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ダイアリーズ -daily is die early-  作者: ヨシオカ タツキ
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2-2 銀幕の外側

 実際には死の粒子じゃない。終わらせたのは人類の命ではなく旧人類の時代だ。俺達は生まれ変わったんだ。当初、それは我々人類に周知の通りの放射線被害を与えた。下痢や嘔吐や出血、そして死。

 それから少し経って、長崎で特殊な事例が出た。 十代の処女がひとりでに妊娠した。発覚してたった三ヶ月でまるまると腹が膨らんだが、数日でしぼみきった翌日、女は窒息死した。解剖すると喉いっぱいに細長く押しつぶされて死んだ赤ん坊が詰まっていたそうだ。数ヶ月後には中年の男性の腹が膨れた(後からこれが妊娠だとわかった)。同じように数ヶ月でしぼんだ後、激しい腹痛でショック死した。解剖したがこちらには赤ん坊と見られる死体は見られなかったそうだ。

 それからこれらと同様な症状が男女ともに続き、約二年後初めて生きたまま出産することに成功した。しかし同じく母親は死んだ。胎児が母親の背中を突き破って出てきたからだ。背骨を真っ二つに折った胎児の見た目は通常の大きさと変わらないが、体重はおよそ三倍だった。ハジメと名付けられたその男の子は二週間だけ生きた。これを機に同様のことが後に続く。地域差はあれど、これが日本全国で起こった。他の国もそうだろう。

 はじめはこんなことばかりで、楽観的な俺もさすがに終末の臭いを嗅いだ。でもそこからたった二十数年で復興の兆しを見せるんだから、人間ってのはすこぶる優秀なんだと思う。それとも俺達日本人がすごいのか?

 ともかく、俺が与えられた仕事はその復興の完遂、もとい治安維持だ。今日はそのためのチームを編成する。ただの部隊じゃない。放射線によってDNAの変異の鍵を解かれた新人類たち。

 条件は一つ、自分の名前を捨てること。過去一切と死に別れ、国のために新しいネームを以て任務を遂行すること。

 俺もその一人だ。

 名は、マシンガンズ。

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