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寒中水泳

作者: 柴犬






 雪が降っている。


 フワフワと。


 フワフワと。


 風に流されながら。




「雪だ」

「雪だな」

「雪~~」



 うん。


 僕と兄さんと妹は空を見上げながら呟いた。


 

「雪だるま」

「雪うさぎ」

「かまくら」

「スキー」



 次に冬でやる遊びの定番を上げる。

 というか我が家でやる冬の遊びなんだが。


「兄ちゃん」

「あんだよ弟」


 僕はブルブルと震えながら兄に声をかける。

 因みに、ここは近隣の川です。

 ええ。


 なんで冬に此処にいるのか意味不明です。


「他に冬の遊びの定番は何だっけ?」

「スケート」

「スケート場に行けばいつでも出来るのでは?」

「……一応寒いし冬のイメージが有る」

「そうやね」


 言われてみれば確かに。


「他は有ったかな?」

「え~~と」


 兄は考え込む。

 うん。

 他の定番は……。

 有ったかな?


「ちい兄」

「妹よどうした」


 妹が僕の脇腹を突いて呼ぶ。

 妹の方を見たら……。

 うん。


「寒いよ」


 スク水着た妹は唇を青く染め震えていた。


 真冬で水着だから当然だ。


「僕も寒い」

「俺も」


僕はトランク型


 因みに兄は水着……。

 ブリーフだ。

 黒い。



 兄……モッコリさせてるのはワザとか?

 いや。

 この寒さに生存本能が芽生えたのだろう。


 うん。


 

 それはそうと……。





 寒中水泳という行事を知ってるだろうか?





 日本では、千葉県館山市の北条海岸。

 神奈川県相模原市の相模川に架かる高田橋。

 静岡県熱海市の熱海サンビーチ。

 沼津市の千本浜。

 関東地方を中心として多く行われる行事のことだ。

 成人男性は競泳水着かふんどし。

 もしくは全裸。

 成人女性は競泳水着。

 子供は女子は競泳水着かスクール水着。

 男子は全裸で出場するのが一般的だ。

 また大学の水泳部や古式泳法の団体が主催する寒稽古の一環で行われることがある。

 和歌山県田辺市や香川県などでは、新春初泳ぎと称して年始に寒中水泳が行われることがある。



 うん。


 何が言いたいか?



 我が家で真冬の遊びをやり尽くした先。

 やってない遊び。

 というか行事。


 それをやろうと言い出したのだ。


 僕以外の兄と妹が。



 意味不明です。


 ええ。


 多分アレだな。



 好奇心でやりたい。


 だけど一人でやりたくない。




 だから巻き添えを増やそう。



 増やしたは良いが……。


 今更やりたくないとは言えない。



 そんな感じだろう。



 他の兄弟を巻き添えにしたから。



 意味不明です。

 というか兄と妹はいつものことです。


 それに巻き添えにされる僕は良い迷惑です。


 ええ。

 


「寒中水泳するぞ」

「おお~~」


 

 ジト目で二人を見たら目を逸らしたよ。


 おい。



「頑張れよ~~」

「ガンバ」


 因みに、ここまで両親が自動車で連れて来てくれました。

 寒いから。

 流石に外で水着に着替えれないしね。



 というか……。


「父と母よ」

「「なんだ?」」

「寒中水泳する我が子を止めないので?」

「「応援する」」

「なんで?」

「「健康のため」」

「なるか」




 両親。

 止めろよ。



 普通に風引くは。

 というか死ぬ。



「それでは寒中水泳するぞ」

「「お~~」」


 


 そうして兄の合図で寒中水泳をしました。



 ザブンと川に入り泳ぎました。


 ええ。




 ところがだ。


 予想に反して川の中は温かい。


 寧ろ外より快適な具合です。




 川の中を泳いで行く僕。




 ああ。


 気持ちいい。


 気持ち良いな~~。



 顔を上げ平泳ぎに変える。



 先程まで良く見てなかったけど……。


 綺麗な川だ。



 景色もいい。



 赤い花が対岸に沢山見える。



 良いな。


 この景色良いな。



 また寒中水泳してもいいか。




 ふむ。


 



 検討するか。






 気がついたら白い天井を見ていました。

 見慣れない天井を。



 

 病院の天井を。


 あれ?


 

 

 後で聞いたら僕は川に飛び込んですぐ気絶したらしい。

 


 じゃあ……。


 あの川は一体?

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― 新着の感想 ―
しいなアワードから来ました(*´Д`*) はちゃめちゃな寒中水泳の様子が、最後の一言で一変するのは、ある意味ホラー(`・ω・´) 面白かったです!!
[良い点] 柴犬さまの縦長の作風が活かされている作品だと思いました。 前半のバカなやりとりに、急展開の後半にも笑わされてしまいました(*´艸`*) 『〜ました』という語り口もこの作品のノリにすごく合…
[良い点] 前の企画参加作品と違って作者様特有の書き方が作品への関心を高め、どうなるんだ? どうなるんだ? と、どんどん作品の中に引きずり込まれました。 あと寒中水泳をやっている人(団体)たちの紹…
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