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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
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王と囚人

ジュリアとポールは遂に計画を実行に移す時がきていた。何度かの実験を経てポールは魔術書の効果を信用するようになっていた。

ジュリアとポールは、ポールが王になった後の事も話し合っていた。

それはポールが王であり続ける限りジュリアの要求に従い続けなければいけないという事だった。

ポールがジュリアの要求を飲まなければ魔術書を使ってジュリアはポールを元に戻すと言った。

もしポールが1度元に戻ればファビオはポールの事を決して許さないだろう。

ポールにとってはこの計画が実行されればもう後戻りする事は出来ない、自分自身にもう戻れない事を意味していた。

しかしポールは恐怖よりもこれから王になって待ち受けている喜びの方が勝っており、自分の体を失う事にあまり未練は無かった。

計画を実行に移す日ポールはジュリアをレールムから少し離れた人気がない小屋へと呼び出していた。

ジュリアはポールに言われた小屋に着いてその小屋の中に入ってみるとポールが1人で椅子に座って待っていた。

ジュリアに気付くとポールは少し緊張した様子で言った。

「よう、ジュリア……いよいよだな……。準備は出来てるが?」

するとジュリアは笑みを浮かべて言った。

「ええ……私の方は大丈夫よ。あなたはどうなの?」

するとポールは溜め息を1つ吐いて少し不安気に言った。

「……はーっ……。まぁどうにかなるだろう……後はファビオ王子が余計な事をしなければいいんだけどな……。」

「そうね……それはあなたに任せるわ。王子をしっかりと捕まえて頂戴。私はここで待ってるから。」

「ああ……分かった……。じゃあ今は王子を捕まえるのに専念しないとな。俺が王子を連れてここに戻って来るまでお前も誰にもバレないようにしていてくれよ。」

「ええ……分かってるわ。大丈夫よ。」

ポールは話を終えると黙ってしまったが、ジュリアは念の為にポールにもう1度確認した。

「分かっていると思うけどあなたが王様になっても私を裏切ればあなたを元に戻すわ。それにあなたにはポール王子を殺せない。彼を殺せばあなたも死ぬ事になるからね。いい?あなたは私の要求を飲み続けるしかないの。」

ジュリアのその言葉にポールは抵抗はあったが、ここで否定しても仕方ないと思ったのか嫌々ながらも納得したように言った。

「……ああ、分かってる。お前の言う通りにするよ。俺が王になればあの国はお前にくれてやる。だからお前の方もしっかり頼むぞ。失敗は許されないからな。」

「そうね……分かったわ。じゃあ今日はお互い頑張りましょう。私達の未来がかかっているんだから。」

「……ああ、そうだな。」

ジュリア達は計画を実行に移す時まで気持ちを落ち着けるようにして、その場でその時を待っていた。

ポールの計画はファビオ王子が王位継承の挨拶の為にレールムから他国に行く所を襲うというものだった。

もちろん王子の周りには多くの護衛の兵士が付いているが、王子がレールムの城から出るという事自体が滅多にないので、その時を逃せば王子を捕らえるという事は難しかった。

ポールはこの時の為に多くの傭兵を集めていた。

この計画が失敗すればポールは元の生活に戻る事が出来なくなるどころか、処刑されてもおかしくなかった。

しかしポールの決心は固く、この計画を成功させる為にただひたすら準備を続けてきた。

(ついにこの日が来たんだ……この薄気味悪い魔女の言いなりだろうが何だろうが関係ない……俺が王になるんだ。王になりさえすれば全てが変わる……それでいいんだ……。)

ポールは干渉に浸ってしまっていたが、時間を確認してみると計画の時が刻一刻と迫っていた。

ポールはここにいても仕方ないと思ったのか、少し早いが傭兵達を集めている場所へ向かう事にした。

「ジュリア……俺はそろそろ行く。必ずファビオ王子を連れて戻ってくる。お前はここで待っていてくれ。」

ポールがそう言うとジュリアは励ますように送り出そうとした。

「ええ……分かったわ。ちゃんとここで待ってるから……必ず戻ってくるのよ。」

「ああ……分かってる。……じゃあ行ってくる。」

別れの挨拶を終えるとポールは傭兵達を待たせている場所へと歩いていった。

ジュリアは溜め息を吐いた後考え事をしていた。

(まさかここまで準備して失敗するって事は無いだろうけど……でも何が起こるか分からないしポールならありえるわね……。……まぁいいわ。とりあえず魔法陣だけ書いといて後はいつでも逃げ出せる準備をしておきましょう。その後はその時になってみないと分からないか……。)

ジュリアは時間があったので魔法陣を書く前に少し休憩を取る事にした。

ポールは目的の地に向かってただひたすら進んでいた。


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