手に入れた魔術書
3人は屋敷の前に着いたが正面から入れば簡単に見つかってしまうかもしれないと思いどこから入るのかを話し合っていた。
皆考え込んでしまっていたがしばらくするとジャックが2人に言った。
「どうも正面から入るのは危険な気がするな……やっぱり1番見つかりやすいだろうし……。どこか他の場所を探してみようぜ。そっちの方が安心かもしれない。」
するとジャックの提案にファビオとレイシアも賛同した。
「ああ、私もその方がいいと思う。正面から入るのはやはり危険だ。見つかった時も他の場所の方が人数が少ないだろうしな。」
「そうね……私もその方がいいと思うわ。他から入るとしたら裏口か何かかしら?とりあえず他に入れそうな場所を探してみるしかなさそうね。」
「決まりだな……じゃあとりあえず屋敷の周りを回ってみよう。その後どこから入るのかを決めようぜ。」
3人は気付かれないように少し距離を取りながら屋敷の周りを歩き出した。
そして屋敷を一周してみると正面以外に入れそうな場所は何ヶ所かあったが、その中で裏口から入る事に決めた。
3人は裏口の前まで移動し、裏口のドアが開くかを確認しようとした。
そしてジャックが裏口のドアに手をかけてドアを開けてみると裏口のドアが開いた。
するとジャックは1度ドアを閉めて2人の方を振り返って言った。
「……おい、開いたよ……。無用心だな……どうする?ここから入るのか?」
すると2人はうなずいた後に言った。
「ああ……私は構わない。やはり正面からよりはこちらの方がいいだろう。それに他の場所が開いているかどうかも分からない。とにかく急いだ方がいい。」
「……そうね……私もいいわ。行きましょう。見つからないように慎重にね。」
するとジャックがドアに手をかけた。
「……ああ、分かった。じゃあ入るぜ。」
3人はジャックを先頭に屋敷の中に入った。
すると屋敷の中は辺りが薄暗くてはっきりと前が見えなかった。
「ちょっと待って……。」
するとレイシアがバッグの中からランタンを取り出して火を点けた。
「はい……先頭を行くならあなたが持っていて。この明かりじゃ見つかったらすぐ気付かれてしまうわ。急ぎましょう。」
「ああ、分かった。じゃあ出発するぜ。」
ジャックはランタンを受け取ると前方を照らしながら前に進んだ。
屋敷を進んでいる最中通りかかった部屋の1つ1つに入って魔術書があるかを確認したが魔術書は見つからなかった。
1階にある部屋をひとしきり見た後、3人はまだ確認していない2階に向かう事にした。
そして2階の部屋を開けてランタンをかざして確認していると、明かりに気付いた人形が目を覚ました。
「……うーん……誰だこんな時間に……?おい!眩しいぞ!何やってるんだよ⁉︎」
そう言うとベッドで寝ていた人形が起き上がって明かりの方を見た。
「……ん……?……‼︎何だ……⁉︎誰だお前等⁉︎」
すると人形がベッドから飛び出して来てこちらに向かって来た。
「まずい……!逃げろ‼︎」
ジャックが大きな声を上げて2人を逃がすために誘導しようとした。
ファビオ達が逃げていると騒ぎを聞きつけたのか他の部屋からも人形達が出てきた。
「おいおい……どうしたんだよ、こんな夜中に……?……‼︎おい!何だこいつら⁉︎お前等一体どうやって入ったきた⁉︎ここに⁉︎」
「……おい、一体何があったんだよ……?……!おい……何だそいつら……?おい!みんな起きろ‼︎何やってんだ⁉︎早くこっちに来い‼︎」
人形達は騒ぎを聞きつけてみんな部屋から飛び出して来て、ファビオ達を見つけると後を追いかけてきた。
ファビオ達は奥の方に追い詰められるとジャックがとっさに奥の部屋のドアを開けた。
「おい!何やってんだ⁉︎さっさと入れ!ドアを閉めるぞ!」
ジャックは2人が部屋に入った後自分も部屋に入り急いで部屋の鍵を閉めた。
「……まずいな……見つかっちまった……。どうするよ、これから……。」
ジャックは鍵を閉めた後ドアから少し離れた場所に座り込んでしまった。
ファビオ達が部屋に入ってからすぐに人形達が追い付いて来て、ファビオ達が入った部屋の前で何やら話し合っているようだった。
「……おい、どうする⁉︎あいつら部屋の鍵をかけてるぞ……壊すしかないんじゃないか?このドア?」
「ああ、そうだな。これは素手じゃ壊せねーかもしれねーな……。おい!誰か道具持って来い‼︎」
外から人形達の話し声がしてしばらくすると、突然部屋中にドアを叩く凄い音が響き渡った。
「ドカッ!」
すると外で人形の1人が言った。
「……痛ってー……ダメだ、開かねー……。おい、これドアを壊すための道具がいるぞ?どうする?誰が持って来るんだ?」
「おう、ちょっと待ってろ。俺が行く。おい!誰か1人付いて来てくれ。後はここで中の奴等を見張っててくれ。」
「おい、俺が行くよ。すぐに戻るからよ。それまで頼んだぞ。」
「ああ、分かった。早く戻れよ。」
人形達がドアを壊すための道具を探しに行った頃、部屋の中ではジャックが窓の前に移動して窓の外を見ながらどうやって逃げるかを考えていた。
ファビオはただ立ち竦んでいるばかりだったが、レイシアはというと部屋の中にある本棚の所まで移動して魔術書を探そうとしていた。
その姿を見たジャックはファビオの前まで行って呆れながら言った。
「……おいおい、マジかよ……。はー……肝が座ってるねー、レイシアさん。おいどうするんだよ、じいさん……?何か考えてるか?ここから逃げ出さなきゃいけないんだぞ?」
するとファビオはぼんやりとしていたのかジャックに言われてうろたえながら話し出した。
「……いや……何も考えてなかった……。あまりにも突然だったものでな……お前は?何か思いついたのか……?」
「いや、俺もまだだけどよ……。まぁどうにか考えないとな。このままあいつ等に捕まったら殺されちまうかもな……。本当に人形が動いてるんだな……気味が悪ぃなほんと……ありゃ捕まったら終いだぜ……。」
「……ああ。」
ジャックは窓の方に戻った後窓から身を乗り出して出られる方法がないかを探していた。
ファビオはその場で逃げ出す方法を考えていたが確かな方法は思いついていなかった。
レイシアはその間もずっと本棚にある本を手当たり次第確認していた。
「……‼︎」
そして何かを見つけたのかレイシアが1冊の本を持ってファビオの方に近付いて来た。
「……ありました……この本があの魔術書です。この魔術書さえあれば元に戻れます。」
「‼︎……本当ですか……?」
ファビオは魔術書が見つかった事には驚いたがこの状況では素直に喜べるはずもなく、今は魔術書よりもこの状況の方が気になって平静さを失っていた。
ジャックはその様子を見ても何も言わず、逃げる方法がないかを考えてずっと窓の外を眺めていた。
すると突然ジャックが何か思いついたのかファビオ達の方へ近付いて来た。
「よかったな、あいつを帰さなくて……。おい、飛ぶぜ。ここから。」
ジャックが言っている事がファビオには訳が分からず、真意を確かめるために質問した。
「……飛ぶ……?一体どういう意味だ……?話が分からない……ちゃんと説明してくれ。」
するとジャックが2人の顔を見渡した後、ちゃんと分かるように説明し出した。
「レイシアさんには悪いけど……この部屋の下にアランを呼ぶんだ……。アランを馬に乗せてこの部屋の下で待機させとく。それで俺達はこの部屋の窓から下に飛び降りる。2階から飛び降りた後はおそらく体の痛みでまともに動く事は出来ないだろう。だからあいつに馬を持ってこさせるんだ。飛び降りた後はその馬に乗ってすぐ逃げるんだ。ぐずぐずしてたら追っ手がやって来るかもしれないから飛び降りた後すぐに馬に乗るんだ。どうだ?この状況ならもう他に方法はないと思うんだけどな……。」
ファビオとレイシアは返事が出来ずに黙っていたが、ジャックは確認のためにレイシアに聞いた。
「……あんたの孫を巻き込みたくないって気持ちは分かるけどよ、この状況じゃ他に方法がないんだ。あんたの孫にも手を貸してもらう。……いいな?」
レイシアは黙り込んでしまったが、しばらくするとこの状況では仕方ないと思ったのか覚悟を決めた様子で言った。
「……ええ、分かったわ。そうね……この状況じゃそんな事も言ってられないものね……。」
「ああ……まぁあんたの孫がまだ帰ってなければの話なんだけどな……。よし、じゃあいいか?これを上手くやるにはタイミングが重要だと思う。あいつらの仲間がドアを壊すための道具を持ってこの部屋に戻って来る。そうしたら下の階には誰もいなくなるはずだ。そのタイミングに合わせてアランをこの下に呼ぶ。ドアを壊すまでに時間があるはずだ。その間にここから飛び降りてあいつらから逃げ切るんだ。」
ジャックの計画を聞いていた2人は納得したのかとても感心した様子で言った。
「ああ……確かにその方法なら上手くいくかもしれんな……いや、他に方法があるとは思えん……分かった!私はその方法でいいぞ!」
「ええ、私もその方法でいいと思うわ。ねぇ、若いのに立派ね。この状況ですぐにそんな事思いつくなんて。」
するとジャックは少し照れながら言った。
「止めろよ……!恥ずかしいだろ……さぁこんな事言ってる場合じゃないな……。とにかく奴等が来たらすぐに飛び降りるぞ!心の準備はしといてくれよ。」
ジャックは話しを終えると窓の外を見たがレイシアがジャックに質問した。
「ええ……それはいいんだけど……。それで飛ぶ順番はどうするの?あらかじめ決めておいた方がいいと思うんだけど……。」
するとジャックが動揺した様子で言った。
「ああ!いけね……そうだな……飛ぶ順番を決めてなかったな……。じゃああんたら2人が先に飛べよ。俺は後からでいいからさ。」
するとファビオが慌てた様子で言った。
「いかん!それはダメだ!まず助かるとすれば君が先だ!君は若いんだ。我々よりも先に君が助からないといけない。」
するとジャックが少し照れた様子で言った。
「……何言ってんだよ。あんた助けるために俺達ここまで来たんだろ?それにせっかく探してた物も見つかったんじゃねーか。ここであんたが捕まっちまったらここまで来た意味が何もなくなるだろ?」
「しかし……!それでは君はどうなる⁉︎君のような若く将来のある者が本来は先に助かるべきなんだ……。それに私は君には本当に感謝しているんだ……だから君から先に行きなさい。」
「はっ!何言ってんだか……いいから行けよ、じいさん。それにじいさんがさっさと飛べば俺も間に合うんだ。あんまりもたもた考えてる時間はねーぞ。」
「いや……しかし……!」
「くどいぜ、じいさん!いいから先に行け!俺は最後でいい。後はあんたらで勝手に飛ぶ順番を決めるんだな。」
ファビオが黙ってしまうとレイシアがファビオの方を見て言った。
「ファビオさん、お先にどうぞ。私はファビオさんが飛んだ後に飛びます。もし私が捕まりそうになったら魔術書をこの部屋から投げます。その時はカムルの村に行ってアランの母親を訪ねて下さい。あの子ならもしかしたら魔術書を扱う事が出来るかもしれない……その時はアラン達と一緒に元に戻る方法を探して下さい。……ジャック君、ファビオさんが飛んだ後に私も飛ばせてもらうわ……それでいいわね……?」
「ああ、俺は構わないぜ。さぁ順番は決まったな!とっとと飛び込む覚悟を決めろよ。あいつらがそろそろ来るかもしれないぜ。」
ファビオがジャックへの申し訳なさからか黙り込んでいるとレイシアがファビオの肩にそっと手を置いて言った。
「ファビオさん、彼は考えを変えるタイプじゃないみたいですね……すぐに飛び降りれば彼も間に合うかもしれない。ここは色々考えずに早く飛び降りましょう。」
「レイシアさん……ええ、そうですね。分かりました。それでは私から先に行かせてもらう事にします。」
「ええ、分かりました。私も後から続きます。」
ジャックは窓から身を乗り出して外の様子を観察しアランがいる方を確かめた後、アランを呼ぶ準備をしていた。
その様子を見ていたファビオとレイシアも窓の方へ近付いて行った。
ジャック達が窓の前で待機してから少し経つと部屋の外から人形達の声が聞こえてきた。
「おい、悪い悪い。遅くなっちまった。」
「ああ……それで?道具は見つかったのか?」
「ああ……こんなのしか見つからなかったんだけどよ。これで大丈夫か?」
「ああ……じゃあとっととこのドア壊しちまおうぜ。いくぞ!」
「ドカッ‼︎ドカッ‼︎」
ドアを壊そうとする物凄い音が部屋中に響き渡っていた。
(きたか……‼︎)
その様子を確認したジャックが窓から身を乗り出してアランがいる方に向かって出来るだけ大声で叫んだ。
「おい!アランッ‼︎聞こえるか⁉︎俺だ‼︎ジャックだ‼︎俺の声がする方に馬に乗って早くこい‼︎いいか⁉︎馬に乗ってだぞ‼︎おい!アランッ‼︎早くしろ‼︎」
ジャックはアランに分かるように同じような事を叫び続けていた。
すると部屋の外にいる人形達もジャックの言っている事に気付いた。
「おい……あいつら何言ってる?馬に乗って来いって言ったよな、今……?おい、まさか⁉︎おい!あいつらまだ外に仲間がいるんじゃないのか⁉︎」
「ああ……どうやらそうみたいだな……。おい!外に行け!この部屋の下に助けに来る気だ!外に行って捕まえろ!」
「おい待て!もし罠だったらどうする⁉︎俺達がいなくなった隙にこの部屋から逃げ出す事だって考えられるぞ⁉︎」
「ちっ‼︎じゃあどうするってんだよ⁉︎」
「おい!落ち着け!とりあえずここは冷静に少しなって考えよう!……あー!どっちか分からん‼︎クソッ!じゃあ2手に分かれよう!俺達3人は下に行く!お前達2人はここにいろ!いいな⁉︎よし!行くぞ!」
「ああ……おい、行くぞ!」
「ああ、分かってる!」
部屋の前に残った人形達はドアを壊す続きを始めた。
「チッ!ふざけやがって……!おい!さっさとこのドアぶっ壊すぞ!」
「ああ!さっさとやるぞ!」
「ああ!いくぞ‼︎」
人形達はドアを物凄い勢いで壊そうとして、部屋中にドアが何かに打ち付けられる物凄い音が響き渡った。
ジャックはアランに分かるようにひたすら叫び続けていた。
一方アランはというと、ジャック達を探して馬に乗ってジャックの声が聞こえる方に向かっていた。
(おい!一体どこにいるんだよ⁉︎何があったんだよ一体⁉︎おい!どこだよ⁉︎どこ⁉︎)
アランがジャックの声が聞こえる方に向かっているとジャック達がいる部屋の下に着いた。
そしてアランが部屋の下に来たのを確認するとファビオが2階から飛び降りようとしていた。
(何だ⁉︎何する気だ……⁉︎!まさか⁉︎あそこから飛び降りようってのか⁉︎)
すると中々飛び降りきれないファビオにジャックが言った。
「……おい!じいさん!もたもたしている暇はないぜ。他の奴等も下に向かってるんだ。さっさと飛びな!」
「……ああ……。」
ファビオはまだためらっていたが一瞬後ろを振り返るとジャックとレイシアの姿が目に映った。
次の瞬間ファビオは覚悟を決めて勢いよく窓から飛び降りた。
「……ぐわぁ‼︎」
ファビオが地面に叩きつけられてうめき声を上げた瞬間アランが乗っている馬が驚いて逃げ出そうとした。
「ヒンッ⁉︎」
アランは逃げようとする馬を必死に抑えつけて元の場所に戻そうとしていた。
「おいっ!何やってるんだよ⁉︎ここで大人しくしてろ!」
するとレイシアが下の様子を確認した瞬間すぐに飛び降りた。
「……くっ……‼︎」
レイシアはうめき声をほとんど上げずにただ痛みを堪えていた。
すると遠くから人形達の声が聞こえてきた。
「おい!いたぞ!あそこだ‼︎早くしろ‼︎」
「ああ!分かってるよ!」
その様子に気付いたジャックが2階からアランに叫びながら言った。
「おい!アラン!その2人を馬に乗せてさっさと逃げろ‼︎急げ‼︎早くしろ‼︎」
ジャックの声が聞こえるとファビオとレイシアは自力で立ち上がり馬に乗ろうとした。
アランは馬から降りて2人が馬に乗るのを手伝った。
2人を馬に乗せるとアランは自分も急いで馬に乗った後一瞬ジャックの方を見た。
「何やってるんだ!アラン!さっさと行けー‼︎」
ジャックのその言葉を聞いてアランは2人が掴まっているのを確認した後、急いで馬を出発させた。
人形達は走ってアラン達の事を追いかけてきていたが、アランが2人を乗せて馬を出発させる方が僅かに早かった。
「クソッ!おい待て!待てテメー!」
「おい!ながらやってるんだ!追いかけろ!」
人形達はアラン達の後を追いかけて行ったがアラン達が乗っている馬のスピードには敵わず、その差はみるみる広がっていった。
人形達はアラン達を追いかけてしばらくするとアラン達の姿を見失った。
一方ジャックはというと部屋の中でただ1人呆然としていた。
(はっ……結局俺1人だけ捕まっちまうのかよ……。……あーあ……こんなんだったらあんなじいさんの言う事まともに聞かなきゃよかったな……。……はー。殺されんのか、俺……?今更何言っても始まらないか……ったく、しょうがねー人生だったな……もっとマシな人生なかったもんかね……。)
すると部屋の中に響き渡っていたドアを壊す音が変わってきて今にも壊れそうだった。
その様子を見たジャックは覚悟を決めたのか笑みを浮かべて言った。
「はっ……いいぜ、来いよ!」
次の瞬間ドアが壊れて人形達が部屋の中に入って来た。
人形達は部屋に入って来ると笑いながら怒りに満ちた表情をして言った。
「はっは……!何だ⁉︎お前1人か?他の奴等はどうした?」
「さーな……お前等には関係ないだろ?」
「ふっ……まぁいい。お前をぶちのめして居場所を吐かせればいいだけだ!よし!いくぞ!」
「ふっ。さーて、そう上手くいくかねー。いいぜ!来いよ!」
ジャックは2人の人形達と戦った。
ジャックは思いのほか強く2人の人形相手に善戦したが相手が2人という事もあり次第に状況は悪くなっていった。
ジャックが追い詰められていくうちに最後は他の人形達も援軍にきて最後は人形達に捕まった。
ジャックは捕らえられた後人形達にロープで縛られ屋敷の物置小屋に入れられた。
「そこで大人しくしてろ!まぁせいぜい仲間が助けに来る事を祈るんだな。来なければお前はここで終わりだがな!」
「はっは……来ねーよ、あいつらは……。最近会ったばかりで仲間って呼べるもんじゃないからな……。」
「何だと⁉︎じゃあ何でお前はそんな奴等を助けるんだ?」
「さーてね……まぁいいか、もう……。ふー……あいつらの中に昔王子だったってのがいたんだよ。そいつがここに住んでいる魔導師に魔法をかけられて入れ替えられたんだと。それで俺はその魔術書とやらを探す手伝いに来ただけだよ……だからあいつらは俺を助けには来ない。まぁ俺は利用されただけだったのかもな……。褒美欲しさにこんな事してこのざまだ……欲に目が眩んだのが悪かったのかもな……。なっ、笑えるだろ……?」
ジャックのその言葉を人形達は黙って聞いていた。
そして人形達の中の1人が言った。
「おい……その昔王子だったって奴……もしかしてあの時牢から逃がした奴なんじゃないのか?」
「……ああ、そうかもな……。ちょっと待て!こいつに聞いてみよう!」
すると人形がジャックに聞いた。
「おい!その魔導師っていうのは……一体何ていう名前だって言ってた⁉︎」
「さーな……はー……。ジュリアだよ……ジュリアって言ってた……。」
「……やはりそうか⁉︎他には⁉︎何て言ってた⁉︎」
「……ああ、あんた達の事も知ってたよ。それにそいつはあんた達から逃がしてもらったって言ってたよ……。」
人形達はその話を聞いて黙り込んでしまったが、しばらくすると1人の人形が興奮した様子で言った。
「おい……!あいつが近くにいるんだろ⁉︎探そうぜ!あの野郎……見つけたら絶対にただじゃ済まさねーぞ‼︎」
「ああ、そうだな……。まぁとにかくお前にはここにいてもらう。もしかしたらあいつらがお前の事を助けに来るかもしれないからな。それまではここでしばらく大人しくしてろ。よし!じゃあ行くぞ!」
そう言うと人形達はジャックを物置小屋に置いてどこかへと行ってしまった。
ジャックは1人そこに残されてただ呆然としていた。
「……だから来ねーって……。」
ジャックはほんの少しだけの期待を抱きながらも自分のやってしまった事への後悔と自分の運の無さを恨みながら、ただ少しでもファビオ達への期待を抱いてしまう自分に怒りを感じていた。




