00_115 PM18:50 インターミッション04
一応は話の進展に必須ではないオマケ文章。
短いです。
「きゃっ!?」
オートバイに『蹴り』飛ばされた誘拐犯――アイマンが、コゼットの隣の席に叩きつけられた。
後輪を跳ね上げたオートバイは、車との速度差を生ませ、後方に流れて着地する。
(すごい……!)
その姿にコゼットは、素直に感嘆する。
今は木次樹里がハンドルを握っているが、二輪免許を持っていない彼女が、あんな真似ができないはコゼットも知っている。
全ては走行中のオートバイに立つ人物の指示だろう。
(トージ・ツツミ……)
特撮映画のような非常識な方法でオートバイを自在に操り、生身で《魔法使い》で平然と立ち向かう、今日会ったばかりの青年。
普通の経歴の持ち主ではないと、コゼットも推測していたが、予想以上のものだと暗に知らされた。
樹里と同様に、彼女も同じ感想を持つ。
(まさか彼、本当に《Chevalier》……?)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
丁度その時、他にも彼らを観戦する者がいた。
誰もが知る由もないが、誘拐犯の首謀者――アイマンと会っていた、黒いライダースーツに身を包み、フルフェイスで顔を隠した青年。
「ははっ! アイツ、面白ぇ!」
夕方の国道2号線を走りながら、十路たちは人目も気にせず戦闘しているのだから、少なくない者がその様子を見、小さくない混乱を引き起こしている。
戦闘に巻き込まれないよう、同車線上の車は距離を開けているその中で、彼自身とは対照的な、メタリックシルバーのボディを持つデュアルパーパス・オートバイで追跡している。
そのオートバイの後部両サイドには、金属製のケースが乗せられている。
「まさかアイマンの様子を見ていたら……こんな見物ができるとはな」
ヘルメットの下で、その表情はわからない。しかし声の調子から察するに、浮かんでいるのは子供のような笑顔。
「あれが堤十路か……話には聞いてたが、こんなヤツなのか」
彼は樹里やコゼットと違い、堤十路を知っていた。
実際には会った事はない。資料と聞こえてくる評判で承知しているだけ。
「『出来損ない』がどんなものか、見せてくれよ!」
黒い男は吼えると、オートバイのアクセルを全開にし、移動している戦場に猛接近した。
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