相談
と、いうわけで5話目です!
「あ、忘れてた…」
手元の物を見て思う。
私がスカウトされてからどうしていたかというと、いつもどおりの日常をおくっていた。
特になにか大事な用事があって忘れていたとかではなく、普通に忘れていた。
せめて言い訳するなら、興味が無かったのだ!
でも思い出したからには約束もあるし話さなければならない。
うん、そうと決まれば今日はお母さんとお父さんが日曜日で休みだし話しに行こう、と思いリビングに行ってみた。
お母さんはお昼ご飯の下ごしらえしているし、お父さんはテレビを見ているので話しかける。
「お母さん、お父さん少し話があるんだけどいいかな?」
「ん?るなじゃないか、どうしたんだ?」
「うん、少し大事な話があってお母さんにも聞いてもらい
たいんだけどいいかな?」
「あら、私もなの?わかったわ少し待ってね」
そういってお父さんはソファから食卓の椅子に座り、お母さんはつけていた火を切ってお父さんの隣に座った。
二人が椅子に座ったのを確認して話を切り出す。
「実は先週買い物に行ったでしょ?そのときに迷子の子を見つけてね、その子はひかるちゃんって言うんだけどお母さんとはぐれてしまってね、いろいろ見て回ったんだけどどうしても見つけれなくて」
「ええ、言っていたわね。それでしっかり親御さん見つか
れられたんでしょう?」
「そんなことがあったのか、お父さんが知らないところで…まぁ見つけられてよかったね」
「うん、見つけられたのはよかったんだけど、問題はそこじゃなくて、見つけた手段というか見つけた後に問題があってね」
二人とも?を頭の上に作っている。
まぁそうだよね、私も見つけられたんだからそれでいいと思うし。
「その見つけ出した方法っていうのが、近くに小さいステージがあって」
二人ともまさか、と少し驚いた顔をしている。
「うん、お母さんとお父さんが思った通りだと思う。どうしても見つけられなくて、少しでも高い場所だと周りが見えるし目立てばみんな見てくれると思って、ひかりちゃんに歌ってみないって提案したの。それでひかりちゃんのお母さんは無事に見つけられたんだけどね」
そこで一度息を切ってその後であったことを話す。
「見つけたあとは待ち合わせの一時間過ぎていたから急いで戻ろうと思ったんでけど、そこでね」といって話を切り月島さんに渡された名刺を机の上に置く。
その名刺を見たお母さんが「これって!」とつぶやく。
「うん、スカウトだって」
「るな凄いじゃない!月島プロダクションっていえばたくさん芸能人の人が所属してる有名なところよ!」
「あぁ、お父さんの同僚もそこに所属している子のファンだっているしテレビでもよく見られるな」
「そんな凄いところだったんだ…」
「そうよ!で、るなそんなところにスカウトされるなんて入るの?入ったらやっぱりるなならモデルかしら、女優なんて言うのもあるわね!」
「実は、新しくアイドル育成するらしくてそこにどうかって言われているの」
「「…あいどる?」」
「うん、ステージで歌ったのを見てよかったからって…」
「るなはやってみたいって思っているの?」
「私自身はあまり興味はないかなって、私なんかよりもそらの方が元気いっぱいで向いているんじゃって思うし…」
「そうなのね、お母さんはるなの好きにしたらいいとは思うわ、ただ少し心配事があるから私はここの月島さんに少し電話してみるわ」
そう言ってお母さんは少し席を外し電話しに行った。
少し耳を澄ますと「はい、…ただ少し心配事が… はい」と途切れ途切れに聞いているとお父さんが「るなは好きなことは何か無いの?」と聞かれた。
(好きなこと…)と少し考えてみたが、料理やお菓子作りは趣味であって好きなことではないような気がしてそこで初めて気付いた。(私って好きなことないんだ…)と
「お父さんはやってみるのもありだと思うよ」
「…え?」
「るなはこれから何かなりたい物って決まっているかい?」
「特に決まってないけど…」
「それじゃあ入ってみるのもいいんじゃないかな?バイトみたいな感覚でやってみるのもありだと思うよ?それにるなは来年高校生になるんだ。少し早い社会見学だと思えばいいよ」
「そうかなー、あんまり自信がないんだけど…」
「間違いなく人気になれると思うよ。お父さんが言うと何様だって思うかもしれないけど、るなはその容姿だから、これからどんなことをしても目立ってしまうんじゃないかって思う。もちろんそんなことがないようにお父さんも、もちろんお母さんもサポートしようと思っている。周りの目が気になるならずっと家にいてくれてもいいんだけどね。るなはそんなこと思わないだろう?」
それを聞き黙ってしまう。
「るなをずっと見て育ててきたんだお父さんだってわかるよ、るなはいつもお父さんやお母さんにわがままを言わないだろう?」
「…」
「だからお父さんはるながやりたいことがあれば出来るだけのことをサポートしたいと思っているよ。もちろんこれはそらにも言えることだけどね」
そう言ってお父さんは苦笑した。
(そっかお父さんにはお見通しだったんだね、わからないようにしていたつもりだったんだけど)
だけどお父さんの思いを聞いて大切にしてくれているお父さんやお母さんに少しでも恩返しするためにはやってみるのもありかなと思った。
それにそらもアイドルが好きだしアイドルをすることを言って驚かしてあげるのもありかと思う。
そう思うとアイドルをするのもありかなと思ってしまった。(ふふ、私って結構単純なんだな)
「うん、お父さん私アイドルやってみる」
「そうか、家族で応援するから頑張るんだよ?やめたくなったらいつでもやめていいんだから。(…心配事はあるけどお母さんが聞いてくれているだろう)」
「うん!」
それからお父さんと話しているとお母さんが戻ってきて小さい声でお父さんと少し会話をしてこちらに向き話しかけてきた。
「それでどうするかは決めたの?」
「うん、私アイドルやってみる!」
「そう、お母さんも応援しているわ」
アイドルをやるかどうかの話はそこで終わりその日、夕方にそらが帰ってきて夕ご飯を食べているときに昼お母さんたちに話したことをそらにも話した。
「えぇー!?お姉ちゃんアイドルになるの!!」と思った通り驚いていた。
その夜はそらとお風呂に入りながらアイドルについて
だったり、知っているであろう月島プロダクションについての話だったりを聞いたりしながら一緒に寝た。
(明日月島さんに電話してアイドルやるって言わないと)と思いながら…
るなちゃんがアイドルなることを決めました!
これからのるなちゃんの活動をお楽しみに!