勘違い(2)
「セシリアは…俺の事が…その…好き、と言うことか?」
「え…?」
(私が…アーヴィン様を…?好きになってはいけない人だからそんなこと考えたことなかった…でも…)
セシリアは今までアーヴィンがしてくれた事を思い出し自分の気持ちに気付いた。
「そうか…私、アーヴィン様の事好きなんだ…」
セシリアはポツリと呟く。
アーヴィンは目を見開く。
「本当に?本当に俺の事が好きなのか?」
「は、はい…でも私は偽ってここに嫁いできました。アーヴィン様を好きになる資格は無い…」
「そんな事考えなくていい!それはセシリアの家族に言われて無理矢理だったのだろう?俺は…俺もセシリアの事が好きだ。」
「え…っ、ほ、本当ですか?」
「ああ。というか周りの人達は分かっているのに何でセシリアだけ俺の気持ちが伝わっていないのか…。」
「ご、ごめんなさい…私は好きにならないと言われたのでてっきり演技だと思ってて」
「そうか…俺が最初に言ってしまったからか…。でもこれで俺の気持ちを理解しただろう?」
「アーヴィン様は私の事が好き…?」
「ああ、セシリア。君の事が好きだ。」
「アーヴィン様…私もです。アーヴィン様が好きです。」
アーヴィンはセシリアを抱きしめた。
「嬉しいよ。セシリアが好きと言ってくれて。実はファネットではないと早くから気づいていたから婚姻届は提出していないんだ。だから君と最初に交わした約束も無効、離縁する話も無しだ。セシリアはずっとここにいていいんだよ。」
「私、本当にここにいていいんですか?」
「ああそうだよ、君は孤独じゃない、この家に居ていいんだ。俺がずっと側にいる。」
「嬉しい…アーヴィン様とこれからもずっと一緒に居られるなんて。ありがとうアーヴィン様。」
セシリアはアーヴィンの背中に手を回しぎゅっと抱きついた。
「もう絶対に離さないからね。」
アーヴィンは満足そうに笑みを浮かべながらポツリと呟いた。




