捜索(2)
「それより怪我はないのか?!どこか痛むか?」
アーヴィンはセシリアの体に怪我がないか確かめる。
「実は…足を捻ってしまったようで立つことが出来ないんです。」
セシリアの足首は腫れ上がっていた。
「これは1人じゃ起き上がれないな…応援が来るまで待とうか。」
アーヴィン様は私の隣に座った。
「メイドの子、大丈夫でしょうか…全然起きないんですが…」
「ああ、息はしているようだから脳震盪を起こしたのだろう。」
「お仕事止めさせてしまいましたね…」
「これくらいなんてことない。セシリアが仕事手伝ってくれたお陰でかなり捗っている。」
「良かった…少しでもお役に立てて。」
セシリアがホッとした顔をする。
「少しじゃない。かなりだ…君の聡明さには感服だ。」
「旦那様〜!!只今到着しました!」
上からソクラテスの声が聞こえた。
「良かった…。これでメイドの子も手当て出来そう!」
「メイドよりもセシリアは自分の心配をしなさい。足怪我してるんだろ?」
「そうでした…。」
「ミサ、メイドを連れて行け!ソクラテス、ロープを下ろしてくれ!セシリアと上に上がる!」
「承知しました!」
ミサは軽々とメイドを抱き上げて上に登っていく。
(ミサ!?同じ女性なのに力持ち…ミサって一体何者!?)
「さぁ、一緒に行こうかセシリア。嫌かもしれないが背中に乗ってくれ。」
(お、おんぶ…!?恥ずかしいとか言ってられないよね…)
「わ、分かりました。失礼します!!」
セシリアはアーヴィンの背中に乗って2人でソクラテスのいる所まで登っていった。
「皆さん、本当にご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
セシリアは謝罪をするとアーヴィンは頭をポンと触る。
「セシリア、謝るんじゃなくてここは感謝を伝えろ。」
「感謝…?」
「そうだ。」
皆の顔を見ているとホッと安心している表情をしていた。
「アーヴィン様、それに皆様本当にありがとうございます。」
皆は笑顔で『無事で良かった』と答えてくれた。
(こんなに温かい人達ばかりの場所があるなんて…本当にヴェリエール家に来れて良かった。)
セシリアは温かい気持ちに包まれた。
「セシリア、怪我の手当てをしに行こうか。」
「は、はい!」
アーヴィンはセシリアを抱き上げて屋敷まで歩いていく。
(お、お姫様抱っこ!?おんぶもだけどこれも恥ずかしい…)
周りの人達はニマニマと温かい目で見ている。セシリアは恥ずかしさのあまり両手で顔を隠した。




