどね。)


「へ~、そうなんだ。……月野瀬産の言う通り、私は広葵君のことが好きよ‼広葵くん……ううん、ひろくんの優しいところとか、すっごく大好きなの。ひろくん、あの性格だから、ライバルは多そうだなって思ってたけど、まさか陽川さんもその一人だったなんて。」


あれ?この人、もっと隠すと思ってたんだけどな。……ていうか、広葵先輩のこと好きなら、何で広葵先輩のことを振ったんだろう。

そんな私の疑問は、躑躅さんの言葉によって、解消されることになる。


「でも残念ね、二人とも。私とひろくんはもう、付き合っているんだから‼」


……え⁉それってどういうこと⁉広葵先輩、朝、躑躅さんに振られたって言ってたよね⁉

どうやら、陽川さんも、広葵先輩から、同じような相談を受けていたようで、ものすごく驚いた顔をしている。(この時の優奈は、言われたことが衝撃的過ぎて、そもそも広葵に、好きな人がいることを知らなかった可能性を考えていない)


「私ね、ひろくんから、告白されたの。3月5日、ひろくんの誕生日に。」


うん。ここまでは広葵先輩に聞いた通りだ。


「『ずっとずっと、躑躅さん、いや、なずなのことが好きでした』って、そういう風に言われたの。」


きっとこれ、めっちゃ要約されてるんだろうな~。広葵先輩、躑躅さんのことを語っている時、時間も忘れて話してたからな~。まあ、好きな人の好きな人の話を聞いている私は、すっごくきつかったけど。


「それでね、私はまず、『ごめんなさい。今日は広葵君の誕生日なのに、私の方から告白できなくて。』って言ったの。」


あ、ああ、そういう事ね‼広葵先輩、躑躅さんの、『ごめんなさい』を聞いて、振られたと思って、そのあとの言葉を聞かずに帰っちゃったってことね‼……もう、先輩ったらだめだな~。まあ、その先輩がダメだったおかげで、私がまだ先輩と付き合える可能性が残っているんだからね。うん。先輩のダメダメ具合に感謝‼


「まあ、そんなわけで、私はひろくんと、付き合い始めたってわけなんですよ。」


私がいろいろなことを考えている間に、いつの間にか躑躅さんの話が終わってた。


「でも、先輩たちは結婚していないわけですよね?」


私はここで、あえて先輩が、躑躅さんに振られたと思っていることを隠した。そして陽川さんに向けて、ウインクをした。このウインクは、『躑躅さんに、先輩が降られたと思っていることを隠しましょ‼』って意味でやったのだが、伝わっただろうか?まあ、少なくとも目が合っていたから、気づいてないってことはなさそうだけれど。


「うん、そうだよ。まだ高校生だから、結婚はできないしね。」


「躑躅さん。結婚していない相手から、婚約をしていない女の子から、付き合っている人を奪っちゃダメなんて法律、ありましたっけ?」


あえて、先輩と、躑躅さんが付き合っていると思っているような言い方をする。躑躅さんに、今、先輩に告白されたら、きっと先輩はOKしてしまうだろうから。


「な、ないけど。」


「それなら、それなら私は、躑躅さんと戦います。躑躅さんが、広葵先輩と結婚する、婚約するその日まで、私は戦い続けます。……陽川さんは、どうしますか?」


よし、これでうまくいったんじゃないかな?あとは、陽川さんにうまく伝わっているかだけれど。


「私も、私も広葵に好きになってもらえるよう、一生懸命頑張ります。私、二人と戦います‼」


良かった~。何とかうまくいった~。これ、陽川さんに、意図が通じてなかったら完全に終わってたよね。多分。

まあ、そんなこんなで、広葵をめぐる恋のバトルが始まったのだった。

……ちなみに、優奈も日奈も、躑躅さんがポンコツなのではなく、広葵がバカだったんだと、この時は思っていました。

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