第2話 運命の出会い
やっぱり説明が長くなってしまいました。出来るだけ前半で説明を終わらせたいです。
夜が森を銀色の世界にした時、それを見ていた者達がいた。
「おい!何だあれは!」
一人の男が森が凍ったことに驚き叫ぶ。
「分からん、だがこれだけは確認できたことだ。空に飛ぶワイバーンが下に降りた時、ワイバーンが降り立ったところを中心に森が凍った」
「まぁ、それは分かるが誰がやったのかが問題だよな」
その言葉を聞いて1人の男が疑問を覚えた。
「なんで人間なんてわかるんだよ?」
「そんなの物凄い魔力を感じたからに決まってんだろ?」
「あぁ〜、そういう事か。俺は魔力の感知が苦手なんだよ」
この世界ではこの男のように魔力を感知できない者もいるのだ。魔力を感知するのは才能があるかないかになる。
例外は遺伝になる。親が優秀な魔法士ならば子がそれを受け継ぐ可能性がかなり高い。
だが適性だけは遺伝は全く関係はない。
「それにしても、森を凍らせる魔法なんて聞いたこともないのに、あそこまでの魔力量を保有するやつだ、相当な手練だろうな」
「そうだな、☆3のワイバーンですらかなりやばいのに、それを簡単に倒せる奴がいるとはな」
「ワイバーンが倒されているかどうかはまだ分からんが、あの森の状況を見るに間違いなく氷漬けだよな」
☆3とはこの世界での魔物の危険度を表している。
低い方から☆1、☆2、☆3、☆4、☆5、となっている。
☆1には主に雑魚と呼ばれる奴らだ。ゴブリンやスライム、ウルフなど他にもいるが、かなり範囲は大きい。
☆2は☆1の進化バージョンの様なものがほとんどだ。
☆3は夜が倒した、ワイバーンやトロール、それから小悪魔系のモンスターがほとんど。
そして☆4だが、かなり強い。竜種の中でも王に近いか王そのものに属する魔物、悪魔系も話せるようになってきたり、魔法も使えたりと☆3までの魔物とは格が違う。
☆5は1体現れただけで天災をもたらすの程の魔物などが☆5になる。☆5の場合は魔物とは呼ばず神獣と呼ばれている。ここ数年は発見されていない。
だが、☆4以降は別格とは呼ばれているが☆3も弱いわけではない。むしろかなり強いほうなのだ。
「あぁ、いきなりワイバーンが確認された時は内心かなり焦ったものだ。」
「とりあえずはこの事を冒険者ギルドに報告しておけ、あんな事出来るやつなんか冒険者の可能性が高い」
一人のリーダー格ぽい男が呼びかけた。
「了解です。冒険者ギルドにて調べてもらいましょう。「魔の森」はここの国から近いですから、危険かも知れない奴が来るかもしれない。把握しておきたいですもんね」
こうして、王国にある冒険者ギルドでは来た人全員に森を凍らせた人物かどうかの検査が行われることになった。
その事を夜が知るのは後の話だ。
そんなやり取りが行われている事を知らない夜というと、今日何度目かの不思議な出来事を目撃していた。
「あ〜、なんだ?側の湖の水が消えたと思ったら奥底から宝箱が出てきたぞ?」
不思議な出来事とは、ワイバーンを倒した後すぐそばにあった(何故か凍らなかった)湖の水がゆっくりと消えていったのだ。そしてその奥から大きな宝箱が出てきたのだった。
(とりあえず開けてみるか?いや、罠という可能性も十分ある)
夜は内心でかなり警戒をしていた。だが考えた末に開けてみることにした。
もちろん、警戒心は解いていない。
(簡単に開いたな。罠もなし、とりあえず安全だな。だが何だ?黒と白の刀?それにポーチか?)
中から出てきたのは2本の刀とポーチだった。不思議に思った夜は知識を使ってみることにした。だが、刀は分からなかった。だがポーチはわかった。
このポーチはアイテムボックスという物だった。かなりレアで殆どの人が持っていない物だった。
アイテムボックスとは普通のポーチとは比べ物にならないぐらいの量の物が入るものだった。どれだけ大きな物や量を入れても所有者の魔力の量によって入れれるし、重さも感じない、そんな優れものだった。
刀だが、夜はとりあえず白色の刀から触ってみることにした。
白い刀を触った瞬間、夜の体にちょっとした変化があった。
(これは!?)
夜の体中に巡る魔力が白い刀に反応したのだ。
だがそれ以外の反応は無く、体への特別な変化もない。気になるが黒色の刀も触ってみることにした。
だが
(何故だ?何も変化がないぞ?)
黒色の刀を触っても白色の刀のような変化はなかった。
気になってはいるが、とりあえず夜になると森も危険になると考え、黒色の刀しまいお金のために胴体が凍ったワイバーンの尻尾を切取り、切り取るために使った白い刀を腰に下げ尻尾をアイテムボックスに入れると森を抜けるために、知識から調べたここから一番近い国、王国に向かって歩き出した。
「魔の森」は普段はかなり危険だ。魔物も活発で多いのだが夜が凍らせてしまったために、まったく出てこない。
そのため、歩きながらやっとのことでこの世界の事を整理していた。
この世界の名前はオーロマールムといい。通貨はどの国も共通でオーロという世界の名前からとった通貨だった。鐘の絵が書いてあるコインで1円=1オール、10円=10オール、100円=100オール、という感じで数が上がっていっても日本と一緒だった。
この世界は色々な種族があり、人間と亜人と呼ばれる、エルフ、獣人、悪魔、そして珍しいマーメイド、となっていて、悪魔は魔物に入れらて完全にどの種族からも敵対されている。
そして人間と亜人は8対2の割合とかなり亜人は少ない。なぜなら、亜人は人間から迫害を受けているからだ。
亜人はもうちょっといるが割合には入りはしない。
それは、奴隷にされているからだ。
そして、驚いたことに時間の単位と1年の日付は日本と何も変わらなかった。
この世界の事を脳内で調べていると森を抜けることができた。
(やっと抜けることが出来たか。ん?あれは?)
抜けた所は広く何も無い草原だった。遠くに小さな壁らしき物が見え、森が周りにあるだけだった。
そんな中、夜からそこまで離れていない距離で商人らしき人物が盗賊5人襲われていた。
(また面倒な。…助けてやるか)
夜は心の中で助けることを決意し、白の刀を左手に持ち地面を蹴った瞬間、商人が盗賊に切られて倒れた。そのまま起き上がることは無く、恐らくは死んでしまったであろう。
それでも走り出してしまっている夜は止まることなく元の位置からの距離をものともせずに一瞬で盗賊の前に立つ。
するといつの間にか現れた少年に一人の盗賊が驚き叫んだ。
「何だてめぇ!?どこから現れた!」
叫んだ盗賊に向って夜は冷静に答えた。
「口を動かすより、体を動かせ。俺がお前達の味方に見えるのか?」
夜はそう言うと目の前の盗賊の懐に入り、先ほど入手した白い刀を鞘に入れた状態から魔力を纏わせ、目にも止まらぬ速さで振り抜いた。
盗賊は胴体を斜めに真っ二つに切られて刀身は氷の剣へと変化していた。
(なるほど、これで反応した事が何を意味していたのかわかったな。)
少し考えていると後ろから一人の盗賊が斧を振り下ろしてきた。
当然そんな事で攻撃を受けるわけもなく刀を鞘に戻すと、夜は横に飛びながら空中で半回転する。
着地した瞬間に地面を蹴り、一瞬で近ずくと刀を横に振り抜いた。
(やっぱり、重力が少ない分体が軽いな)
そう重力が少ない分、体が軽くおのずと身体能力がかなり上がるのだ。
そのためにちょっとした無理も苦では無いのだ。
2人目がやられた瞬間に他の盗賊たちが慌て恐怖し始めた。
「おい!やばいぞあいつ!」
「一瞬で二人もやられちまった!」
盗賊の2人が慌て恐怖して今にも逃げそうだった。
だが、盗賊のリーダー格と思われる男がそんな2人に叫ぶ。
「慌てるな!3対1だ、数で押し切れる!!全員一斉攻撃だ!!!」
そんな逞しくも愚かな叫びに他盗賊2人が少しの安心感と不安を顔に滲み出す。
だがリーダーの呼び掛けに少しばかり勇気が出た2人は一斉に夜に攻撃することを決意した。
その時、夜は静かに呟いた。
「愚かだな。実力の差も分からないとは。」
そんな呟きを聞きながらも盗賊3人が夜へと突っ込んできた。
だが夜を相手にどうこうできるはずがない。
夜はその場から動かずに目を瞑ると刀をゆっくりと抜いた。
そして目を瞑った状態で盗賊達を突っ込んできた順番に相手の攻撃を躱しながらも通り過ぎざまに切っていった。
一人の盗賊は体を横になぎ払い。
一人の盗賊は体を斜め下に切る。
そして盗賊のリーダーを夜は空中で回転すると横に回転する勢いで顔を斜めに切り上げた。
誰1人として悲鳴を上げることなく絶命した。
こうして、夜にとっての初めての人殺しが終わった。
夜は初めての人殺しに戸惑う事や動揺することをしなかった。
そして、そんな自分に少しばかり恐怖した。
(やはり、俺もどこか壊れてるんだろうな)
自分の精神状態を確認したところで、商人が乗っていた馬車の荷台から人の気配がした。
(まさか、まだ盗賊が?)
盗賊が潜んでいるかもしれないと考えた夜は警戒しながらも荷台の扉に手をかけて開けようとしたが扉には鍵がかかっていた。
そのため、鍵を壊すため刀を握ると切り上げる。
鍵が壊れた瞬間、一気に扉を乱暴に開け刀を左手に持ち構える。
次の瞬間、クールな夜の顔が驚愕の顔に染まった。
ーそこにいたのは美しい銀色の髪に銀色の目をした少女がボロボロになり無気力に座っていた
説明が長すぎてヒロインの少女と会うのが遅くなりました。次は少女と王国に行きます!