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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
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ネズミ……?

アラン達は屋敷から出来るだけ離れた場所に向かっていた。

そして森から出る場所に差し掛かった時、アランが突然馬を止めて2人に聞いた。

「……本当にこのまま行っていいのかよ……⁉︎あいつは……ジャックはおばあちゃん達を助けたんだろ⁉︎それなのに……本当にこのまま行っていいのかよ⁉︎」

すると迷っているアランに対してレイシアが諭すように言った。

「……行きなさい、アラン。彼の事は後でちゃんとどうするか考えるわ。でも今は出来るだけここから離れるのが先よ。今ここで捕まってしまったらそれこそ彼が報われないでしょ……?大丈夫。彼の事はちゃんとどうにかするから……だから今は早くここから離れるのよ。」

レイシアのその言葉はアランには腑に落ちない部分もあったが、ここから早く離れなければいけないというのも分かっていたのでアランは苛立ちながら馬を出発させた。

「……クソッ……!」

アラン達が馬を走らせて随分経った頃、さっきいた森はもうほとんど見えなくなっていた。

するとアランが馬を止めて2人に聞いた。

「ねえ、どうするんだよこれから⁉︎このままずっと離れて行ってもいいのかよ⁉︎」

するとレイシアがアランに言った。

「そうね……じゃあ少し落ち着いて話せる場所を探しましょう。そこでジャック君を助ける方法を考えましょう。」

「……ああ、分かったよ。」

アランは人形達に見つからないような場所で出来るだけ離れた場所を探した。

そして森から随分離れた場所に大きな岩山を見つけるとその中に入って馬を止めた。

「さぁ、ここでいいだろ?早くジャックを助け出す方法を考えよう。」

そう言うとアランは馬から降りて2人が馬から降りるのを待っていた。

ファビオとレイシアはアランに馬から降りるのを手伝ってもらい、アランはそれを終えた後近くに馬を繋いだ。

そしてアランはファビオ達の下に戻って来てレイシアに言った。

「さぁどうするか考えよう。時間がないんだ。もたもたしているうちにジャックは殺されてしまうかもしれない。早くしないと……。」

するとレイシアがアランに言った。

「そうね……何かいい方法はないかしら……?」

ファビオも何かいい方法がないか必死に考えていたが思いついてないようだった。

「くっ……!どうにかならんのか⁉︎……私は彼を助けたい……今日だけじゃないんだ!彼がよくしてくれたのは……彼は私が出会った時からいつも助けてくれた……私の恩人なんだ……!彼は絶対にここで死なせちゃならん……!どうにかならんのか……⁉︎」

アラン達はジャックを助ける方法を考えていたが中々いい方法が思いつかなかった。

アランが考え事をしながら辺りをボーっと見ているとアランの目の前をふとネズミが横切った。

アランはそのネズミの方をしばらくボーっと眺めていると突然何かを閃いた様子で2人に言った。

「……そうだ……!確かおばあちゃんが手に入れた魔術書は姿を入れ替える事が出来るんだよね……?じゃあこれはどうかな……?そのおばあちゃんが持ってきた魔術書で俺がネズミと入れ替わるんだ。それで俺が屋敷の中に入って……そうだ!ネズミだ!ネズミだったらあの屋敷の中に入っても誰にもバレないだろ⁉︎俺がネズミになってジャックを助けに行くよ!」

アランの言った事にレイシアは驚いたがこの状況だと一応詳しく聞いておかないといけないと思いアランに質問した。

「……ネズミになるのね……?それで……?その後はどうするの?」

するとアランが少し得意げに話し出した。

「まず俺がネズミになる。それでおばあちゃん達のうちのどちらかと一緒に屋敷に行くんだ。屋敷まで行ったらその1人は屋敷の前で待っておけばいい。俺がとりあえずジャックを助けに行ってもしダメだったら助けを呼びに行くよ。それにネズミだったら見つからないから先に行って道案内も出来る!なぁ?これでいいだろ⁉︎もうこれしかないよ!早く決めよう!時間がないんだ!」

レイシアはアランを行かせる事自体に賛成出来なかったがこの状況ではそんな事も言ってられず、ジャックを一刻も早く助けなければいけないという思いもあったのか仕方なく賛成した。

「……そうね……分かったわ。そのやり方だったら上手く行くかもしれないわね。でもねアラン、あなたは元々この計画には関係なかったのよ……!それをあなたは……今はジャック君を助けないといけないから仕方なく賛成するけど危険だと感じたらすぐに逃げるのよ。いいわね?」

すると話を聞いていたファビオも口を開いた。

「私もその方法なら上手くいくと思う……いや、それ以上はないかもしれん……そのアラン君を屋敷に連れて行くという役目は私が引き受けよう。何かあった時のために男の私が行った方がいいだろう。君を巻き込むのは気が引けるがとにかく今はジャック君を助けなければいけない。時間がないかもしれない……すまんが手伝ってくれるか……?」

するとアランは笑顔で言った。

「ああ、分かった。手伝うよ。じゃあちょっと待っててくれ。すぐにネズミを捕まえてくるから。」

そう言うとアランはネズミを捕まえに行った。

アランはネズミを捕まえに行ってからしばらく経つと戻って来た。

アランの手にはしっかりとネズミが握られていた。

「いたよ!さぁおばあちゃん、早く魔法をかけて。俺はいつでもいいよ!」

アランがネズミを手にレイシア達の方に近付くとそこにはすでにレイシアによって魔法陣が描かれていた。

すると戻って来たアランにレイシアが言った。

「……アラン、そのネズミを1度ファビオさんに渡しなさい。そしてあなたはその魔法陣の中心の所まで行って座りなさい。……これからあなたに魔法をかけるけどその前にあなたを動けなくしなくちゃいけないの。あなたがネズミになるって事はネズミもあなたになるって事なの……だから入れ替わった時あなたの体がどこかに行ってしまわないようにしとかないとね。」

「……どうするの?ロープか何かで縛るの……?」

「ええ……私が持ってきたバッグの中にちゃんと入ってるわ。……本当にいいのね、アラン?やりたくないんだったら別の方法を考えてもいいのよ……?」

「……大丈夫!やるよ!それに時間がないんだ!早くしよう!」

「……そう……分かったわ。じゃあ準備しなきゃね……。」

話を終えるとアランはファビオにネズミを手渡し、自分は魔法陣の中心まで移動した。

レイシアはそれを確認するとロープを持ってアランの方に近付いていってアランの手足をロープで縛った。

アランが動けなくなったのを確認するとレイシアはファビオの方を見て言った。

「私がこれから魔術書の呪文を唱えます。そうすると魔法陣が光り出すと思います。私が合図するのでその時そのネズミをアランがいない魔法陣の中心に向かって投げて下さい。いいですか?アランがいない方の魔法陣の中心に向かってです。」

「……アラン君がいない方の魔法陣の中心に向かって投げればいいんですよね……?……分かりました……やってみます。」

ファビオが気を使ったように見せているのにレイシアも気づいていたが、ジャックをこのまま助けないという事は出来ないと思ったのか意を決したように言った。

「……始めます!そのネズミをいつでも中に投げ込めるように準備しておいて下さい!いきますよ!」

「……ええ、いつでも大丈夫です。始めて下さい……。」

ファビオのその言葉を聞いた瞬間、レイシアは魔術書を開いて呪文を唱え出した。

レイシアが呪文を唱えてしばらくすると魔法陣が光り出した。

そして魔法陣が光って少し経った頃、タイミングを見計らってレイシアがファビオに言った。

「今です!そのネズミをアランがいない方の魔法陣の中心に投げ入れて下さい!」

するとファビオはレイシアに言われた通りアランがいない方の魔法陣の中心を狙ってネズミを投げ入れた。

ファビオがネズミを投げてから少し経って魔法陣から出ていた光が消えた。

するとレイシアが魔法陣の中にいるネズミの方に近付いて話しかけた。

「……アラン……?聞こえる……?アラン?おばあちゃんが分かる……?」

するとその言葉に反応したネズミがレイシアの方を見た。

「……ん……‼︎うわぁ‼︎何だ⁉︎……あれ……おばあちゃんか……?うわぁ‼︎何かデカ過ぎて分からなかったよ!あーびっくりしたー!」

アランは驚いてその場所から逃げていたがレイシアだと分かると戻ってきた。

「あーびっくりしたー……。どうなったの……?俺本当にネズミになってるの……?」

するとレイシアは1度うなづいて言った。

「ええ、そうよ……あなたはネズミになったの……。だから気を付けなきゃダメよ。あなたの体は今は人間とは違う……どんなささいな事でも今のあなたには大きな問題になるかもしれないわ……。だからくれぐれも無理はしないようにね……本当に大丈夫なの、アラン?嫌なら戻ってもいいのよ?」

「ああ……大丈夫だよ。それに時間がないんだ。早くジャックを助けに行かないと!……はー、よし!じゃあ早く行こう!ファビオさん!俺はいつでもいいよ!」

するとファビオがおもむろに立ち上がってアランに言った。

「ああ……分かった。じゃあ行こう。レイシアさん、すみませんがアラン君をお借りします。とにかくジャック君を一刻も早く助け出さなければならない……もし危険な事があるようだったら私が責任を持ってアラン君だけでも逃がします。すみません、今は時間がないないようだ……先を急がせてもらいますよ。」

するとレイシアもファビオに気を使わせてはいけないと思ったのかすぐに返事をした。

「……ええ……分かりました。あの……私の事は気にしなくていいですから。どうかお気をつけて。ジャック君助かるといいですね。」

「……ええ、そうですね。それでは我々は行かせてもらいます!アラン君も準備はいいか?」

するとネズミになったアランがファビオの方に走ってきた。

「俺は大丈夫だよ!さぁ早く行こう!ジャックを助けてさっさと帰ろうぜ!こんな場所!」

「ああ……そうだな。じゃあ行こう!」

ファビオはアランを手に取ると上着のポケットに入れて馬に乗り込んだ。

そして出発する前に1度レイシアの方を振り向いて言った。

「では行ってきます。もし何かあればアラン君だけでも逃がしますので。急がねばならぬので失礼しますよ。」

「ええ……分かりました。お気をつけて………。」

レイシアはファビオ達が急いでいるので余計な事は言ってはいけないと思ったが、アランの事が心配だったのか一言だけ声をかけた。

「……アラン!無茶しちゃダメよ?いいわね?」

「ああ、分かってるって!じゃあ行ってくるよ!」

話を終えるとファビオは馬を出発させてジュリアの屋敷に向かった。

レイシアは離れて行くファビオ達の姿を見ながら結果的にアランを巻き込んでしまう事になって、ファビオへの償いをしようとしてしまった事を後悔していた。

しかしこうなった以上もうどうする事も出来ないので、今はただアランが無事に帰って来るのを祈るほかなかった。




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