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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
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魔術書の効果

ジュリアが魔術書を持ってレイシアの家から出て来るとポールが駆け足で近づいてきた。

「どうだった⁉︎魔術書は手に入ったのか⁉︎」

「ええ……これよ。」

ジュリアは持ってきた魔術書をポールに見せた。

「これか……ただどうしたんだ一体?合図が無いから心配したんだぞ。」

「ええ……ちょっとね。彼女は魔術書はすぐ渡してくれたわ。ただ久しぶりに会ったものだから少し話し込んじゃってね。」

「……そうか。まぁいい。そんな事よりもこの後だな……。どうする?」

ポールはジュリアの事を怪しんでいたが、それよりも魔術書の効果を確かめるのが先だと思っていた。

ポールが2人の傭兵の男達に目線で合図を送ると、男達もそれに感づいて気付かれないように小さくうなずいた。

ジュリアもそれに気付いてポールに合わせるように話をした。

「ええ……そうね。とにかくもうここに用は無いわ。他の人達に見つからないうちに早く船に戻りましょう。」

ジュリアがそう言うと船に向かって皆歩き出した。

船の近くに来るとポールが傭兵の2人に再び目線で合図を送った。

するとそのうちの1人が腕を上げて背伸びをしながら言った。

「あー……俺は船に乗る前にちょっと用を足してくるよ。先に行っててくれ。すぐに戻るから。」

そう言うと男は近くの人気のない森へと入って行った。

ジュリア達はそのまま船に乗り込み、男が戻って来るのを待っていた。

男を待っている間ポールに命令されていた傭兵の1人が船の中にロープを取りに行った。

ロープを持って戻って来るとジュリア達と一緒に用を足しにいった男が戻って来るのを待っていた。

すると男がうさぎを手に持って戻ってきた。

生贄になるはずの男がうさぎを持ってきた男に言った。

「おいおい……何だそりゃ?そんな物捕まえてきてどうしようってんだ⁉︎まさか食おうってんじゃないだろうな⁉︎」

するとうさぎを持っている男が作り笑いをしながら言った。

「ああ……非常食ってやつだ。海の上は何があるか分からないからよ。」

そう言うと男はうさぎをポールに渡した。

うさぎをポールに渡すと男はロープを持った男に目線で合図を送り、ロープを持った男は小さくうなずいた。

次の瞬間男達は生贄になるはずの男に飛びかかった。

生贄になるはずの男は倒れ込むと、大声で叫んだ。

「ぐわっ!貴様等‼︎どういうつもりだ⁉︎」

「大人しくしてろ!おい、いいぞ‼︎早く縛れ‼︎」

するとロープを持った男がロープを伸ばしながら言った。

「ああ、分かった。ちゃんと抑えてろよ。」

生贄になるはずの男はロープで縛られている間も大声で叫んでいた。

「貴様等‼︎こんなまねしてただで済むと思うなよ!絶対に殺してやるからな‼︎くそっ……!おい!離せ!離しやがれ、さっさと!」

「うるさいやつだ……おい!大人しくしてろ!」

生贄になるはずの男をロープで縛るとポールに命令されていた男の1人がポールに言った。

「さぁ、終わったぜ。この後はどうするんだ?」

するとポールがジュリアの方を一瞬見た後、男達に言った。

「ああ……ご苦労さん。ちょっと待っていてくれ。すぐ済むから……。」

するとジュリアがポールの方を一瞬見た後その場から少し移動して、魔術書を開いて魔法陣を書き出した。

魔法陣を書き終えるとジュリアはポールの所まで行ってうさぎを受け取り、ポールに言った。

「これでいいわ。その男を魔法陣の中心に移動させて頂戴。それが終わったら呪文をかけるわ。」

「そうか……おい!その男をその魔法陣の中心まで移動させろ。」

ポールが命令すると2人の男は縛られている男を魔法陣の中心に移動させた。

「おい!何する気だ!止めろ……止めてくれー‼︎」

ジュリアは縛られている男が魔法陣の中心にきた事を確認するとポールの方を見て言った。

「準備出来たようね……始めるわよ。」

ポールは少し緊張した様子で返事をした。

「……ああ。いいぞ、始めてくれ。」

ジュリアは魔術書の呪文を唱え出した。ジュリアが呪文を唱えると魔法陣が一気に光り出した。

ジュリアは昔やった時のタイミングを思い出しながらうさぎを誰もいない方の魔法陣の中心に投げ込んだ。

うさぎは魔法陣の中心にちゃんと入り、魔法陣は光り続けていた。

やがて魔法陣の光が消えるとジュリアがポールの方を見て言った。

「さぁこれで入れ替わってるはずよ。確かめてみて。」

するとポールは疑いながらも倒れている男の方へ近づいて行った。

ポールが倒れている男を近くまで行って見ていると、その男から鳴き声が聞こえてきた。

「キー……キー……。」

男の鳴き声はまるで動物のようでポールは慌ててうさぎの方を見た。

するとうさぎがポール達の方を見て人間の言葉を話し始めた。

「……くっそ!どうなってやがるんだ一体⁉︎おい!あんた達!これは一体どういう事だ⁉︎……ん⁉︎」

するとうさぎが突然取り乱しながらポール達に聞いた。

「……おい……ちょっと待て……。……それ俺じゃないのか……?何だ⁉︎一体どうなってる⁉︎」

うさぎが話した事にポールはとても驚き、動揺する気持ちを抑えながらうさぎに聞いた。

「……おい、お前の正体はこの倒れている男なのか?」

するとうさぎがポールの方を見て言った。

「……ん?ああ……。……おい!待て!あんた何か知っているだろう⁉︎おい!これは一体どういう事だ⁉︎答えろ‼︎」

ポールは目の前で起こっている事に驚きを隠せなかったが、更に真偽を確かめる為に倒れている男にも話しかけた。

「おい!お前は誰なんだ⁉︎教えてくれ!」

すると倒れている男はポールの方を見て鳴き出した。

「キーキー。」

ポールはまだ目の前で起こっている事を完全に信じられないでいたが、一旦気持ちを落ち着けてジュリアの方を見るとジュリアがニッコリ笑った。

「ね?言ったでしょ?この魔術書さえあればあなたは王になれるわ。信じてもらえたかしら?」

ポールは動揺しすぎてまだ頭の中を完全に整理出来ていなかったが、ただ目の前で起こった事に対しての喜びを必死に抑えながら返事をした。

「……ああ‼︎」

ジュリアはそのポールの様子を見てニコッと笑った。

ジュリアは他の男達の様子も気になったので、とりあえず辺りを見回した。

すると2人の男がいなくなっている事に気付いた。

ジュリアはこれを好都合だと思いポールに言った。

「さっきいた男達がいなくなってるわね……。あの2人に気付かれたら厄介だからとりあえずこの男を元に戻していいかしら?まだ信用出来ないんだったら後で他の人間を使って確かめてみるといいわ。」

するとポールも辺りを見回した後、ジュリアの言っている事ももっともだと思ったのか話を合わせた。

「ああ……戻してもらって構わない。また後で確認するよ。」

「そう……分かったわ。じゃあ離れていて。とりあえずこの男を元に戻すから。」

ジュリアが魔術書を開いて呪文を唱えると魔法陣が光り出した。

まだ魔法陣の上にいたうさぎは大声で叫び出した。

「おい!何やってるんだお前等⁉︎止めろ!止めてくれー‼︎」

魔法陣の光が消えると倒れている男がさっきのうさぎと同じように叫び続けていた。

「止めろー‼︎止めてくれー‼︎誰かー!誰か助けてくれー‼︎」

その光景を見てポールは確信した。ジュリアの言っていた事が本当でこの魔法を使えば自分は王になれると。

ポールは嬉しさのあまり笑いそうになったが悟られてはいけないと思ったのと、やはりジュリアをまだ完全には信用出来なかった。

「ジュリア…お前が言っていた魔法の話……信じるよ……。ただ1人だけじゃまだ完全には信用出来ない!もう少し考える時間をくれ!」

するとジュリアはニッコリ微笑んで言った。

「ええ、大丈夫よ。あなたも不安でしょうしね……。まぁ仕方ないわ。ゆっくり考えてもらって構わないわよ。ただファビオが王になる前までね。」

「……ああ。」

ポールが考え事をし出して黙ってしまったので、ジュリアは一応辺りを見渡した。

すると船の奥の方に逃げていた2人の男を見つけた。

それに気付いてジュリアはポールに言った。

「さっきの男達あそこにいるわよ。この男の縄を解くのを頼んだ方がいいんじゃないかしら?」

するとポールはハッとした表情でジュリアの方を見て、心ここにあらずといった状態なのか気の抜けた返事をした。

「……ああ……分かった……。じゃあ呼んで来るよ。待っててくれ。」

ポールは逃げた2人の男の所まで行き、倒れている男のロープを解くように言った。

2人の男はポールに言われても恐怖のあまり中々近付こうとしなかったが、時間が経つと仕事だから仕方ないと諦めておそるおそる倒れている男に近づいて行った。

2人の男が倒れている男のロープを解き出すと、男はまた何かされると思ったのか必死に叫んでいた。

「止めろ‼︎俺に触るな!止めてくれー!」

2人の男達は何も言わず、先程の事が余程怖かったのか急いでロープを解いて離れようとしていた。

男達がロープを解いている間にジュリアはポールに言った。

「あなたもこれでいよいよ王様ね……あなたとはいい関係を築いていけると思うわ……。」

するとポールも小声で他の人間には聞こえないように言った。

「……ああ。俺もお前の力が必死みたいだ。お互いに協力しあっていい信頼関係を築いていこう。」

男達はロープを解くとポールの指示でうさぎを捕まえて船の外に逃がした。

実験に使われた男は激怒してポールに殴りかかろうとしたが取り押さえられ、ポールの指示でまたロープで拘束された。

全ての準備が整うと船はレールムを出発した。

ジュリアは船の上で遠くなっていくフサンダールの景色を見ながらレイシアの事を思い出していた。

(ありがとねレイシア……。この計画が上手くいったらきっとあなたもあの国に呼ぶわ。その時にちゃんとお礼させてもらうわね。)

ジュリア達を乗せた船はレールムに向かって一直線に進んでいた。


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