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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
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計画と準備

アラン達を乗せた馬は森を抜けた後レイシアがいる岩山へと入って行った。

岩山に戻るとレイシアが待っていてファビオがレイシアの前に馬を止めた。

「よかった……ジャック君無事だったんですね……。」

するとファビオがレイシアに言った。

「ええ……本当によかったです……。それとアラン君も無事ですよ。ジャック君の上着のポケットに入っていますよ。」

「そうですか……すみません……ちょっといいですか?アラン?早く出てきなさい……すぐに元に戻してあげるから。」

レイシアがそう言うとアランがジャックのポケットの中から出てきた。

「ああ、分かった。ジャック、悪いけどおばあちゃんに俺の事渡してくれるか?早く元に戻りたいからな……。」

「ああ……悪い。今渡すよ。」

そう言うとジャックは馬から降りてアランをレイシアに手渡した。

アランを受け取ったレイシアは悲しそうな表情をしてアランに言った。

「アラン……もうこんな無茶はしちゃダメよ……。分かった……?」

「ああ……分かってるよ……。」

話を終えたレイシアは魔法陣の所まで移動して魔法陣の中心にアランを置いた。

そして魔法陣から出て魔術書を手に持つとアランに言った。

「いい、アラン?今から呪文を唱えるからそこでじっとしてなさい。いいわね?」

「ああ、分かった。いいよ、いつでも。」

アランがそう言うとレイシアは魔術書を開いて呪文を唱え出した。

レイシアが呪文を唱えると魔法陣が光り出し、やがて魔法陣の光が消えるとアランが元に戻った。

ネズミは魔法陣の光が消えた瞬間慌てた様子でアラン達の下から去って行ってしまった。

そしてレイシアがアランの体がある方に行って話しかけた。

「アラン……?アランなの……?ちゃんと元に戻ってるの……?アラン、返事をして……。」

するとアランの体が起き上がってレイシアの方を見て言った。

「ああ……おばあちゃん……俺どうなってるの?ちゃんと自分の体に戻れてるの……?」

レイシアはアランがちゃんと戻った事に安堵したが、アランは不安がっているだろうと思い急いでアランに状況を説明した。

「ええ、ちゃんと元に戻れてるわよ……。アラン、もう無茶な事はしちゃダメよ。アランに何かあったらエミーだって悲しむのよ。あなたもそれは嫌でしょ?あなたはこのまま村に帰りなさい。いいわね?」

レイシアはアランを縛っているロープを解いた。

するとアランが突然起き上がってレイシアに食ってかかるように言った。

「……何でだよ⁉︎俺もやるよ?せっかくここまで来たんだぜ⁉︎」

「ダメよ!帰りなさい!……アラン、後はおばあちゃん達に任せなさい。大丈夫、ちゃんとファビオさんは元に戻すから……。」

「……でもさ……。」

アランとレイシアは黙ってしまったが、ジャックが気を使って話しかけた。

「まぁとりあえずさ、アランを家まで送り届けようぜ。話はそれからだ。」

「……。」

ジャックがそう言うと一同は岩山から出る準備を始めた。

ジャックはその途中アランの近くに行ってお礼を言った。

「アラン、そういやまだお礼を言ってなかったな。ありがとな……お前がいなかったら俺はきっと助からなかった。本当に感謝してる。……いつかこの恩は必ず返すよ。」

するとアランが照れ臭そうに言った。

「……何だよ、急に……別にいいよ、気にしなくて。」

準備を終えると一同は馬がいる場所に集まった。

そして馬が一頭しかいない事に気付いたジャックが言った。

「……どうするよ?1頭しかいないんじゃ歩いて行くしかないな……とにかく早くここから離れた方がいい。ここから1番近い町って言ったら……あの町か……。」

ジャックはファビオに気を使ったがファビオは割り切った様子で言った。

「……私に気を使う必要はない。行こう。」

するとジャックが遠慮がちにファビオに聞いた。

「……大丈夫かよ?」

「……ああ、大丈夫だ。さぁ急いで行かないと日が落ちてしまうぞ。ここに泊まる訳にはいかないだろ?」

「……ああ、分かったよ。じゃあ行こうぜ。」

アラン達は岩山を出てレールムに向けて出発した。


アラン達がレールムに着いた頃すでに辺りは暗くなっていた。

このまま移動するのは危険なので話し合った結果、その日はレールムで宿に泊まる事になった。

宿屋に着くと店主に部屋を2つ取ってもらってアランとレイシア、ファビオとジャックの2手に分かれて部屋に入った。

部屋に入ってしばらく経つとファビオがジャックにおもむろに話しかけた。

「……少し話があるんだ、聞いてもらえるか……?」

「ん……ああ、いいぜ。何だよ……?」

「……このレールムでは年に1度パレードがあるんだ。そのパレードでは王も城下町に姿を現わすのが慣例になっていてな……そこを狙おうと思うんだ……。」

「……へー……パレードか……。何か上手くいきそうだな……。それで?どんな方法でやるんだ?」

「ああ……そのパレードでは王は馬に乗って城下町を歩く事が通例になっている。今も変わっていなければなんだがか……。その王が乗る馬というのは普通の馬とは違うんだ。その馬に近付く事が出来ればどうにかなるかもしれないと思ってな……。」

「なるほど……じゃあ誰かがその馬に化けなきゃいけないって事だな……?」

「……ああ……。」

するとジャックが少し黙った後、意を決したように言った。

「……分かった!じゃあその馬の役目は俺がやるよ。それで……?そのパレードってのはいつやるんだ?」

「ああ……昔と変わってないとしたらこれから1月先といったところだな……。例年、春の訪れと共にパレードが開かれる事になっている。」

「……はっ……春の訪れねー……。あんまり俺には縁の無い話だな……それで?他に何かあるのか?どういうやり方でやるとか……。」

「ああ、それ何だが……ちょっと会っておきたい奴がいてな……。そいつに会いに行こうかと思っていてな……。」

「……誰なんだよ?その会っておきたい奴って……?俺には言えねーのか?」

「いや、そうじゃないんだ……。……私の息子だ。ロックと言ってな……あいつなら私が会えばもしかしたら私だと気付いてくれるかもしれない……それに馬を手に入れるためには内部の人間の助けがあった方がいい。まぁまだどうなるかは分からんのだがな……。」

「何だ、そういう事かよ。分かった。じゃあ俺はどこかで待ってるよ。……なぁ、いよいよ元に戻れそうだな。よかったな。」

「ああ……君には本当に感謝している。もし私が元に戻れたら君には最大限の礼をするつもりだ。そんな事で足りるかどうかは分からんがな……本当にありがとう……。」

「……何だよ。まぁそうなってくれれば俺としても有難いんだけどな……まぁあと少しなんだ。頑張ろうぜ。」

「ああ……そうだな。頼りにしてるぞ。」

「ああ……。任せとけって。」

それから2人は黙り込んでしまったが、しばらくしてジャックがファビオに聞いた。

「……そういえばさ、さっきの話レイシアさんには言うんだろうけど……アランにはどうするんだ……?」

「……ああ、アラン君には言わないでおこうと思っている。……私は最初レイシアさんから話を聞いた時恨みもしたが今は彼女には感謝している。それに彼女にもそこまで迷惑はかけたくないんでな……アラン君がいなくなった後でさっきの話をしようと思っている。」

「……そうか。まぁ俺もその方がいいと思うよ。俺もあいつには感謝してるんだ。出来ればあいつの事は巻き込みたくない。大丈夫、あいつ1人いなくたって俺がちゃんとやるよ。」

「……ああ、そうか。分かった。……じゃあ頼んだぞ。」

「……ああ、任せとけって。」

ファビオ達は話が済んだ後、明日の事も考えて早めに床に着いた。


一方アラン達はというと勝手に付いて来たのがどうしても許せなかったのか、部屋に入るなりレイシアがアランにひたすら説教をしていた。

「アラン!どうして何も言わずに勝手に付いて来たの⁉︎本当に……おばあちゃんにどれだけ心配かけたと思ってるの⁉︎」

「……何だよ……俺がいなければ上手くいかなかっただろ……。だからもういいじゃん……。」

「そういう問題じゃないでしょ!いい、アラン⁉︎ここから先あなたがこの事に関わるのは絶対許しませんからね!大人しく家に帰るのよ!分かったわね⁉︎」

「えー……せっかくもう少しであのじいさん王様になるんだろ……?ここで戻ったら褒美がもらえないかもしれないじゃないか……じゃあ何の為にこんな所まで来たんだよ……。」

「ダメよ!早く帰りなさい!家で大人しくしてるのよ!分かったわね⁉︎」

「……えー……そりゃないよ……。」

レイシアのアランへの説教は夜遅くまで続いた。

そして夜遅くなると疲れてしまったのか2人は床に着いた。


次の日の朝宿を出るとファビオがレイシアに言った。

「私はちょっと用があります。先に帰っててもらえませんか?馬は乗って行ってもらって構いませんので。」

レイシアはファビオの言葉に少し驚いて何をするか聞いていいかどうか迷ったが、ここまできて何も知らない訳にはいかないと思ってファビオに聞いた。

「……分かりました……。あの……これからどうするかは教えて頂く事は出来ないんですか……?」

するとファビオは少しためらいながら言った。

「……すみません。まだ完全にどうするか決まった訳ではありませんので……決まったら伝えに行きます。カムルの村でよかったですよね?」

「ええ……。」

するとジャックが突然横から割り込んできた。

「ほら、行った。行った。決まったらまたちゃんと伝えに行くからさ。それまでは解散な。」

するとレイシアがジャックに聞いた。

「……あなたはどうするの?ジャック君。」

「俺か……?俺はファビオさんと一緒にここに残るよ。ファビオさんを1人にしておく事は出来ないしさ……。それに馬にはこの人数は乗れないだろ?だからひとまずここで解散な。また決まったら伝えに行くよ。」

「ええ……。」

するとファビオがレイシアに言った。

「さぁもう行って下さい。ご家族も心配しておられるかもしれない……もう1度だけ迷惑をかける事になるかもしれません……。その時はよろしくお願いします……。」

するとレイシアが首を横に振った後に言った。

「いえ……元はと言えば私の責任なんですから……あの、何か決まったら村まで伝えに来て下さい。その時はお手伝いさせて頂きますので……。」

「ええ、分かりました。それではもう今日の所はお帰り下さい。また決まったらそちらにお伺いする事にします。」

「ええ……分かりました。あの……本当に帰ってもよろしいんですか……?」

「ええ……大丈夫です。それでは、また。」

話を終えるとレイシアがアランを連れて馬に乗って出発しようとした。

するとジャックがアランに言った。

「アラン!また会おうな。今度はこんな事じゃなくて普通に会おうな。……じゃあな。」

「……何だよ……ああ、また会おうな。じゃあな。」

「ああ、じゃあな。……また会おうぜ、アラン。」

挨拶が済むとレイシアはカムルの村に向けて馬を出発させた。

馬が出発して少し経つとアランが後ろを振り返り、ジャックはそれに気付いて笑いながら軽く手を振った。

アランも少し恥ずかしそうだったがジャックに軽く手を振って応えた。


アラン達がいなくなるとファビオ達はロックを探す為にレールムの城下町で聞き込みを始めた。

城下町で聞き込みをしているとファビオは驚くべき事を聞かされた。

何とロックはずっと城の中で隔離して育てられ、今はレールムの国にいないというのだ。

ロックは名ばかりの王子で最早皆から存在を忘れられかけていて、時期王はジョージ以外考えられないと言うのだ。

ファビオはとてもショックを受けしばらく呆然としていたが、やがて時間が経つとポールへの激しい怒りから声を荒げて言った。

「おのれ……!許さんぞポール!……くっ……私が王の座を奪われたばかりにロックが……!おのれ!絶対に許さん!」

ファビオは我を忘れて激怒していてジャックは気まずかったがこのまま何も言わない訳には言かないので、とりあえずファビオをなだめようとした。

「……落ち着けよ、ファビオさん……。今ここでキレたって何もならないだろ……?あんたが元に戻れはどうにかなるかもしれないだろ……?とりあえず情報を集めるのが先だ。」

するとファビオはジャックのその言葉に少し冷静さを取り戻して、出来るだけ気持ちを落ち着けながら言った。

「……ああ、そうだな。すまん……君にも悪い事をしてしまったな……。取り乱してしまって悪かった……。」

「いや、いいよ俺は……。それよりもそのロック王子に会う方法を考えないとな……まぁ居場所が分からないんじゃどうしようもなさそうだけどな……。」

するとファビオが少し気を落としながら言った。

「……ああ。城の中に入るのはおそらく不可能だろうな……ロックの居場所も町の人間では分かるまい……おそらく馬を盗むほかないだろうな……。」

「何だよ……⁉︎結局ぶっつけ本当かよ⁉︎まぁいいや……それで?その馬にはいつ入れ替わるんだ?」

「ああ……誰にも気付かれないタイミングとなると……まぁ少し考えた方がよさそうだな……。とりあえず1度ラグダナに戻ろう。大丈夫。まだ時間はあるんだ。」

「……ああ、そうだな。まぁそう落ち込むなって。どうにかなるさ。とりあえず町に戻ろうぜ!」

ファビオとジャックは1度ラグダナまで戻る事にした。

ロックの事を聞いた後のファビオは酷く落ち込んでいたが、ジャックはこれからいい事があると言ってファビオを励まし続けていた。

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