彼岸花
君の毛細血管いつ売るの。秋真っ盛りだからって。
君はいつもひとりで泣いてる。たまには僕らに微笑んで、見せとくれ。
笑った笑ったこら泣いた。
鉛で化粧をするもんだから、ヒビ割れ身割れ卒倒もの。大往生したじい様の手向けになることだろう。
毛細血管から真鍮の血が流れる。
地に涙溜め、血の池にモグラかどわかす秋の夕暮れ。牡丹岩。
蛆 屍 大僧正。君の知り合いはこれだけだ。
泣いても泣いても岸は遠のくばかりと君は言う。
金切り聲を枕にし、今夜も毛細血管、僕らのために露零す。
春が来るまで一緒に泣いてあげようと寄り添う優しい花なのだ。




