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僕たちの正義へようこそ  作者: 末広 有夏
20/31

そうなんだよ

 ここ数日は真夏の日差しがカーテンを突き抜けて入ってくるようで、冷房があっても気だるい感じが抜けない。今日は活動の予定も無いし、部屋でごろごろしていよう……と思った昼過ぎ、青山から電話がかかってきた。

「……もしもし」

『こんにちは、遥さん。実は今から広報活動として瑞希君と地元誌の取材に出るんですが、良ければ一緒に来ませんか?』

何事も無かったような話し方だ。無神経なのか、仕事とプライベートは完全に別のものなのか。

「私がですか?」

『正直な話、広報活動を僕と瑞希君だけで行うのは限界があるし、瑞希君も遥さんがついてくれると安心みたいなんです。だから出来たら少しずつ、広報活動にも参加してもらえないかと思って』

やはり私は優秀な警備員だと思われているようだ。青山と2人きりになるようなことは無さそうだし、活動の役に立てることは覚えておきたい。

「分かりました。」

『ありがとう。ではロビーでお待ちしています。』

 ロビーに行くと、青山と橙乃が待っていた。青山は相変わらず長袖の上着に白い手袋をしている。

「改めましてこんにちは、遥さん。瑞希君はほぼ毎回写真の撮影があるから上着を持参していますが、向こうから何も言われなければ遥さんはエンブレムだけでも良いと思います。では、行きましょう。」

 向かったのは小さなスタジオだった。この後別の人の撮影があるということで橙乃の写真撮影が急いで済まされ、それが終わると違う部屋で記者の取材に移った。私は見学ということで、席にはつかず後ろに立たせてもらった。

「では、『Our Justice』の近況についてお聞かせ願えますか?」

 自警団に興味を持ってから、駅で配っている雑誌などで自警団を扱っているものがあることを知った。読んでみるとアイドルやミュージシャンと同じような内容の記事が載っていて、これは「Our Justice」に限ったことではなく、自警団そのものが地元のアイドルグループのように思われていることもあるようだ。

「やはり夏になると、夏休みで気が緩んだ中高生のトラブルが増えていますね。『Our Justice』でも若い方に向けた活動が増えています」

青山が答えた。橙乃の取材では無いのだろうか。

「例えば、どのようなトラブルが多いんですか?」

「た……」

「無免許でのバイク、車の運転ですかね。特にバイクは危険性の割に気軽に思われがちですから、注意が必要です」

一瞬、橙乃が答えようとしたのを青山が遮ったように見えたが、気のせいだろうか。

「なるほど。他に、若い人が注意することはありますか?」

「な……」

「これから秋にかけては、海や山、川などにレジャーに行くこともあると思いますが、そういう場で未成年が飲酒をしてしまうことがあります。最近ではお酒を買う時の年齢確認など対応策も取られていますが、未成年は体も未熟で飲酒は大変危険ですから、絶対にやめて欲しいですね。」

「確かに。実は私、よく酒を飲んで記憶を無くしているんですが、成人していてもお酒はトラブルの元になることがありますよね。」

「そ……」

「僕もよく人に絡んでしまいますけど、成人されている方でも外でお酒を飲んで騒いだりすると近隣の方の迷惑になりますから、お酒は程々にした方が良いですね。」

「ハッハッハ、気をつけます。」

「……ほ」

「他に、そういったレジャーの後でごみをポイ捨てしたり、捨てるべき所まで持って行かないというトラブルがあります。ごみを放置すると当然その場所の管理者に迷惑がかかりますし、中にはカラスなどごみをあさる生物の被害を受けるケースもあります。また、花火やバーベキューなどの火を使うレジャーでは、片づけの際に火の始末を怠って火災に至るケースもありますから、気をつけないといけませんね。」

気のせいでは無いようだ。記者の質問に橙乃が答えようとする度、青山が遮って答えている。記者も時々苦笑いをするほどだ。

「……では、今回は以上です。ご足労いただき、ありがとうございました。またよろしくお願いします」

「こちらこそ、いつも僕たちの活動を広めていただき感謝しています。またいつでも呼んでくださいね。」

 マンションに戻り、橙乃はさっさと自分の部屋に帰ってしまった。ロビーは購買の女性の目もあるが、やはり青山と一緒にいるのは不安だ。

「おかしな感じがしたでしょ?」

青山はやはり、何事も無かったように話しかけてくる。

「……そうですね」

「ここだけの話、瑞希君はかなり考え方が片寄っていて、自由に答えさせるとイメージダウンに繋がる恐れがあるんです。今回みたいにインタビューも載せてくれる所は僕が行って話さなければいけないけど、写真撮影のみの場合にも監視役としてついて行かなければならなくて、かなり大変だったんだよね。」

「つまり、写真撮影のみの取材の時には私が橙乃さんの監視役に……ということですか」

「ええ。瑞希君も分かってるとは思うんですけど、僕も誰か信頼できる人について行ってもらえると安心ですから。では、私用があるのでこれで。」

 そういえば、橙乃にきちんと話を聞いたことは無かった。折角だし、機会を作って話を聞いてみたい気もする。思い立ったが吉日ということで、橙乃に電話をかけてみる。

『もしもし、遥ちゃん?さっきはありがとね。』

「どういたしまして。あの……お忙しかったら別に良いんですが、」

『うん、何?』

「ルドベキアの皆さんに正義について教えていただいているんですが、橙乃さんにはまだお話を伺って無かったなぁと思いまして」

『フフ、遥ちゃんって本当に真面目なんだね。僕は青山君や白瀬君と違ってあんまり話すのは得意じゃないけど、遥ちゃんに僕なりの正義を伝えられたら良いな。』

「よろしくお願いします。」

『場所は、なるべくマンションの中が良いな。外だと人の目もあるし……そうだ、屋上のテラスはどう?』

「テラスがあるんですか?」

『えっ、知らなかった?フフ、皆教えてあげなかったんだ。そう、屋上にテラスがあるんだよ。夏は屋根が作ってあって、メンバーズカードがあれば自由に使えるんだ。そこなら団員しかいないし、ゆっくり話せると思うよ。いつが良いかな……ちょっと待ってね、スケジュール確認するから。』

紙を捲る音がして、橙乃の溜め息が聞こえた。

『遥ちゃん、少し時間が空いちゃうんだけど、再来週の金曜日とかどうかな?』

「はい、大丈夫です。」

『じゃあその日にテラスで。楽しみにしてるね。』

 夜、夕飯を貰おうと購買の列にいると、白瀬が私の後ろに並んだ。

「こんばんは、白瀬さん。今日は凄く並んでますね。」

「ああ。相変わらず社会主義国家みたいだよな。」

言われた瞬間、ここに来た時からの違和感が一つ解決した。ニュースで見たと思ったのは、社会主義国家の配給に並ぶ人々だったんだ。

「神谷?」

「……あっ、列進んでますね、すみません」

「まあ、まだまだだからな。神谷は夕飯か?」

「はい。白瀬さんもですか?」

「いや、ボールペンが壊れてしまったんだ。……あまり大きな声では言えないが、最近購買の食事の味が落ちたような気がするな」

「確かに、昨日の味噌汁は味も香りもしなかったですね。こういうのって、何処かに言ったり出来ないんでしょうか?」

「考えてみれば、目安箱は設置していなかったな。今度青山と相談してみよう」

 数日後、購買の横に目安箱が設置されていた。メールでも受け付けているらしく、箱の横にアドレスが書かれている。購買には「購買のメニューが更に美味しくなりました!」というポスターが貼ってあって、確かに味が少し改善されていた。とはいえ、やはり自分で作れるものは作った方が良さそうだ。久しぶりに凝った料理を作ってみようかとインターネットでレシピを探していると、脇田から電話がかかってきた。

「もしもし」

『遥ちゃん、今ちょっと良い?』

脇田の声には、普段とは違うシリアスな響きが混ざっている。

「はい、大丈夫ですけど……」

『昨日から白瀬と連絡が取れないんだ。電話もメールも繋がらない。僕は今別の用事で手が離せないし、白瀬も遥ちゃんが行った方が喜ぶと思うからさ。悪いけど、白瀬の部屋に行ってみてくれないかな』

「分かりました。」

 白瀬に電話をかけながら部屋に向かうが、確かに繋がらない。ドアノブを回すと、鍵がかかっていないようだ。

「白瀬さん、入りますよ」

 部屋に入ると、白瀬が机に突っ伏していた。目の前には白やオレンジの錠剤が入ったピルケースがあって、錠剤は幾つか机に飛び散り、中には欠けているものもある。

「白瀬さん?」

声をかけると、白瀬は机から起きて、少し目を擦ってから眼鏡をかけた。寝起きというより、意識がぼんやりしているような感じだ。

「…………鍵が開いていたか」

「勝手に入ってすみません。和泉さんが連絡取れないから心配だっておっしゃって」

「……携帯を切っていたようだ」

「大丈夫ですか?」

「ああ。……少し頭痛がしたので薬を飲んだが、そのまま眠っていたらしい。この手の薬は眠くなるよな」

白瀬は隠すように錠剤を拾い集めて片づけた。手が震えている気がするけど、思い過ごしだろうか。

「世話をかけたな。和泉にもよろしく伝えておいてくれ。……しかし、和泉がこのようなことを人に頼むのは珍しい」

「よく分かりませんが、私が行く方が白瀬さんが喜ぶからっておっしゃってました。」

「…………なるほど、あいつらしい」

「えっ?」

「和泉は、俺と神谷に恋愛感情があると考えているらしい。どうりで最近、和泉に神谷関連の用事を頼まれる」

「えっ、……えっ?」

「そんな気が無いことは分かっている。和泉はよくこのような早とちりをするんだ。気にしない方が良い」

そんな気が無いことは分かっている。その言葉は少し自嘲気味の、悲しい響きを帯びていた。

「顔に跡でもついているか?」

「いえ、すみません。ちょっと意外だったので」

白瀬が脇田を非難するような発言をするなんて、驚きだ。

「……以前、具体的解決と抽象的解決の話をしたことがあるだろう。俺たちは、体調が悪ければ医者で薬を貰える。生きる権利は政治家や弁護士が補償してくれる。具体的解決は、それが可能な状況かどうかは別にして、手段そのものを見つけるのは簡単だ」

メモ帳を持ってきていないが、白瀬は慌てる私に気づいていないようだ。明日からは録音機を持ち歩くようにした方が良いかも知れない。

「だが、抽象的解決はそうはいかない。現代では手段を見つけるのも大変だし、そもそも必要だと思わない、あるいは避けて通ろうという人間もいる。価値観に反するという批判も現代ではされやすいように感じる」

「そう……でしょうか」

「人間のアイデンティティー形成において、『ノートを貸してくれ』でも『私たちの子どもなんだから』でも『人間って素晴らしい』でもなく、純粋に『貴方が必要だ』と言われる体験は非常に重要だと思う。具体的な理由じゃなく、言い換えれば何の理由も無く必要とされる、そんな体験に俺は憧れている。そしてその為には、恋愛あるいはそれに似た体験が一番だと考えているんだ」

私の「意外」という言葉を、白瀬は「恋愛に興味が無いと思っていました」という意味に取ったようだ。

「そんな……私、白瀬さんって凄いと思います。難しい哲学とか分かりやすく教えてくださって……私、白瀬さんをとても尊敬しています。」

「神谷、それは『ノートを貸してくれ』なんだ」

「えっ?」

「……何でもない。おかしな話をしてすまなかったな。寝起きで頭がぼーっとしているようだ」

「えっと……じゃあ、私はこれで失礼しますね。お大事になさってください」

「ああ。感謝する」

 自分の部屋に戻り、脇田に電話をかけてみる。

『遥ちゃん、白瀬はどうだった?』

「頭痛薬を飲んで眠っていたそうです。携帯は切っていたみたいで」

『ああ……またか』

珍しく、脇田は苛ついているようだった。

『とにかく、白瀬が無事で良かった。ありがとう、遥ちゃん』

「どういたしまして。……あの、」

『じゃあ僕まだ用事があるからこれで。本当、ありがとうね』

一方的に電話を切られた。さっき聞いた内容をメモ帳に書き起こしてみるが、白瀬の物憂げな表情が頭を離れない。

 翌日の夕方、紅野を見かけたので声をかけてみる。

「よう、神谷。どうした?」

昨日の出来事をかいつまんで説明する。

「ああ、それな……悪いけど、それは俺から言って良いことじゃねぇんだ。白っさんが言わなかったんなら、そっとしておいてやってくれ。」

「そうですか……」

「まあ、白っさんも自分のことは自分で何とかすると思うし、もし助けを求められたらその時に全力で助けてやりゃあ良いと思うからさ。あんまり腫れ物に触るような態度でいないで、自然に接してやってくれよ」

「分かりました。」

 夕方、脇田が部屋を訪ねてきた。

「遥ちゃん、昨日はごめんねー。これ差し入れ。良かったら食べてー」

差し出された紙袋の中には、近くのケーキ屋の箱が入っている。

「じゃあ、僕浅葉とパトロールだからこれでー」

「和泉さん、白瀬さんって」

「あー……遥ちゃんさぁ、人間ってどうして価値があるんだろうね。」

「はい?」

「目の前の人間の価値は何で決まってるのかってこと。遥ちゃんが誰かを大切に思う時、あるいは誰かに存在する価値を認める時、その根拠は何だろう。」

「……生きているから、とか。人間はいつか死んでしまいますし、今目の前にその人がいることも、奇跡と言えば奇跡ですよね。」

「じゃあ、例えば僕がこれから永遠に生きることになったら、僕の価値は無くなると思う?いつか死ぬから素晴らしいなら、死ななくなったら無いのと同じ?」

「いいえ、えっと……じゃあ、自分の意思で考えたり、行動したり出来るから……でしょうか」

「それは動物も同じだよ。確かに人間一人一人の価値は動物と変わらないって言えなくもないけど、目の前の誰かの価値を決めるのはそういうことなのかな?」

「……すみません、よく分からないです」

「そうなんだよ。」

「えっ?」

「僕たちはよく分からないことを当たり前のように信じている。だから突き崩された時に狼狽える(うろたえる)、恐怖する、突き放す。耐える方法はただ一つ、それが突き崩され得ると知っておくことだよ。『分かりません』はその第一歩なんだ」

「……あの、これは一体何を」「じゃあ、浅葉を待たせてるからこれでー。ケーキ食べてねー」

「あの、ちょっ……」

乱暴にドアを閉められる。一応今の内容もメモに記したけど、まだ何なのか理解出来ていない気がしてならない。複雑な事情がありそうだから白瀬に直接訊く訳にはいかないし、紅野は脇田とパトロールだ。橙乃に人間関係の相談をするのも気が引けるし……仕方無く、青山に電話する。

『もしもし、遥さん?』

「突然すみません。実は……」

メモを見ながら、今までの経緯を説明する。

『ああ、なるほど。』

「他の方に訊く訳にもいかなくて、何ていうか……」

『全然平気だよ。むしろ、頼ってくれて嬉しいくらい。』

鳥肌が立ったことは秘密にしておこう。

『和泉は多分、白瀬が抱える問題を知っても遥さんが白瀬を軽蔑けいべつしたりしないことを確かめたかったんだよ。』

「軽蔑……?」

『具体的には言えないけど、白瀬はちょっと精神的に不安定な所があってね。和泉は白瀬を凄く心配していて、だから遥さんに試すようなことを言ったんだと思うよ。白瀬がどんな人間か、その暗く醜い所を垣間見て、それでも遥さんが白瀬を分かってあげようとしてくれるか、和泉は不安だったんだね。』

「……それって、」

『白瀬が話さないなら、無理には訊かないであげて欲しい。けど、遥さんならきっと白瀬を支えてあげられるよ。だから、その時は白瀬を助けてあげて。お願いします』

電話が切れた。焦って解決しようとしない方が良さそうだということは分かったけど、心のもやもやは晴れない。意を決して、キャラクターカウンセラーのスイッチを入れてみる。

『久しぶりだね、遥チャン』

「ねぇ流星、悩みがあるって分かってるのに話してくれない人に接する時、流星ならどうする?」

『その場合、僕は話してくれるまで待ち続けるのです』

「それって辛くない?」

『普通、人間は「私のことを信じているなら話してください」って言ってしまうのです。けど、信じるイコール暴露するではない筈なのです。信じているからこそ話せないこともあるのです』

「相手を大切に思ってるから言えないってこと?」

『友達であれ、家族であれ、恋人であれ、誰にでも秘密を持つ権利はあるのです。時に信頼という言葉はその権利を奪う為に使われるのです。心配かけるから話したくない、大切だからこそ話したくないという願いを、「信頼」という凶器は簡単に壊してしまうのです』

「本当にお互いを信じているなら、それを分かって無理に訊かずにいられるってこと?」

『そうなのです。でもね、遥チャン。相手は多分、遥チャンに辛い思いをさせているって分かっているのです。もしお互いを信頼しているなら、遥チャンから「辛い」って言えば、相手は辛い気持ちを分かってくれるのです。』

「けど、それって相手に凄く負担をかけることになるよね。」

『だったら、遥チャンが耐えられる所までは耐えてみるのです。僕はそういう気持ちも優しさの一つだと思うのです』

「じゃあ、優しさって凄く強い人じゃないと……」

『あのね、遥チャン。別に、傷つくことがイコール優しさではないのです。遥チャンが辛い思いをすることを、きっと相手は望んでいないのです。そして遥チャンも、相手が辛い思いをすることを望んでいないのです。お互いにそういう気持ちを持って接すれば、傷ついてしまうことはあっても、無闇に互いを傷つけ続けることはないのです。そうやってお互いを想い続けていれば、いつかその問題は解決するのです』

「例えば、相手が永遠にそれを話してくれなかったら?」

『だとしたら、それは相手が遥チャンを大切に思った結果なのです。遥チャン、僕は今とっても偉そうにアドバイスしているけど、正直今言ったことをすればうまくいくとは言えないのです。人間関係には「こうすればうまくいく」なんていう便利な法則は見つからないのです。だからこそ、遥チャンみたいに悩むことはとっても大切だと思うのです。悩んだだけ、遥チャンは悩んでいる人の気持ちを分かってあげられるのです』

「うん……。流星、アドバイスが分かりやすくなってない?」

『気持ち悪いかも知れないけど、僕は遥チャンの一番の理解者になれるように毎日この部屋を見つめているのです。僕は誰でもなく、部屋にそっと置かれて遥チャンの心に寄り添う喋るサボテンになりたいと思っているのです』

「ありがとう、流星。今まで、流星のこと誤解してたかも。」

『どういたしまして。またいつでも話してよ』

 青山に申し訳無いことをしたなぁと反省しつつ、夕食を済ませる。食後ケーキの箱を開けてみると、嬉しいことに苺のショートケーキと、「季節外れでごめん」という小さなメッセージカードが入っていた。

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