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サーザンエンド辺境伯戦記  作者: 雑草生産者
第一四章 戦争と和平
212/249

二〇五

 帝歴一四四年を迎えると間もなく、レオポルドは第一及び第二サーザンエンド歩兵連隊と第一ムールド人軽騎兵連隊を率いてハヴィナを発った。

 総司令官であるレオポルドを補佐するのは辺境伯軍に長らく勤務してきたゆで卵のような禿げ頭のフィリップ・ラ・コーヌ准将とレオポルドの側近であるオーラフ・ルゲイラ兵站総監兼宮廷軍事顧問官、レウォント方伯の宮廷からリーゼロッテに随行してハヴィナ城に入った侍従武官のフェルディナント・ネルゼリンク卿、近衛騎兵連隊の指揮官を経て、帝都にも同行したサライ・ナザム・タキム中佐といった面々である。サライ中佐は年明けと共に侍従武官に任じられている。

 キスカも同行を志願したものの、産後間もないということもあり、ハヴィナに残ることとなった。

 軍は北へと進軍し、サーザンエンド北部の都市コレステルケでサーザンエンド・ドレイク連隊及び第四サーザンエンド歩兵連隊と合流した後、更に北へと進んでアーウェンとの国境を越えた。もっとも、サーザンエンドとアーウェンの国境付近は荒涼とした平原であり、境の目印となるものはほとんどない為、どこまでがサーザンエンドでどこからがアーウェンであるかは明瞭ではない。

 国境を越えて暫く北上した後、軍は進路を東へと変え、出発から半月程歩いてようやく辿り着いたのはアーウェン東部国境の町コルドノである。

 コルドノはアーウェンとレウォントを結ぶ街道の途上にある交通の要衝で、平素であれば多くの隊商や行商人、旅人が頻繁に出入りするらしいが、レオポルドが到着した時にはそれらの人々の姿はなく、代わりに町の郊外には数百もの天幕が並び、色とりどりの旗が翻り、そこら中に無数の馬が屯していた。

 天幕の辺りには多くの髭面の男たちが武器の手入れや縫い物、馬の世話に勤しんだり、幾人か寄り集まって話し込んだり、昼間から酒を飲み交わしたり、札や賽子を使った賭け事に興じたりしていた。

 彼らはサーザンエンド軍に合流する予定の三〇〇〇騎のアーウェン槍騎兵である。

 皇帝の勅命に応じてレイクフューラー辺境伯討伐に従軍する方が得策であるというレオポルドの説得に同意したアーウェンの有力諸侯ヴィエルスカ侯は同胞を説得して、三〇〇〇騎の槍騎兵を動員させることに成功した。

 その代わり、サーザンエンド軍はアーウェン槍騎兵の支援と援護を担い、弾薬や糧秣を供給することとなった。

 慢性的な財政難に苛まれるレオポルドにとっては痛い出費ではあるものの、皇帝や帝国政府に反抗的なアーウェン士族を動かすことができるという自身の影響力を内外に誇示することができ、これは彼にとって大きな利益となるだろう。

 サーザンエンド軍がアーウェン軍の野営地へと近づくと、一騎のアーウェン士族が駆けてきた。

「親愛なるサーザンエンド辺境伯閣下っ。ようこそアーウェンへといらっしゃられたっ。士族たちを代表して歓迎申し上げますっ」

 口髭と顎鬚を長く伸ばして三つ編みにした士族が胸甲に手を当て、やや覚束ない帝国語で歓迎の言葉を述べた後、歓待の宴を催すので是非とも出席願いたいというヴィエルスカ侯の言葉を伝えてきた。

 そこでレオポルドは適当な場所に軍勢を野営させるよう指示した上で、ラ・コーヌ准将やルゲイラ兵站総監をはじめとする主だった士官たちを引き連れて宴が催されるヴィエルスカ侯の大天幕へと向かった。

「いやはや、ほんの少し前まではアーウェンの宴に招かれるようなことがあるとは想像もしておりませんでしたな」

「まぁ、この間までアーウェン槍騎兵には尻を追い立てられてばかりだったからな」

 ラ・コーヌ准将の言葉にレオポルドは苦々しげに答える。

 帝国南部における皇帝の尖兵たるサーザンエンド辺境伯と表向き服従したとはいえ、独自の国体と文化を維持するアーウェンの関係はこれまで良好なものではなかった。

 サーザンエンド継承戦争でもサーザンエンド軍は幾度もアーウェン槍騎兵に粉砕され、追い散らされ、レオポルドが危うく捕虜になりかけたこともあった。

 そのような過去を踏まえれば、今日のサーザンエンドとアーウェンの関係は大きく様変わりしたと感慨深くもなろう。

「彼らを信用してしまっても宜しいのでしょうか。宴の最中に襲われるようなことがあれば……」

 サライ中佐が周囲に聞こえないような小声で懸念を口にする。彼は元より慎重な性質であるが、護衛していたレオポルドが刺されて以後、些か神経質になっているのだ。

 しかし、レオポルドはあまり警戒感を抱いていない。

「ここで我々を殺したところでアーウェン人に何の得があるというのだ。皇帝陛下にアーウェン討伐の大義名分を与えるようなものだぞ」

 精強とはいえ帝国とアーウェンでは国力に大きな差がある。いくらかでも利口ならば策もなしに帝国に面と向かって歯向かうのは得策ではないと理解できるだろう。

 それでもサライ中佐の警戒感は解けないようだ。

「レイクフューラー辺境伯と通じている可能性も否定できません」

 東部で反乱の狼煙を上げたレイクフューラー辺境伯にアーウェンが呼応すれば、帝国には致命的な打撃となりかねない。帝国軍主力が東部へ進軍している最中にアーウェン軍が帝国本土に攻め上れば皇帝の命運も危うかろう。

 その前段として、まず、ここでレオポルド一行を一網打尽にしてサーザンエンド軍の動きを封じるという筋書きも全く荒唐無稽な妄想とは言い難い。

「中々野心的な想像だが、レイクフューラー辺境伯に誘惑されたとしてもアーウェン人は容易く彼女を信用しないだろう」

 他者と同盟を結ぶには利害の共通も勿論だが、信頼関係が何よりも重要である。色々な取り決めをしても、それを履行するかどうかも分からない相手とは手を結べまい。ある程度の信頼関係の上に同盟は成るのだ。

 レオポルドの知る限り、レイクフューラー辺境伯とアーウェンの間にはほとんど交流がなく、南の隣人の目を盗んで大掛かりな陰謀を共謀できるような関係にはない。

 また、アーウェンにおいては外国との同盟や条約の締結は国会の承認を得ねばならず、数百人もの士族が参加する国会での議論は公にされるものではないが、機密を保つのはほとんど不可能であることは言うまでもない。

 故にアーウェンが国ぐるみで近隣諸侯に悟られず陰謀に加担するというのは現実的ではなかろう。

「まぁ、レイクフューラー辺境伯と通じているのではないかという疑念を抱くのは尤もだろう。アーウェン人も同じように考えていよう」

 レオポルドの言葉にサライ中佐はネルゼリンク卿と顔を見合わす。

 レオポルドとレイクフューラー辺境伯が昵懇であったことは公然たる事実であり、アーウェン人も十分に理解しているだろう。両辺境伯が密かに通じているのではないかという疑念を抱いていたとしても無理からぬことである。

 それはレオポルドの臣下たちも同様で、何か自分たちには知らされていない密約が存在するのではないかと勘繰る者は少なくなかった。

「重要なことはアーウェン人たちとしっかりとした信頼関係を構築することだ。彼らは敵対する必要などない隣人なのだからな」

 側近たちの困惑を他所に、レオポルドはそう言って大天幕に入った。

 ヴィエルスカ侯の大天幕は野営地のほぼ中央にあり、一般的な家屋ならば二、三軒ほど収められそうな巨大さであった。見上げる程に高い天井は開閉が可能なようで、今は開かれてカラリと晴れた青空を見ることができる。

 白羊の毛皮が敷き詰められた床の上に設けられた十列の名がテーブルには去勢鶏の丸焼き、豚のカツレツや骨付きのアバラ肉や豚足のグリル、豚の腸詰や燻製肉が数種、酢漬けキャベツと羊肉の煮物、牛の胃袋のシチュー、腸詰とゆで卵が入った発酵したライ麦のスープ、数種のキノコのスープ、ビーツを煮出した真紅色のスープ、小魚の酢漬け、数多くのチーズといったアーウェン料理が並び、葡萄酒や麦酒、蜂蜜酒といった各種の酒も用意されていた。

 席は既に半ば埋まっており、百数十人ほどのアーウェン士族が客人を待ち構えていた。

 士族たちはいずれも髭を長く伸ばしており、虎柄や豹柄或いは真紅や純白の毛皮のコートを纏って長い革ブーツを履き、長いサーベルを腰に提げている。

 レオポルドとラ・コーヌ准将、ルゲイラ兵站総監といった高官たちは入り口から最も奥まったテーブルの席へ案内され、他の士官は各々手近な席に着いた。

 レオポルドの隣には貫禄のある大柄な老人が座っていた。栗毛の髪はだいぶ後退しているが、髭は長く伸び、だらりと垂れ下がっている。

「閣下。こちらがヴィエルスカ侯ユゼル・スタニスワフ・クレーヴィチ閣下です」

 レオポルドの斜め向かいの席のネルゼリンク卿が言った。卿は幾度か使者としてアーウェンに赴いており、侯とも顔見知りなのである。

「お会いできて光栄です。閣下。アーウェンへようこそ。さあさあ、まずは一杯」

 侯はいくらかたどたどしい帝国語で言った後、レオポルドの目の前にある黄金の杯に真っ赤な葡萄酒をなみなみと注ぎ入れた。

「さあ、どうぞ。私の農園で作らせた上等な葡萄酒です。是非召し上がって」

 レオポルドは勧められるがままに杯に口付ける。

 自ら上等と言うだけあって、咽返るほど芳醇で深い濃厚な味わいを持つ葡萄酒で、庶民は勿論のこと並の貴族でも口にできないであろう代物であった。

「これほど上等な葡萄酒は帝都でも飲んだことがありません」

「それは良かった。こちらの料理もどうぞ。アーウェンの料理を気に入って頂ければ宜しいのですが」

 侯は機嫌良さそうに笑いながら料理を手ずから料理を取り分けてレオポルドに勧めた。

「ご親切にありがとうございます」

「客人をもてなすのは当然のことです。さあ、皆さんも遠慮せずどうぞ」

 レオポルドが礼を述べると侯はそう言って胸を張り、他の客人たちにも飲食を勧めた。

 大天幕の端に控えていた楽隊が演奏を始めると、アーウェン士族たちは近くの席のサーザンエンド軍の士官たちの杯に酒を注ぎ、料理を勧めた。

 アーウェン士族たちは帝国式の礼儀作法には疎いようで、彼是喋りながら好きな酒や料理を好きなだけ自分で取って飲み食いするという帝国貴族の目から見ると粗野とも思える飲食の仕方ではあったものの、明るく賑やかな宴であった。

 帝国式のお行儀の良い所作での飲食に慣れたサーザンエンド貴族たちは、たどたどしい帝国語で彼是話しかけたり、しきりと料理や酒を勧めてくるアーウェン士族たちに囲まれ、いくらか困惑しながらも歓談を楽しんでいる様子であった。

 堅苦しい礼儀作法をあまり好んでいないレオポルドにとっては帝国式の宴席よりもずっと居心地良く感じられた。

「閣下。こちらはアーウェン王国軍准将のライカーネン卿です。無愛想ですが良い男です」

 ヴィエルスカ侯が紹介したのはネルゼリンク卿の隣に座った背の低い初老の男だった。酒樽に手足を付けたようなずんぐりむっくりとした体形で、やはりアーウェン士族らしく黒々とした髭を長く伸ばしている。むっつりと機嫌悪そうな表情のままレオポルドと目が合うと少しだけ頭を下げた。

「准将は私の妹婿です。今度の戦争ではアーウェン軍を率います。ライカーネン卿は閣下の指揮に従います。ご自分の手足のように使って下さい」

 聞いたところによるとヴィエルスカ侯は従軍する多くの士族たちに軍資金を援助してやっているという。

 ヴィエルスカ侯の協力なくしてアーウェン軍の動員は成らず、レオポルドは頭が上がらない思いであった。

 もっとも、帝国やサーザンエンドとの関係改善を図ることにより、アーウェンの自立を維持し、自領で産する銅の流通の停滞を避けることはヴィエルスカ侯にとって重要な目的である為、両者の利害はある程度共通している。

「ところで、帝国軍本隊の動きはどうなっているのでしょうか」

 帝国政府と疎遠なアーウェン諸侯は帝国本土の動向に疎く、いくらかでもレオポルドから帝国本土の情報を聞きたいのだろう。

 一方、レオポルドは帝都に住む親族や知人や常駐させている配下から様々な情報を手に入れられるのだ。それどころか、レイクフューラー辺境伯領に駐在させていたハルトマン少佐は未だ退去させられることもなく、定期的にフューラーの情勢を書いた手紙を送ってきているので、フューラーとカロン島の情勢もある程度知ることができていた。

 レイクフューラー辺境伯はハルトマン少佐との間の通信を監視しつつ黙認しているのだろうとレオポルドは考えていた。

「帝国軍本隊は春頃に帝都を発つ予定のようです。皇帝直轄の五個軍団の他、マドラス公、アーヌプリン公、ネイガーエンド公といった有力諸侯の軍勢も加わり、総勢は一〇万にも及ぶとか。総司令官はルシタニア公ですが、実際の指揮は近衛長官のクロジア辺境伯が執るでしょう」

 ルシタニア公は皇族の長老であること以外には特筆すべきことのない凡庸な老人であり、ここ最近は健康状態も宜しくないと聞かれる。それでも十数人もの有力諸侯と一〇万に及ぶ軍勢を統率する皇帝の名代として極めて高い地位の人間が必要ということで、引き摺り出されたのだろう。

 近衛長官を務めるクロジア辺境伯カール・フランクス・スタックホルン大将は長い軍歴を持つ経験豊かな帝国陸軍の長老である。

「帝国軍北軍は二個軍団及びクリストフ侯、ラクリア地方の諸領主の兵から成る三万の軍勢で、こちらも雪解けと共に動き出す予定とのこと」

 帝国軍の別動隊の一つである北軍は蛮族が支配する地である帝国北東部アクセンブリナを避けて、フューラー領の北西部に侵攻する。

「帝国軍本隊は夏前にはフューラー西部国境を越えると思われます。我々もそれまでには南部国境に至りたいと考えております」

 サーザンエンド・アーウェン・レウォントの兵から成る南軍は合計二万程度で、南からフューラーに攻め込む。

 帝国は夏までに西、北、南の三方からフューラー領に同時侵攻する計画であった。帝国東部全域を戦場とする極めて壮大な戦略と言えよう

 地図で見れば単純明快な計画であるが、各軍の間隔は早馬を飛ばしても連絡に一週間程度を要するほど離れており、連携を保つことは極めて困難である。

 その上、大軍である帝国軍の動きは隠しようがなく、その動きはレイクフューラー辺境伯には丸見えに違いない。

 ということは、フューラー軍としては帝国軍を国境線の要塞で足止めし、兵力を可能な限り一つの戦域に集中させることが可能であろう。

 それを踏まえて、レオポルドはフューラー軍の動きを解説した。

「フューラー軍は北部と南部の国境には足止めの兵力を残し、主力は西部国境に向け、帝国軍主力の撃破を図るでしょう。西部国境には強力な要塞がいくつもあり、帝国軍はその攻囲に多くの兵力を割かざるを得ず、全軍でもってフューラー軍を迎撃することは不可能でしょうな」

「フューラー軍の兵力は如何程ですかな」

 少し離れた席に座っていた厳めしい顔つきのアーウェン士族が尋ねる。

「ニコラフ・パデレフ将軍です」

 すかさずネルゼリンク卿が言う。

「銀猫王の兵と合わせても五万はいかんでしょう。各地の守備隊を差し引くと主力は四万に届かないくらいかと」

 レオポルドの言葉にアーウェン士族たちは顔を寄せ合って話し合う。

「帝国軍本隊は要塞の抑えを引いて七万か八万。となると倍の軍勢と野戦をやる気か」

「カロンやフューラーの兵が如何程の強さか知らんが、反乱軍の勝算は薄そうじゃのう」

 レオポルドはアーウェンの言葉には疎かったが、なんとなく何を話しているのかは予想できた。

 彼も概ね同じような見解を持っていたが、レイクフューラー辺境伯領に駐留するハルトマン少佐は違った意見を書き送っていた。

 銀猫王国継承戦争を戦い抜いたカロン軍は精強である他、帝国軍が編成などに手間取っている間、国境線の要塞は極めて強化され、大規模な演習が繰り返されているという。

 その上、全軍を指揮するカロン島の若き女王キスレーヌは野性的な直感を持つ大変優れた指揮官で、カロン島では畏怖され魔女とまで呼ばれているらしい。

 レオポルドとしては少佐が評価する通り、カロン・フューラー軍が予想外の強さを見せ、万が一にも帝国軍本隊が敗れた場合に拙い立場に置かれるのは避けたいところである。

「私としては帝国軍本隊と十分に連携して行動したいと思っております」

 つまり、帝国軍本隊の動きに倣うというわけである。更に言うなれば、本隊のフューラー領内への侵攻に合わせて進軍するということであり、それまでは軍を動かさないとも言えよう。

 前述した如く、帝国軍の各軍の間隔はあまりにも離れている為、総司令官がレオポルド軍に指示を与えたとしても、それが伝わるのは何日も経った後であり、それに従っているか確認するには更に日数を要する。

 というわけで、レオポルドは西部国境の戦況を眺め、戦況の変化を見てから次の行動に移る方が得策だと考えているのだ。

「なるほど。それは賢明ですな」

 レオポルドの発言の真意を察したヴィエルスカ侯も同意する。

 実際のところ、彼らは戦争に乗り気ではなく、できる限り流血を避けたいのだ。自軍が損耗すればそれだけ余分に金がかかるのだから。

 また、行動の遅滞を責められたとしても本隊に行動を合わせるという戦略に則った行動であると言い訳もできよう。

「しかし、レウォント方伯はどう動きますかな」

「おそらく、我々の目的を妨げるような行動はしないでしょう」

 パデレフ将軍の懸念にレオポルドは楽観的な見解を示す。

 方伯の妹であるリーゼロッテが語った優柔不断で決断を避けるという人物像からすると、サーザンエンド・アーウェン軍を押しのけて先頭切って敵陣に攻め入るといった大胆な行動に出るとは考え難い。

「我々は悠々と東海を眺めながら事の成り行きを待てば宜しいのです」

 レオポルドの言葉にアーウェン士族たちは揃って満足げに頷き、まだ見たことがない海という巨大な水たまりについて語り合った。

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