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プロローグ
「ねぇ、セシリア…また何処かに1人で行こうとしてる?1人は危ないから俺も一緒にって言ったでしょ…?」
今、何故か私はアーヴィン様に壁ドンされている。
「え…いや、アーヴィン様、私着替えに行くだけなんですけど…。」
昨夜はアーヴィンの寝室で一緒に寝ていたセシリア。自分の部屋に戻って着替えようとしているだけのセシリアにアーヴィンは抱きつきながら吐露する。
「またセシリアが1人でこの家を出ようとしてるなら…俺はセシリアを抱えてこの窓から飛び降りちゃうよ。」
ゾッとするセシリア。
「ま、待って下さい。もうどこにも居なくならないです。ただ着替えを…」
「そう良かった…。もう何処にも行かないでね。」
ギュッと更に力を強めて抱きしめるアーヴィンの顔は何処か不気味さもある笑顔だった。
「あ、あはは…」
セシリアは引き攣った笑顔で笑う。
(これ…契約結婚ですよね?なんで…あんなに冷たかった侯爵様がこんなに愛が重くなってるのー!?)