正体(1)
ーーーー次の日ーーーー
日の光が差し、その明るさで目を覚ますセシリア。
「んーーーー、よく寝た…。ふかふかのベッドが寝心地良すぎて幸せ…」
ふかふかのベッドにまた顔を埋めて気持ちよさを堪能している。
「奥様、その態勢だと二度寝してしまいますよ。」
「ミサ!?いつからいたの?」
「奥様が起きた時からです。さぁ、起きて朝食を取りましょう。旦那様がお待ちです。」
「え!?また一緒に食事をするの?!」
(昨日も食事を一緒にしたのに今日も!?あまり会う事はないと思ってたのに…なんで?!)
「奥様、旦那様がお話ししたい事があるそうです。」
「話したい事…?分かったわ。」
(どうしよう…入れ替わりがばれてしまったのかしら…それとも契約変更とかかしら…)
セシリアはドキドキしながら部屋へと向かった。
部屋に着くと、先にアーヴィンが席に座っていた。
「ア、アーヴィン様おはようございます。お待たせして申し訳ありません。」
席を立ちスタスタと此方へ向かってくるアーヴィン。
「おはよう、待っていたよファネット。さぁ、此方に座って。」
アーヴィンは自分の隣にセシリアを座らせた。
セシリアはかなり困惑していた。普通なら向かい合わせで座るはずなのに隣に座れだなんて…。
「実は…貴方に言いたい事があるんだ。」
「私に…ですか?」
「ああ。」
アーヴィンは真剣な表情をしていた。
「率直に言おう。貴方はファネット嬢では無い。そうだろう?」
「……え?…」
(な、なんで…バレちゃったの…?バレてしまったら私はあの家に連れ戻されてしまうの…?また…またお仕置きされる日々…きっと物凄く怒られて酷い扱いを受けるかもしれない。いや、それよりも騙してしまった事で私は罰が下るんだ…)
セシリアは手が震え始めた。
「すまないが、貴方の家の事も、貴方自身の事も調べさせてもらった。貴方がボロボロの服に救急箱1つで来た時から不審に思っていたんだ。」
(どうしよう…アーヴィン様を騙してしまったからきっと凄く怒ってしまう。あんなに優しくしてくれたのに…私はなんて酷い事をしてしまったのだろう…)
セシリアはうまく喋られずにただただ体が震えるだけだった。




