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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
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臆病の代償

レイシアとエミーがカムルの村に戻ってきて1年余りの時が流れていた。

レイシアはフサンダールの人達に何も告げずに出て来てしまった事を常に後悔していたが、フサンダールに戻ってあの時の事を伝えなければいけないとは思ってはいても恐怖心があって戻る事が出来ないでいた。

しかしレイシアはある日の晩フサンダールに戻る決心をし、エミーが寝静まった夜エミーの父親にその事を話した。

「明日フサンダールの様子を見に行ってみようと思うの……エミーは置いていくから私がいない間エミーの事をよろしくね。」

エミーの父親はレイシアのその言葉に驚き、少し黙り込んでしまった。

もちろんレイシアがずっといるとは思ってはいなかった。しかし家族で過ごす時間が続くとずっとこの時間が続くのではないかと思うようになっていた。何よりこれだけ時間が経った後なので尚更驚いていた。エミーの父親にはレイシアを止めたい気持ちもあったが、レイシアはおそらく止めても無駄だと思ったのか半ば諦めているように言った。

「……ああ、そうか……。分かった。エミーの事なら心配しなくていい。俺がちゃんと見ているから。その代わり何かあったらすぐに戻ってこい。いいな?」

そう言うとエミーの父親は席を立って部屋から出て行ってしまった。

レイシアはそれを見てエミーの父親に対して申し訳ないという気持ちももちろんあったが、それ以上に今はフサンダールの事が心配だった。

レイシアの決意は固くフサンダールの人達に対する思いと、何よりあの後何が起きたかを考えると罪悪感で毎日夜もあまり眠れずにいた。

レイシアはその夜フサンダールに向かう為の準備を終えて眠りに就いた。

レイシアは次の日の朝早く、誰にも家を出る事を告げずにフサンダールに向かった。

レイシアは長い時間をかけてようやくフサンダールに到着すると、そこには驚くべき光景が待っていた。

レイシアがかつてフサンダールがあった村の辺りを見渡すと、そこには建物はおろか人1人たりともおらずただの野原が広がっていた。

レイシアはその光景を眺めながらただ呆然としていて、あの日自分がしてしまった事の意味をようやく理解してその場で立ち尽くすしかなかった。

(……やっぱりあの後レールムの兵士達が襲ってきたんだわ……ああ……私があの時みんなにちゃんと知らせておけば……。ごめんなさい、みんな……許して……。)

レイシアはそれから何も考える事が出来ず、ただフサンダールの景色を見つめる事しか出来なかった。

それからしばらくしてレイシアはかつてフサンダールがあった場所を歩いてみた。

しかし行けども行けども村にかつての姿はなく、村の昔の光景と比べるとあまりにも無残でその場に崩れ落ちた。

(……私のせいだわ……私があの時みんなにちゃんと知らせておけば……!取り返しがつかない事をしちゃった……みんな決して許してはくれないでしょうね……。私があの時自分の事しか考えなかったばっかりに……どうしてこんな風になるの……?)

レイシアはそれからしばらくその場に座り込んで動けなかった。

随分と時間が経った頃、レイシアはその場から立ち上がり村から出ようとした。

村の外に出る前にその場で出来るだけの祈りを捧げながら手を合わせた。

祈りを捧げた後、レイシアはフサンダールの景色を決して忘れないように出来るだけの時間を使って目に焼き付けていた。

そして眺め終えると船に乗ってフサンダールを出発した。

カムルの村に戻るとフサンダールで見た光景をエミーの父親に話した。

「……全てなくなってたわ……本当に跡形も無く全てがなくなっていた……。」

その言葉にエミーの父親は驚いてしばらく黙り込んでしまったが、しばらくするとレイシアを励まさないといけないと思ったのか言葉を振り絞った。

「……そうか……まぁ……でも当時のお前の状況なら誰でも逃げるという考えしか持てなかっただろう……、決してお前のせいじゃない……仕方ないさ。」

その言葉を聞くとレイシアはテーブルに顔をうずめて泣き出してしまった。

「私のせいだわ……私があの時ちゃんと話していればこんな事には……一体みんなにどうやって償えばいいの……⁉︎」

エミーの父親はしばらく黙っていたが、レイシアを元気づけようとして言った。

「仕方ないさ……お前じゃなくてもその状況なら誰でもそうしたさ……。残念だとは思うが終わった事をどう考えても決してどうする事も出来ない。フサンダールの人達だってお前がそんな風になるのを望んじゃいないだろう……。これからはその人達の分までお前は笑って生きれるようにしないとな……。」

レイシアは返事が出来なかったが、しばらく経って顔をうずめながらうなずくと、その晩はずっと泣き続けていた。


レイシア達がカムルの村に戻ってきてから随分と長い時間が経った。

その後レイシアは村から出る事はなく、エミーの父親の仕事を手伝いながらカムルの村で暮らし続けていた。

やがてエミーも大人になり村の青年と恋に落ちて結婚した。

2人の間にはアランという名の男の子が出来て家族3人幸せな生活を送っていた。

アランが生まれてレイシア達も同じように幸せに暮らしていた。


物語はこれからアランが成長した後に進む。アラン達と供に冒険は進んでいく。





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