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SSSS(プロトタイプ)  作者: 風待月
00 体験入部
1/34

00_000 6月2日のはじまり

この小説ページを開いてくださってありがとうございます。

個人的な実験として書いてますので、この話は一般的に推奨される書き方と違い、ある程度読んで頂かないと、理解できない内容になっています。


「歯ぁ食いしばって腹に力入れろよ!」

「え!? ちょっと堤さん――!?」


 堤十路(つつみとおじ)の人生における願いは、普通に生きること。

 心身健全・学業大成・金運招福・大願成就。いずれも高望みなんてしていない。

 風邪で寝込んでも入院しなければOK。100点は無理でも赤点取らなければ問題なし。裕福でなくても借金なく生活できればいい。

 ついでに明かすと、恋愛成就なんて願望も全く持っていない。

 何事もほどほどで十分。出る杭は打たれる。過ぎたるは及ばざるがごとし。

 当然、揉め事なんてまっぴら。

 基本は待ち、受身の姿勢。トラブル解決不可能なら逃げることも躊躇しない。男らしくないという文句は聞き流す。

 だから家族からは『なぁなぁ主義』と言われてる。

 そんな彼が――否、普通なら誰でもそうだろうが。


「轢いたーーー!?」


 街中でオートバイに乗ったまま、人間に突っ込むことになるとは想像もしていなかった。


 推定体重70kgの物体に、車体+2人の人間=350kg超の重量が、それなりの速度でまともに激突。はねられた男は、カエルが潰れたような声を上げて吹っ飛んだ。

 しかしブレーキをかけながらの衝突なので、死ぬほどではないだろう。


「よし」

「平然と人身事故を起こす堤さんが怖いです……」

「前の学校で何回もやったから慣れた」

「どんな学校ですか!?」

「そんなことより――」


 残るもう1人が、人身事故を正当防衛と証明してるので、なにも問題ない。

 仲間がオートバイにはねられるという突然の事態に、呆気に取られた男の手には、黒光りする金属の塊。

 我に返った瞬間、それを向けられるのは、想像にかたくない。


「あっち、木次(きすき)の担当でいいのか?」

「え!? あ、はい!」


 リアシートに乗った学生服の少女が、構えた長大な杖を男に向けた途端、空間に淡く光る幾何学模様が描かれる。

 それはあたかも『魔法陣』


「実行!」


 その一言で小規模ながら、超常の落雷が発生し、残る男に直撃。

 手にしていた金属塊を取り落とし、薄い煙を上げて崩れ落ち、見ていると不安になる痙攣をする。


「……そのエゲつなさで、俺が人をはねたの、文句言われたくない」

「ちゃんと手加減しましたよ!?」

「銃が暴発したらどうする気だったんだ?」

「えーと……結果オーライということで……」

「それで、どうすればいい?」

「追ってください!」

「了解」


 はね飛ばしてうめいてる男と、感電してうめいている男は、誰かがなんとかしてくれるだろうと判断し、十路はオートバイを発進。


「やっぱりかよ……!」


 堤十路の人生における願いは、普通に生きること。

 揉め事なんてまっぴら。

 家族からは『なぁなぁ主義』と言われてる。

 だから。

 《魔法使い》の少女を後ろに乗せて、誘拐犯をオートバイで追いかけるなんて、目標から真逆の時間は望んでいなかった。


1/11 修正

1/20 文章追加

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