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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

骸を呑む

作者: 虎月
掲載日:2026/01/11

永遠の誓いじゃなく呪いをかけてくれ。


Twitter一次創作殺伐百合投稿企画「殺伐感情戦線」第98回「青」に投稿したものの再録になります。

元ツイ:https://x.com/i/status/1505424944561201157


 突然だけど、付き合っていた恋人が死んだ。

 彼女は、生前からなりたがっていたダイヤモンドになった。今の私の手元には、三粒のブルーダイヤがある。

 その為だけに貯金全部使ったのかなぁ、と思いながらきらきらとした青色を眺めていると、なんだか無性に腹立たしくなってしまった。

 炭素の塊のダイヤなんて、燃えてしまうし、割れてしまうのに。

 永遠になんて、なれないのに。

 そうまでして、永遠であろうとする姿が腹立たしくて仕方なかった。

 口癖のように言っていた言葉を思い出す。貴女の中に残っていたい、死んでも、ずっと綺麗なままで。

 記憶の中の彼女に、いっそもう一度殺してやろうかなんて物騒な思考すら湧いてくる。もう死んでいるというのに。骨ではなく、物言わぬ石の姿になって。

 確かに私は彼女を愛していた。愛していたとも。病める時も健やかなる時も彼女のことを愛します、なんて誓った仲だ。けれど、それとこれとは違う。人間である以上、腹が立つこともあれば憎いと思う時だってあるわけで。

 一人間風情が、アガペーなんて持っていられるわけがないのだ。

 永遠なんて打ち砕いてやる。

 そんな決意の元、ハンマーを持ち出した。ダイヤは割る事ができる。サファイアやルビーよりも、靱性という点では脆いのだから。

 笑えよ。私がどれだけ愛していたのか思い知ればいい。死んで美しい永遠になるなんて、私が許さない。老いさらばえていく肉塊になってでも、私の傍にあればよかった。それだけの費用があるなら、一緒に旅行にでも行って、思い出でも作って、永遠に美化させていけばよかったのに。そうすれば死んでもずっと綺麗なままだ。人間の脳の脆弱性を見てみればいい。記憶は可塑性がある。あの時の貴女は誰よりも美しかったと反芻させて、反復させて。そうして、私の一生を縛ればよかったのだ、貴女は。

 振り上げれば、永遠は一瞬で粉になった。

 一つ、二つ。一番綺麗な三つ目は──振り下ろそうとしても、そこから先が踏み出せない。

 諦めて、溜息混じりにきらきらとした青い粉を集める。

 愛してる?と疑問が聞こえた気がした。ああ、愛している。愛しているとも。

 私の永遠。呪いの青。美しい鉱物となった恋人。

 こんなにも愛しているんだから、私を呪えよ。ついでに臓腑に突き刺さって、抜けなくなってしまえ。

 そんな思いで、硝子片のようにも見えるそれを清酒に混ぜる。透明な砂が、光を散乱させている。

 馬ァ鹿。と嗤って、私はそれを飲み下したのだ。


お読みいただきありがとうございました!

お題:青に絡めて遺骨×ダイヤ×糖里掺玻璃(意味:砂糖にガラスの欠片が混ざっている)って感じの短編です。いや私の百合はいつも砂糖にガラスの欠片を混ぜ込んでるんですが。

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