第三話 『崩』壊する日常
挑戦したことのないジャンルに悪戦苦闘中………
こんな文章でだいじょぶか?
…解らない。不確定要素が多すぎる
「獅子緒龍君。愛宮哀さん。キミ達、生徒会に入ってみない? てゆうか入って。いやもうこれは命令ですね。入れ、じゃ乱暴だから……入りなさい」
誰だってこんな事を、何の前触れも無く、いきなり言われたら戸惑うだろう。てゆうか『普通』こんなのありえんし。
まあ、今現在進行形で言われてしまったのは俺とカナなのだけど。
「えっとまず最初n「分かりました。入ります……龍と一緒に」聞かせてほしいd「おお、ありがとう哀さん、龍君。さあ、この書類に必要事項とサインを頼みます」すけど、何で俺達がs「……書きました」「さあ、龍君も早く」徒会に……ってちょっと待てやゴラァァァーーー!!!」
何て事だ!? まだセリフを言い切って無いのに、生徒会に入る事が前提で話が進んでいるぞ!? クッ! この状況を打開するには……これしかないっ!
「あ、そう言えば林檎に遊びに行こうって誘われてたんだった。すっかり忘れてた~。と、ゆうことですいません俺はこれで失礼します!」
輝く笑顔で一礼してから自然な動きで生徒会室の扉を開こうとする俺。
「にがさにがさ逃がさな~い☆」
「グエッ!」
扉の付近で待機していた役員さんに首根っこ掴まれて開くどころかドアノブに触れる事も出来なかった。
「龍く~ん。いくら何でも話の途中で帰ろうとするのは駄目だと思いますよ~」
「えっとまず最初に。君は誰?」
背丈からして俺と同学年だと思うが……
「私は生徒会副会長の、黛爛。龍君と同じで今年から二年生だよ。同じ生徒会役員としてこれからよろしく~♪」
そう言ってペコリとお辞儀してきた黛に対して危うくお辞儀を返しそうになる俺……って危ない危ない!
「黛。俺はまだ入るなんて言ってないぞ」
「またまた龍君そんな事言っちゃって~。あと、私の事『黛』じゃなくて『爛ちゃん』でいいよ?」
「じゃあ爛で」
「ちゃん付けでいいのに~」とだだこねてる爛を尻目に生徒会の顧問……俺の去年からの担任でもある鈴木勾先生に向き直り、問い掛ける。
「鈴木先生。いくつか質問があります。それに答えてくれれば生徒会入りの話……考えなくもないです」
「いいですよ。何でも聞いて下さい? ワタシが答えられる範囲内で、ですけど」
茶目っ気を出そうとしたのか舌を出してそう言う鈴木先生。ちょっとカワイイと思ってしまったのはきっと年が近いせいだ。鈴木先生20歳だし。
周りが見守る中、俺は口を開く。
「まず1つ。なんで俺とカナなんですか?」
とは言っても、大体の予想はついてるだけどな……一応確認。
「その答は至ってシンプルですよ。哀さんにはその明晰な頭脳を、龍君にはその戦闘能力を、それぞれ我が防人学園高等部生徒会に貸して頂きたいからです」
やっぱりか。面白いくらいに予想的中したな。
この自由島(俺の呼び方)には新しい世界を構築するという表向きの目的に加え、『裏』の目的もある。
この島は現在の世の中で世界一の文明レベルを誇り、常に時代の最先端ともいえる場所にいる。そして問題なのが……様々な目的でこの島を支配下に置こうとする侵略者達である。
俺は信じちゃいなかったが、どうやらこの島は様々な脅威とやらに日々脅かされているのは本当の事らしい。今朝の『能力者喰らい』についてだって、一般市民がその裏の真実を知る事は無い。俺が初めて裏の世界を知ったのは去年の6月の事だ。まあ、その話についてはまた後程機会があったら語るとしよう。
それよりも今考えるべきはこの状況をどうにかして脱出を図る事だ。
カナは天才だ。IQ170超えの。よくは知らんがなんか世界中のいろんな分野の権威ともいえる科学者達を圧倒するくらいらしい。次元が違すぎてよく分からんが。この自由島で日夜起きる様々な問題や開発問題などにも利用したいのだろう。
そして問題は俺だ。多分俺の臨期尢篇戦法……略して臨法の力を必要としているはずだ。防人学園はその性質上、初等部からなんと大学にまで生徒会という組織が存在している。これはこの島の秩序を守るのに、学生にも貢献してもらおうというふざけた考えで生み出された制度だ。普通は児童会とか生徒自治会だろうに。そしてこの自由島の日本エリアには他に2つ学園が存在しており、初等部の生徒会から大学の生徒会まで3校全部の12の生徒会総勢約三千人(もうこの時点で生徒会じゃねえ)が日々様々な問題に西へ東へ奮闘している、とゆう訳だ。
その業務の中でも戦闘……つまりは肉弾戦の要員が人手不足らしく、俺に目をつけた。
……いわば『力』と『智』を同時にゲットだぜ! ってトコか? 長くなったが大体こんなもんか。
「じゃあ2つ目です。カナはともかく……俺の情報についてはどうやって知ったんですか?」
1つ目の質問と違い、こっちはもうほぼ分かり切っている事項だが……それでも、一応確認。
「龍君……それ、本気で言ってるんですか?」
先生が信じられない物を見るような目で俺を見ている。はあ。やっぱりか。
これはやっぱり去年の事を言ってるんだろうなあ……去年の一年間で力を見せびらかしすぎたか……
「じゃあ最後に。もし断った場合は……どうなりますか?」
これが一番予測出来ない。今更だが『此処』は……『防人学園』は普通じゃないのだ。不本意ながら去年の6月頃からこうゆう事件に度々巻き込まれ、裏の情報を握っている俺を安々と野放しにするとは思えない。さて、どう来る……?
「う~んと、そうですねぇ~」
おっとりとした仕草で考え込む先生。そして俺にこう言った。
「今後、龍クンの生活にかなりの制限がついちゃうかもしれませんねぇ……取り敢えず一生監視者に24時間監視されちゃうと思いますよぉ? 細大漏らさずに」
そんなのは犯罪だ! とは言えない状況まで来てしまっている俺。実際に、俺が握っている裏の情報だけでもこの島の存在意義を揺るがす事が可能だ。それだけの領域に俺は足を片っぽ突っ込んでいる。
……どうやら選択肢は最初から1つのようだ。仕方ない。諦めよう。
「……ハァ。分かりましたよ。入ればいいんでしょ入れば」
「よく言ってくれました! じゃあこの書類にサインをお願いね~」
差し出された書類に必要事項を記入していく。一文字一文字字を書く毎に俺の日常が『非』日常に音を立てて作り替えられてる気がするぞ……
「はい、確かに受理しました。それじゃあ2人共、また明日の放課後に此処に集まって来てね。役員の紹介とか入会試験とかやるから」
うわぁ……試験とかもあるのかよ。此処ってホントに生徒会?
そんなこんなで、その日は解散となったのだった。
「はあ。もう散々だ……」
「…龍。生徒会に入るの、そんなにイヤ?」
「そりゃあそうさ。あんな得体の知れないところ、出来れば今後一切関わり合いになりたく無かったし」
今日は厄日だ……
(…私は、龍と一緒にいられる時間が増えて嬉しいけど…)
「ん? カナ、なんか言ったか?」
「…な、何でもない……」
珍しくカナが焦っている。なんだ? なにがあったんだ?
「にしても、結構早く終わったなあ……まだ昼過ぎた頃だぞ」
「…龍。これからなにか用事ある?」
「ん? 今日は特に何も無いが…それがどうかしたのか?」
「…メイワクじゃなければ買い物に付き合って欲しい」
「何だそんな事か。別にいいぞ。荷物持ちでも何でもやってやる。」
どうせヒマだし。
「…あ、ありがとう……」
キョトンとした顔を段々赤くしてお礼を言ってくるカナ。なんだ? その断られるだろうと思ってた誘いが意外にすんなり聞き入れて貰えた、みたいな顔?
「ホラ! 行こうぜカナ!」
「…! ちょ、ちょっと待って……!」
赤い顔で俯くカナの手を引き駆け出す俺。せめて、面倒が始まる明日までくらいは楽しんでおこう。生徒会に入ったらあまりそうゆう時間取れんかもだし。
何故かもっと赤くなり戸惑っているカナを引っ張りながらそんな事を考える俺であった。
SIED OUT
獅子緒龍と愛宮哀の両名が下校してから30分後。生徒会の顧問を務める鈴木勾教諭は淡々とした足取りで目的地に向かっていた。これは一般に『理事長室』と呼ばれる部屋での一部始終である。
コンコン……
「入りたまえ」
中から入室の許可を得た勾はドアノブを捻り、ゆっくりと押し開く。
室内に入り、まず目に入ってきたのは40代前後と思われる初老の男性だった。
勾は口を開き、言葉を紡ぐ。
「報告書の提出に参りました」
「御苦労様。それで鈴木クン、とうだったかね?」
「どう……とは?」
「キミから見た獅子緒クンの事だよ。客観的に見て……どのような子だった?」
「お答えする前に……愛宮哀についてはお聞きになられないのですか?」
「愛宮哀クン、かい? あの子については今更別段聞くような事は何もないよ。何せ、あの子は有名人だったからねぇ……『コッチ』の世界に居ればイヤでも耳に入ってくる。其れよりも獅子緒クン……確か、龍クンと言ったね。今の私にはあの子の方がとても興味深い」
まるで孫を慈しむような口調で喋る理事長と呼ばれた男。
「獅子緒龍は私が見たところ……と、いうより誰から見ても平凡なこれといった特徴のない『普通』の少年かと。しかし、去年からの彼の活躍は目覚ましい物があります」
「それについては私も知っているよ。彼はまるで無意識にトラブルを呼び寄せているようだ。実に面白い。ああいった若者を観察する事が、今の私の数少ない愉しみだよ」
そう言って振り向いた彼の顔には狐を模したお面が被せており、表情を伺うことが出来ないようになっている。
やはりこの人は苦手だ、と勾は思った。
「……報告書です。他に御用が無ければ、私はこれで失礼させていただきます」
「ああ。御苦労様。今日はゆっくりと休むといい。そして明日も頑張ってくれたまえ……鈴木勾教諭」
「……失礼致します」
再びドアノブを捻り、外に出て一礼。そしてドアを閉め切る。
ガチャン、と金属音が鳴り響き、再び部屋を静寂が包む。
「さて。次にキミが見せてくれるのはどんな活躍かな…………獅子緒龍クン」
男のつぶやきを聞いている者は誰も居らず、部屋はまた静寂な世界に戻るのだった。
書いてる途中に思ったんですが、設定量が頭の中にあるやつだけでも軽く百超えしてました。
こんな設定でだいじょぶか?
…解らない。自分でもよく解らん事が多すぎる(笑)