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ダイアリーズ -daily is die early-  作者: ヨシオカ タツキ
7/12

3-4 百万喰らい・・・ワニ

 おうちはおなかがぺこぺこだ。おうちはたぶん人の活気を食って生きているんだ。空腹で元気がなくなるのは、動物も家も同じなんだ。

 わたしのせいだ。当時五十名ほどいた従業員(家事なんかをしてくれる人のことっ!)をわたしが二人までに減らした。あ…あと、家の不景気に心労がたたっておじいちゃんも死んじゃった。いまどきは死ぬことだってめずらしいらしい。それくらい人間の寿命が延びたってこと、ならわたしが殺したようなもんじゃんか。おじいちゃんが体の一部みたいに大切にしてた食財、人財、家財まで、みんなわたしが食いちぎっちゃったんだから。しかも、今に完食しようとしていますし。

 今、わたしのごはんの支度はわたしがひとりでやっています。そろそろ四歳になるから、でしょうか?たぶん自立が必要な年齢なのです。パパは秘書を一人連れて、家を出た親類、医者、占い師などを探して全国を駆け回り、そのため月に一回ほどだけ帰ってきました。家にはママと一番の古株であるお手伝いさんがいて、外から建築士や法律家を招いては、怖い顔で一日中話し込んでいました。そうなればわたしはたったひとりでごはんを食べるしかありません。とても寂しいですがもう四つになるのですからがまんです。といっても起きている間中は食事をしているので気も紛れるというものです。

 ママと一緒にいられるのはわたしが眠ったときだけです。いつも日付を跨いでから寝室にやってきては、眠っているわたしの寝顔を眺めるとき心底安堵して優しい顔になります。何故知っているのかというと、ママにどうしても会いたかったから頑張って夜更かししてかろうじて薄目を開けていたからなのでした。そのときわたしはうれしくて、いたずらで寝返りを打ちました。ママが驚いてくれたところまでは良かったのですが、そのあとに昼間の怖い顔に戻ってしまったのです。

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