喧嘩…?(2)
「セシリアがソクラテスの事を好きになってしまうんじゃないかと思っていたよ。そうなったら…ソクラテスには執務をやめてもらって残飯処理に異動させるか…国外への異動も考えていたよ。仕事が出来るから痛手だが、セシリアを取られるくらいなら喜んで異動手続きする所だった…」
(ソクラテス居なくなったらアーヴィン様の普段物凄くなりますよ…)
セシリアは苦笑いをするしかなかった。
「誰が残飯処理だ…」
「ソクラテス!」
いつの間にか部屋にソクラテスが入って来ていた。
「ソクラテスちょうど良かったわ!こっちへ来て!」
セシリアはソクラテスの手を握りながらアーヴィンの所に行く。
不意に手を握られたソクラテスはドキッとしてしまうがそれを見ていたアーヴィンは物凄い表情で2人を見る。
「アーヴィン様!」
アーヴィンもセシリアに手を握られ、鬼のような表情から一変し、周りに花が咲いた様に喜ぶ。
「さぁ!仲直りするなら今です!」
セシリアは繋いでいた手を離し、どうぞと2人の手を繋ぐ。
「セシリア…これは…何?」
セシリアによっていつの間にか手を繋いでいたソクラテスとアーヴィンは顔が引き攣る。
「喧嘩してしまった時は早めに仲直りしないとタイミングが合わなくなって仲直り出来なくなっちゃうから、タイミングは今じゃないかなって…ってあれ?違いました?」
アーヴィンとソクラテスは目を丸くさせてセシリアを見ていた。
「喧嘩…?そんなものしてないが。」
「奥様…私は喧嘩出来る程の立場ではないですよ。」
「え!?私の勘違い?は、恥ずかしい…ごめんなさい聞かなかった事にして…」
真っ赤になった顔を手で覆い隠すセシリアを見て2人は目を合わせ笑っていた。
「いや、気を遣ってくれたんだろセシリア?ありがとう。」
「そうですよ奥様。お気遣い感謝しております。」
「そ、そう…なの?それなら良かった…。」
「まあ、残飯処理は許せませんけどね。」
「私のものに手を出すつもりなら厭わないが?」
「私が有能だから本当は異動なんてさせたくないのでは…?」
2人は笑顔で睨み合う。
そこ横でただただ傍観しているセシリア。
(やっぱり喧嘩してるじゃない…)
「さぁさぁ2人とも!お仕事開始しましょ!」
パンパンと手を叩いて2人の気を逸らし、ニコッとと笑うセシリア。
「お仕事終わってから喧嘩して下さい!」
アーヴィンはクスッと笑う。
「私の妻は頼もしいな。」
「ええ、本当に素晴らしい奥様です。」
ソクラテスも少し微笑んだ。




