②ー② 日奈との会話
「ねえねえ広葵。今年もまた、一緒に図書委員会やらない?」
新しい教室に向け、歩いていると、隣を歩いている日奈が、そう言ってきた。また、日奈と一緒に図書委員会か。去年、2人で1年間一緒にやって、すっごく楽しかったし、アリだな。むしろ嫌だっていう理由が見つからない。それくらい、去年1年の委員会はたのしかった。
「うん。いいよ。日奈と一緒に図書委員会の仕事やるの楽しかったし。……それに、また帰り道、ラノベの話とかもできるだろうからね。」
日奈と一緒に委員会をやる利点は、楽しいということだけではない。そう、ラノベの話ができるのだ。学校にも、一定数ラノベを読んでいる人はいると思う……いや、確実にいる。でも、周りの目を気にして、読んでいることを言わない人がほとんどだ。だから俺にとって日奈は、ラノベの話をすることができる日奈は、俺にとって特別な友達だった。……まあ、友達と呼べる友達なんて、日奈と優奈、ちょっと前まではなずなさんってとこだろう。……はぁ。なんで告白なんてしたんだろう。ただでさえ少なかった友達が、もっと減っただけじゃんか。
「やった〜‼︎私も広葵と、ラノベの話をするの、楽しみなんだよね。ほら、私友達全然いないからさ、今までは、学校行くの、嫌だったんだ。でも、広葵のおかげで、広葵とラノベの話をするのが楽しみで、学校に行きたいって思えるようになったんだよね。」
日奈も、俺と同じ気持ちでいてくれたなんて……。知らなかった。それに、日奈に学校に行きたくないって思ってた時期があったなんて。
「ねえねえ広葵、広葵は、新しいクラスに馴染めそう?前のクラスには、結構馴染んでたじゃん。広葵のこと、頼ってくる女子とか、広葵にちょっかい出してくる男子とか多かったし。」
そう、俺には友達と呼べるような友達はいないのだが、話しかけてくる相手は多いのだ。変な絡み方をしてくる人とか。……なんで俺、そんなに話しかけられるんだろう?もしかして、『自分より弱そうだから、怒らせても大丈夫だろ』とか思われて、下に見られてるから話しかけられたりするのかな?もしそうだったらすっごく悲しいんだけど。……日奈とか、話しかけたらやばそうな雰囲気だしてるから話しかけられないんだろうし。うん。あり得なくはないぞ。……あ、ちなみに日奈は、自分の出している雰囲気に気付いてないから、黙っておいてあげてね?マジで。教えちゃうとほら、日奈が可哀想だから。
「う〜ん。どうなんだろうな?前のクラスで、うまくやれた理由もわかってないし。まあ、あとは運次第だと思うけどな。」
そう、運も関係してくるのだ。クラスメイトの性格だとか、そう言うのによって、話しかけられるかどうかは変わる。だから今回のクラスでも絶対に成功するなんてことは言えないし、うまくいかないととも言えない。可能性は五分五分なのだ。
「そっか。あの広葵でも、自信がないなんて……。私、やっていけるのかな〜。」
え?なに、日奈は俺のこと、コミュ力お化けとか、コミュ力の神様とかでも思ってんの?そんなに俺、友達いないからね?たった3人だよ?3人。人間社会をピラミッドで例えるなら俺は底辺だよ⁉︎底辺‼︎いや、まあ日奈は、そんな俺より友達少ないらしいけど。
「う〜ん。どうだろうね。……でも、日奈がうまくやれてなかったら、俺が日奈の話し相手になってあげるから。2人組になってって言われた時とか、日奈とペアになってあげるから。……まあ、女子同士とかってなると手が出せなくなるけども。」
さすがに、『日奈なら大丈夫だよ‼︎』などと、無責任なことは言えないので、俺はそう言った。……まあ、俺みたいな底辺に言われても、嬉しくないだろうけど。
「え、本当にいいの⁉︎」
「もちろん。」
「やった〜‼︎これで私、ひとりぼっちにならなくて大丈夫だ〜。広葵、ありがとね‼︎」
これだから、日奈との会話はやめられない。たとえ俺が、どんなことを言ったって、笑顔で反応してくれて、嬉しそうな態度をとってくれる。本当に、本当に話していて楽しい。優奈とか、なずなさんとは別の楽しさ、面白さがある。みんな話していて楽しいけれど、その楽しさは、みんな違う。『みんな違ってみんないい』って、こう言うことなんだな。俺はそう思った。そして、これからもこの3人との関係を、よりよく続けられるように、なずなさんとも、これから先もうまく接していけるように、一生懸命努力しようと、心に誓うのだった。