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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
32/33

自分自身

パレードが近くなった日、ファビオとレイシアとジャックがレールムに集まっていた。

ファビオ達はレールムに何日か前から潜伏して馬がいるはずの厩舎をずっと見張っていた。

そしつ厩舎の見張りが夜になると誰もいなくなる事が分かった。

ファビオ達はパレードの前日になると見張りがつくかもしれないと思い、その前に厩舎に忍び込む事にした。

そしてパレードの3日前の夜中、ファビオ達はレールムの厩舎の前にいた。

「……よし、じゃあ開けるぜ。」

ジャックが厩舎にかかっている鍵を開けようとしていた。

ジャックが鍵を開け出してからしばらくすると厩舎の鍵が開いた。

「……!おい……開いたぞ!早く中に入ろう!」

ジャックがそう言って中に入るとファビオとレイシアも続いて中に入った。

そして厩舎の中を確認していると、ファビオが王が乗るはずの馬を見つけた。

「……こいつだ……!……オホンッ……おそらくこの馬だ……。確かではないが私がパレードに出ていた時父上が乗っていた馬に似ている……普通の馬ではないんだ。王が乗る馬は……まぁおそらく血統がいい馬を選んでいるのかもしれないな……。」

するとジャックがファビオの方を見て言った。

「ふーん……血統ね……。まぁいいや。今はそんな事を言ってたって仕方がない。早く入れ替わろうぜ。誰も来ないうちにさっさと済ませるんだ。」

「……ああ、分かった。じゃあこの馬を連れ出すぞ。」

ファビオ達は小屋の扉を開けて王が乗るはずの馬を連れ出そうとした。

その馬は特に抵抗する訳でもなく大人しく付いて来ようとした。

「あらっ……何だよ?案外大人しいんだな……まぁいいや。早くこいつを外に連れて行こう。さっさと始めるぜ。」

ファビオ達が馬を外に連れて行くとレイシアが魔法陣を書く準備を始めた。

「ちょっと待ってて下さい。今書きますから……。」

そう言うとレイシアは地面に魔法陣を書き始めた。

魔法陣を書き出してしばらくすると、魔法陣を書き終えたレイシアがファビオ達の方を見て言った。

「ふぅ……これで大丈夫です。……ジャック君、準備はいい?」

「ああ、俺はいつでもいいぜ。レイシアさん、早く縛ってくれ。ファビオさんはこの馬逃げないように持っててくれよ。」

「ああ……分かった。」

ジャックは馬をファビオに渡すと魔法陣の中心に行った。

レイシアはそれを確認して持ってきたロープでジャックの体を縛り終えるとファビオに言った。

「馬を魔法陣の中心に連れて行って動かないようにしていて下さい。大丈夫、魔法陣の中に入らなければ魔法にはかかりませんから。」

するとファビオが少し声を震わせて返事をした。

「ええ……分かりました。大丈夫です……。」

そしてファビオは馬を魔法陣の中心に連れて行って、自分は魔法陣の少し外で馬が動かないように縄を持っていた。

レイシアは馬が魔法陣の中心に来たのを確認すると魔術書を開いて呪文を唱え出した。

レイシアが呪文を唱えると魔法陣が光り出して驚いた馬が魔法陣の中から逃げようとした。

「待てっ!暴れるな!……くっ!おい!そこにいろ!」

ファビオは自分は魔法陣の中に入らないようにしながら、暴れる馬の縄を引いて光が消えるまでどうにか馬を魔法陣の中に留めようとした。

やがて魔法陣の光が消えた頃馬は魔法陣の中にいて、馬に引きずられはしたがファビオはどうにか自分は魔法陣の中に入らずに済んでいた。

魔法陣の光が消えてから少しすると馬がファビオ達の方を見て言った。

「……何だこれ……ちゃんと変わってるんだよな……。ん……この目の前にいるの俺だよな……じゃあちゃんと入れ替わったのか……。あんまり変わらないんだな。なぁ!俺ちゃんと入れ替わってるのか?」

するとレイシアが馬の方を見て言った。

「……えぇ、ちゃんと入れ替わってるわよ。」

「……ああ、そうかよ。ならよかったぜ。」

ジャックは見事王が乗るはずの馬と入れ替わった。

馬になったジャックは自ら歩いて厩舎の中に行き、小屋の中に入るとファビオに扉を閉めてもらった。

そして小屋の中に入ったジャックがファビオに言った。

「いよいよだな、ファビオさん。後は俺が上手くやればいいって訳だな。まぁ任せとけよ。きっちり俺が王様を連れてきてやるからよ。まぁあの小屋で俺が来るのを待っててくれ。」

「あぁ……。」

ファビオは感慨深そうにジャックの方を見ていた。

するとジャックが照れ臭そうにファビオに言った。

「何だよ……⁉︎そんな顔するんじゃねーよ……!」

「ああ……すまない。」

ジャックはファビオと話すのか気まずかったのかレイシアに要件を言った。

「さぁ、レイシアさん。ファビオさんを連れてもう行ってくれ。ここで誰か来たらそれこそ元も子もねーや。後は俺が上手くやるからよ。パレードの日にあの小屋で待っててくれればいいよ。」

「ええ……分かったわ。ごめんなさいね……あなたにこんな大変な役引き受けさせて……頑張ってね……。」

「別にどうって事ねーよ、こんなの。さぁ早く行ってくれ。パレードの日にまた会おうぜ。またな。」

ジャックがそう言うとファビオとレイシアは厩舎を後にしようとした。

厩舎の入り口の所でファビオがジャックの方を振り返って言った。

「ありがとう、ジャック君。この恩は絶対に忘れない……私は元に戻れたら君やレイシアさん達も含めて出来る限りのお礼はするつもりだ。本当にありがとう……。」

「何だよ……そんな話は後だ、後。とにかく元に戻らないと話にならないじゃねーか。早く行きなって。見つかったらどうするんだよ……?」

「ああ、そうだな……すまない。」

話を終えるとファビオ達は厩舎から出た。

ファビオ達は扉を閉めると厩舎から去って行った。

『後は俺がちゃんとやればいいだけか……しかし王様は素直に俺の上に乗ってくれるかねー。まぁ考えても仕方ないか……その日は俺が気を引き締めてやらないとな……!)

ジャックはパレードの日がくるのを厩舎の中で待っていた。

そのパレードの日にファビオ達全員の運命がかかっていた。


パレードの当日、ジャックは朝日の光で早くから目が覚めた。

(何だ……もう朝かよ……。……あー!さーて、行きますか!とにかく今日にかかってるんだ。気合い入れていかないとな。)

ジャックはパレードが始まるまで小屋の中で人が来るのを待っていた。

そしてしばらくするとレールムの兵士と思われる人間が厩舎の中に入ってきた。

「……おい、ちゃんと確認しろよ。ただでさえ俺達は疑われてるんだ……。あー!厩舎の世話人の勘違いで大変な目にあったな。何が鍵が壊れてただ……自分が壊しちまっただけだろうがよ……!」

「ああ……そうだな。厩舎の中には誰もいないな……馬はどうなってる……?ひーふーみー……よし。ちゃんと全部いるな。」

「……おい……一応念の為に報告しに行った方がいいんじゃないか?」

「いや……でもそろそろパレードが始まるぞ。どうする……?とりあえず馬だけ連れて行って後から兵士長に報告しに行くか?」

「ああ、そうだな。それじゃあさっさと馬を連れて行こう。早く終わらせようぜ。」

兵士達は馬を厩舎から運び出し始めた。

兵士達が馬を運び出してしばらくして、いよいよジャックの番がやって来た。

(いよいよか……後は俺が王様を乗せればいいだけだな……よし!じゃあ気合い入れていきますか!)

ジャックは兵士達に連れられてお城の正門の前まで行った。

パレードの時間が来るまでジャックは城の正門の近くに繋がれて待たされていた。

パレードの時間が近づくに連れてお城の中からもどんどん人が出てきて、やがてポールもそこに姿を現した。

パレードの時間になるとポールがジャックの所まで来た。

そして付き添いの兵士がジャックを繋いでいた縄を解くとポールに言った。

「陛下!こちらでございます!」

するとポールが兵士の方を見て言った。

「うむ、ご苦労。よし、では馬に乗って行くとするかな。よいしょっ……。」

兵士がポールの補助をしようとしていたがポールは気にせずジャックに飛び乗った。

「久しぶりだな……お前に乗るのは何ヶ月ぶりだ……?今日もよろしく頼むぞ。」

ポールはジャックの上に乗った後、上機嫌な態度でジャックを操り出した。

(こいつが王様か……ここまでは計画通りだな。後は他の奴等が油断している隙を狙ってこいつを連れ出せばいいんだな……はー……案外難しいな……タイミングが重要だな……。町の出口の近くでこいつらが油断してる瞬間か……。おもしれー、やってやろうじゃねーか!)

そしてパレードが始まりポールを乗せたジャックは城下町を歩いていた。

城下町は年に1度のパレードという事もあって多くの人間で賑わっていた。

ポールは町の人々の声援に手を振りながら応えて王の努めを果たしていた。

ジャックが城下町を歩いている最中、町の出入り口の近くに来た。

ジャックはポールの手が手綱をしっかり握っているのを確認すると周りを確認した。

(……ここだ‼︎)

次の瞬間ジャックが突然城下町の出入り口に向かって走り出した。

するとポールは慌てた様子で言った。

「うっ、うわー!おい!何やっとるか、この馬⁉︎おい!止まらんか!おい!誰か⁉︎誰か早く助けに来い!」

ジャックはポールの手が手綱をしっかり握っているのを確認すると、徐々にスピードを上げていき途中から全力で小屋に向けて走って行った。

兵士達は馬が突然走り出した事に驚いて呆気に取られていたが、冷静になった兵士が他の兵士に言葉をかけて王を追いかけようとした。

「……おい!何をやってる⁉︎追え!王を追いかけるのだ!陛下に何かあれば我々の責任だぞ!」

「……おい!早く追いかけよう!」

「……ああ。おい、馬がないぞ……持って来ないと……。」

「……えーい!何をしている⁉︎早く追いかけんか!」

兵士達が同様している隙にジャックは全速力でファビオ達が待っている小屋へと向かった。

ポールは振り落とされないようにジャックにしがみついていた。

ジャックが走り出してしばらくすると森の中にある小さな小屋が見えてきた。

小屋に着くとジャックが小屋の中に向かって大声で叫んだ。

「おい!連れて来たぞ!早く来てくれ‼︎」

「……馬が喋った……⁉︎」

ポールは驚いて一瞬身が固まっていると、小屋の近くに隠れていたアランがポールに飛びかかり棒のよいな物でポールの頭を思い切り殴った。

「……ぐわぁ‼︎」

ポールはその衝撃でジャックの上から地面へと転がり落ちた。

アランはポールに飛びかかって押さえ付けファビオ達を呼んだ。

「早く!早くこいつを縛るんだ!早くしてくれー‼︎」

ポールは押さえ付けていたアランを必死に振り払おうとしていた。

「何をやっとるか貴様‼︎私を誰だと思っているんだ⁉︎おい!離せ!離さんか!」

するとファビオとレイシアが助けに来て、ファビオは何も言わずにアランの手を借りながら急いでポールをロープで縛った。

ポールは身動きが取れなくなったのが分かると命乞いを始めた。

「ま、待て……お前達の望みは何だ……?金か……?。金ならいくらでも払う……だから助けてくれ……!」

するとファビオがその言葉に何かを思い出したのか笑いながら言った。

「はっは……金か……。どこかで聞いたセリフだな、ポール?だがお前はあの時私の言葉に耳を貸さなかったがな!お前に体を取られたせいで私は随分と大変な思いをしたぞ!」

ポールは驚いてしばらく呆気に取られてしまっていたが、冷静になるとファビオを説得しようとした。

「……ま、待てファビオ……お前の気持ちは分かる……。だから少し話す時間をくれないか……?それにお前はあの魔術書を持たないだろ……?だったらお前は元には戻れない……。私が死ねばお前も死ぬんだ……だから早まるなファビオ!……どうか許してくれ……!」

するとレイシアが話しを遮るように言った。

「ファビオさん!早くしましょう!追っ手が来るかもしれない!話をするのは入れ替わってからでいいでしょ⁉︎」

するとファビオが冷静になって返事をした。

「……!ええ……分かりました。じゃあ早く準備しましょう……。」

そう言うとファビオはアランの手を借りて小屋の中にすでに書かれている魔法陣の中にポールを移動させようとした。

魔法陣まで移動させている最中もポールは必死に抵抗していたが途中で何かに気付いた。

「待て!ファビオ!私が悪かった!許してくれ‼︎……待てよ……お前等今魔法陣と言ったな⁉︎何故そんな物がここにある⁉︎……待て!そう言えばさっき馬が喋ったな⁉︎じゃああれは人間の誰かと入れ替わっているというのか⁉︎どういう事だ⁉︎何故そんな事が出来る⁉︎誰がやったんだ⁉︎ジュリアか⁉︎……まさかあのフサンダールとかいう場所の生き残りか⁉︎そうだな⁉︎それ以外考えられない……!」

ポールを魔法陣の中心まで移動させると、ファビオは自分も反対側の魔法陣に行って、アランに体を縛ってもらい自らの体も動けなくしてもらった。

魔法陣の中に入った後もポールは必死に命乞いをしていた。

「……待て!ファビオ!もしお前が今元に戻ってどうする?それでレールムの民は幸せか……?お前がいなくなった後もレールムには色々あったんだ……私だから出来た事もあった……。それを……本当にいいのか……?……頼む!ファビオ!考え直してくれ‼︎頼む!」

ファビオはポールの身勝手さに怒りが込み上げてきたが、ここまで来て冷静さを失ってはいけないと思い、アラン達の期待に応える為にも落ち着きながらレイシアの方を見て言った。

「……レイシアさん……準備が出来ました。始めて下さい……。」

するとレイシアが1度うなづいた後言った。

「……分かりました。始めます!」

レイシアは魔術書を開いて呪文を唱え出した。

レイシアが呪文を唱えると魔法陣が光り出した。

「止めろ……止めてくれー‼︎何でもするから!だから止めてくれー‼︎頼むー‼︎」

ポールは必死に命乞いをしていたが魔法陣の光はポールには無情に光り続けていた。

そして魔法陣から光が消えるとファビオとポールが入れ替わった。

入れ替わった後、元の体のファビオの方を見てレイシアが言った。

「……ファビオさん……?大丈夫ですか?話せますか……?」

すると元の体に戻ったファビオがレイシアの方を見て言った。

「え……ええ。どうですか⁉︎私はちゃんと元に戻ってますか⁉︎」

するとレイシアが少し涙ぐみながらも微笑んで言った。

「……ええ!……ちゃんと戻ってます……!」

「ほんとに……?本当ですか……?本当なんですか⁉︎」

「ええ!戻ってますよ……!」

「……よかった……本当によかった……。」

ファビオが力が抜けたのかそのまま倒れ込んだ。

それを見てレイシアがアランの方を見て言った。

「アラン、ちょっと手伝って……。」

レイシアがそう言うとアランはファビオの方まで来た。

そしてアランとレイシアはファビオのロープを解いた。

ファビオのロープを解くとレイシアは鏡を取りに行って、戻って来ると鏡をファビオに渡した。

「……本当だ……!元に戻っている!やった……!ようやく解放された……!」

鏡を見たファビオは嬉しさのあまり震えていた。

レイシアはファビオに悪いとは思ったが早くジャックを戻すためにファビオに断りを入れた。

「あの……ファビオさん……ジャック君を元に戻さないといけないので私達は外に行きますね……。」

レイシアのその言葉で我に返ったファビオが気まずそうに言った。

「ええ……すみません……。あの、私も手伝います!早くジャック君を元に戻しましょう……!」

「ええ……じゃあジャック君の所へ行きましょう。」

ファビオ達が外に向かうと馬になったジャックが外で待っていた。

「おう……ファビオさんか……何だ⁉︎元にもどれたのか……?」

するとファビオが喜びを抑えながらジャックに言った。

「あぁ……君達のおかげだよ!本当に感謝している!このお礼は必ずするよ……ありがとう!」

「あぁ……まぁよかったよ、元に戻れて……。さーてと……次は俺だ。レイシアさん、頼めるか?」

「ええ、分かったわ。ちょっと待ってて……。」

するとレイシアが近くに魔法陣を書き出した。

レイシアが魔法陣を書いている最中にアランとファビオが小屋の中にいるジャックの体を魔法陣の近くまで持ってきた。

そしてレイシアが魔法陣を書き終えると、アランとファビオがジャックの体を魔法陣の中心に置いた。

ジャックも反対側の魔法陣の中心まで歩いて行って準備が終わるとレイシアの方を見て言った。

「いいぜ、レイシアさん。始めてくれ……。」

「分かったわ……始めるわよ。」

するとレイシアが魔術書を開いて呪文を唱え出した。

魔法陣は光り出し、やがてその光が消えるとジャックが元に戻った。

次の瞬間意識が元に戻った馬が慌てて突然どこかに向けて走り出して行った。

レイシアは馬がいなくなった事に驚いて急いでジャックに話しかけた。

「ジャック君⁉︎聞こえる⁉︎元に戻っているの⁉︎ねぇ!返事をして!」

するとジャックが起き上がりながらレイシアの方を見て言った。

「……ああ……大丈夫だよ。元に戻ってるよ。俺はここにいるよ。」

するとレイシアがとても安堵した様子で言った。

「……そう……よかった。……本当に突然どこかに走り出して行っちゃうからびっくりしたじゃないの……。」

するとジャックが苦笑いしながら言った。

「ははっ……いや、それ俺じゃないから……。まぁいいや。それよりこの縄早く外してもらえるかな……?」

するとレイシアがようやく気が付いたのか慌てて言った。

「あぁ……ごめんなさい。ちょっと待ってね……アラン、手伝って。」

アランとレイシアはジャックのロープを解いた。

ジャックは体が自由になると背伸びをしながら言った。

「あー!これでようやく戻れたなー!……ファビオさんもちゃんと戻ってるんだよな……?なぁ?ファビオさん?」

するとファビオが優しい目でジャックの方を見ながら言った。

「ああ……ちゃんと戻れてる……。本当に君達には何とお礼を言ったらいいのか分からない……本当にありがとう……!」

「ああ……まぁ、よかったよ。……何か別人と話してるみたいだな……。まぁいいや……それで?これからどうするんだ……?」

するとレイシアが皆の方を見ながら言った。

「……私はこれからこの魔術書の被害者を探したいと思います……。ジュリアがもしかしたら他にも犠牲になった人を作っているかもしれないから……。ファビオさん……私はどんな事をしても許してもらえる事は出来ないでしょうが……本当にすみませんでした……。」

するとファビオが首を横に振って答えた。

「いえ……私はあなたを恨んではいませんよ……。むしろ感謝している位です……あなたがいなければ私は元に戻る事は出来なかった……。それに私の姿を入れ替えたのはあなたじゃない……だからもう気にしないで下さい。私はあなた達には本当に感謝しているんです……。」

するとレイシアはうつむきながら言った。

「……はい……本当にすみませんでした……。」

レイシアの話が終わるとアラン達は小屋の中のポールの下へと向かった。

ポールはただ呆然としていたがアランとジャックは仕方なくポールを縛っているロープを解いた。

ロープを解き終えるとポールを見ながらジャックが言った。

「……何かこっちがファビオさんって感じがするな……まぁこれが正しいんだよな……そうか、そうか……。」

ポールはジャックに返事をする事もなく、だだ呆然としながら座っていた。

するとファビオがアラン達に言った。

「さぁ、城に戻りましょう。こんな所にいても仕方がない。それに早くあなた達にもお礼がしたいですからね。」

ファビオがそう言うとアラン達は小屋から出ようとした。

するとポールがファビオに言った。

「……待て、ファビオ……。俺を恨んでるんじゃないのか……?本当は俺を殺してやりたいと……そう思ってるんじゃないのか⁉︎」

「……ああ、恨んでるさ。どうしようもない位にな……。……しかし私にはお前を殺す事が出来んのだ……何故だか分かるか……?」

「……何故だ……?」

「……お前の事を許す事は出来んがお前の体は別なんだ……。私はあまりにも長くお前の体に居続けた……だから私にはその体を傷付ける事は出来そうにない……。お前はこれからその体を大事にして生きていくがよい……分かったな?」

「……。」

ファビオはポールとの話を終えるとアラン達を連れてレールムへと向かった。

1人小屋の中に残されたポールは本当の自分でこれからどうやって生きていっていいかが分からず、力を失ってただそこで呆然と座り込む事以外出来なかった。










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