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クロスチェンジ  作者: 緑ラン
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入れ替わった2人

ポールがファビオと入れ替わって3年の時間が過ぎようとしていた。

ポールは王位を継いで新しいレールム王となっていた。

レイラとも結婚してジョージという子供も生まれ、彼がポールだった頃に望んだ物を全て手に入れた。

しかしポールにはジュリアの事以外にも問題があった。

それはレイラにはファビオとの間で出来た子供がいたからだ。

その子の名前はロックと言った。

ポールにとってロックは邪魔な存在でしかなく、ポールはロックを城内の隔離された場所に幽閉して侍女に育てさせていた。

ロックはそこから出る事が許されず、城の者はポールの取った行動に驚きを隠せなかった。

もちろんロックを始末する事も考えたがそんな事をすればポールの周りの人間が黙っていない、何よりレイラは決してそれを許しはしないだろう。

ポールはロックをレイラから少しずつ遠ざけ、ジョージが正当な跡取りとして周囲から納得されるように動いていた。

ジョージは幼いのに母に会う事も許されず、王宮から離れた場所で孤独に暮らしていた。

(父上は僕の事が嫌いなんだ……ジョージが生まれたから僕の事がいらなくなったんだ……。何で僕だけこんな目に会わなきゃいけないんだよ……母上に会いたいよ……母上……。)

しかしロックの暮らしは変わらず、ただひたすら隔離された場所で育てられた。

レイラは毎日必死にロックの事をどうにかして欲しいとポールに懇願したが、ポールがそれを聞く事はなかった。

「……あなた……どうしてロックにだけこんなひどい仕打ちをするの……?ロックが何をしたっていうの……?お願いもうやめて……。」

しかしポールはいつものようにまともにレイラの話に取り合おうとはしなかった。

「ダメだ。何度言ったら分かるんだ?ロックにはあの方がいいんだ。大丈夫だ。私にはちゃんと考えがあるんだ。」

「でも……ロックはまだ小さな子供よ……そんな子が1人であんな事に耐えられる訳ないじゃない……!どうして分かってくれないの⁉︎あなた絶対におかしいわ!」

「お前が何と言おうと私がダメだと言ったらダメなんだ。諦めなさい。私の考えに従ってもらうよ。」

「……そんな……あなたはいつになったら昔のファビオに戻ってくれるの……?こんな事は私の知っているファビオなら絶対にしなかった……。」

「……。」


ポールが王になった後ロックの事以外でもレールムは少しずつ変わっていった。

ジュリアはポールが王になった事をいい事に他の国を侵略する為にレールムに戦争をさせていた。

その為レールムの財政は圧迫し国民達の不満は次第に高まっていた。

それを回避する為に財源確保の為の戦争が更に増えたが、レールムという大国の力もあって戦争に勝利した。

財源が確保されると国民達は何とか納得してポールは王としてレールムに居続けられていた。


ジュリアはというとポールから資金を集めてレールムから大分離れた森の中に大きな屋敷を作って暮らしていた。

そしてファビオもその森の中に移され、新たに森の中に作られた牢屋の中に閉じ込められていた。

ある日ジュリアはいつものようにファビオに食事し持っていった。

ジュリアが食事を持っていくとファビオは最早抵抗する事もなく、いつものようにジュリアを迎えた。

「ファビオ、食事を持ってきたわよ。ここに置いておくわよ。」

「ああ……すまないな。いつも。」

ファビオはジュリアから食事を受け取ると嬉しそうに食事を始めた。

ファビオにとっては食事が1番の楽しみなので仕方なく、他は外を眺めるかただ1日中ボーッとしているだけで牢から出る事は一切許されていなかった。

ファビオが食事を取っている最中にジュリアが話しかけた。

「また明日もこの時間に来るわ。じゃあね。」

するとファビオは食事を取るのを一旦止めて、ジュリアの方を見て言った。

「ああ、分かった。ありがとう。」

ジュリアは軽く笑みを浮かべた後、その場から立ち去ってしまった。

ファビオも最初のうちは牢から出ようと画策したが牢から出る為の道具も何も持っておらず、ただ時間だけが虚しく過ぎていきファビオは次第に諦めていってこの生活を受け入れるようになった。

もちろん最初はジュリアと交渉しようとしたがジュリアから自分の状況を聞かされると逃げる事は出来ないと悟った。

ファビオにとってはただ毎日がひたすら同じ日の繰り返しのようで最初は辛かったが、ファビオはある程度の時間が過ぎると人生を諦めた。

そしてファビオは今日もまた同じように牢の中から外の景色を眺めていた。

代わり映えしない毎日の中で誰かが助けに来てくれるかもしれないと奇跡を願う事もあったが、そんな事は起こらずに虚しく時間だけが過ぎていった。



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