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②ー④ 急にやってきた優奈さん

広葵せんぱ〜い‼︎」


なずなさんと楽しく二人で話していると、教室の入り口の方から、俺のことを呼ぶ、優奈の声が聞こえてきた。


「優奈、今行くから待ってて〜。」


あまり目立ちたくない俺は、優奈にそういうと、


「ごめん、ちょっと行ってくる。」


と、なずなさんに言ってから、優奈の方に向かった。(←さっき思いっきり目立ってたことに気付いていないバカ)


「優奈、どうしたんだ?」


俺は優奈にそう聞く。

俺の時は、教室までの案内図を、係の人にもらえたので、迷わず教室まで行けたのだが、なぜか優奈は俺の教室に来ている。なぜ優奈がこの教室に来たのか、俺には理解ができないのだ。……自分の教室がわからなかったから、あの表の中から俺の名前を探してこの教室に来たっていうのもあり得ないし。


「私、この高校に友達いなくて……。でも、誰かに話しかけるのは怖くて……。だから、私の幼馴染である先輩と、話をしようと思ったんです。……あ、そうだ‼︎先輩、先輩のお友達、紹介してくださいよ‼︎私、その人となら仲良くなれると思うんです。」


いや、自分で友達作れよ‼︎大体優奈、人見知りとかそんな感じじゃないじゃん‼︎初対面でも、どんな相手でも結構話せるじゃん‼︎

そう心の中では思ったものの、あの優奈の、いつも元気な優奈の申し訳なさそうな目を見ると、そんな言葉は口から出てこない。

でも、紹介する友達って言ってもな〜。

そんなふうに思っていると、


「広葵‼︎その子がこの前話していた後輩ちゃん?」


そう言って、日奈が近づいてきた。……日奈、どうしたんだろう?普段はこういう時、話に入ってこないのに。


「はじめまして。私、月野瀬優奈って言います。先輩の……広葵先輩とは、小さい頃から仲が良くて、今でも良く話すので、今日も来ちゃいました。その、これからよろしくお願いします。私、広葵先輩の小さい頃の話とか、たくさんできるので、仲良くしてくれると嬉しいです。」


おい‼︎人の子供の頃の話で盛り上がろうとするな、優奈‼︎


「私は、陽川日奈って言います。……広葵の小さい頃の話か〜。なんか面白そう‼︎ねえねえ優奈ちゃん。今度お話聞かせてよ‼︎」


おい、日奈も人の過去なんていう恥ずかしい話で盛り上がろうとするな‼︎


「いや〜、本当に先輩ってすごいんですよ?面白い失敗談をたくさん話せるような生活をしてくれて、今日の朝なんて……ねえ。先輩?」


おい‼︎なんて話を学校でしようとしてるんだ‼︎いや、さすがにその話はやばいよ‼︎だって本人ここにいるんだよ⁉︎こ・こ・に‼︎せっかくなずなさんに、友達以上恋人未満から始めましょうって言ってもらえたのに(←だから勝手に解釈してるだけだった‼︎)また、またまた俺振られちゃうよ?ねえ、だからその話はやめてよ‼︎


「え〜、なになにその話、すっごく面白そう‼︎」


いや、だからダメだって、人の過去で、盛り上がろうとしたら‼︎

誰か、助けて〜‼︎

そんな俺の願いが通じたのか通じてないのか、なずなさんが、


「はじめまして。ひろくんの後輩さん。」


「はじめまして。……あなた、誰ですか?」


……ん?なんで優奈、急にあたりが強くなったの⁉


「私は、躑躅なずなって言います。……その、わたしも広葵くんの過去のお話を聞きたいので、もしよければ、教えてくれませんか?」


……ねえ、俺の過去って、そんなに魅力的なものなの⁉そんなにみんな、俺の過去のことを知って、俺のことをいじりたいの⁉ちょっと……いや、マジでそれは、やめてほしいんですけど‼


「あ、あなたが躑躅さんなんですね。よく先輩から躑躅さんの話を聞いていました。……広葵先輩、私、ちょっとこの3人で、お話したいんで、自分の席に戻っていてもらってもいいですか?」


なんで⁉俺のこと、優奈が呼んだんだよね⁉なんで俺、そんな邪魔者みたいな扱いされてんの⁉……それに3人でお話って、絶対俺の過去の話をするんじゃん。はぁ。いやだな~。

そんなことを思いつつも、ここで断る勇気など、俺にあるはずもなく、


「わかった。」


と、ただ一言そういうのだった。

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