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彼方からのお土産

作者: 須磨 大吾

暗黒の荒野を一隻の宇宙船が進んでいく。

通信も届かない辺境だ。海賊さえ現れない。

船は型落ちのオンボロだ。民間会社のロゴが横腹に描かれている。

船内は荒れ果てていた。狭苦しい通路は貨物線特有の構造だ。

どうせなら水の一滴、砂の一粒でも多く積んだ方が金になる。

そこら辺は従業員も分かっていて部屋でも出来る暇つぶしは必須となっていた。

だが今、船内は荒れ果てている。

壁には弾痕が刻まれ非常灯だけが足元を照らしていた。

通路の影で人影が蹲っている。

手には護身用の銃が握られていた。

脇の摘みを操作することで威力を変えられる仕様になっている。

全力で放てば船の外壁にも穴を開けられる筈だ。

もちろん今は出力を抑えてある。

コレなら人体だけを貫くはずだ。

男は涙を溢した。コレまで順風満帆な人生を歩んできた訳でも無い。其れは同僚達も一緒だ。

運が悪かっただけ。とは言えない。自分にも問題はあった。

嫌な事から直ぐに逃げ出し人のせいにする。

だから、こんな怪しい会社に勤める羽目になった。

境遇が同じだからか其れなりに話は合った。

当然、其れは深い所には踏み込まないと言う暗黙の了解あったの物だ。

可笑しくなったのは怪しい資源惑星で怪しい荷物を受け取ってからだ。

コンテナを積み込んで直ぐに出発した。

港を出てから暫くは何事も無かった。

だが仲間の一人が突如、狂い出した。

「この中にQに寄生された奴がいる」

そう叫ぶと銃を乱射し出した。

何とか被害を出さずに鎮圧したが仲間内に暗い溝を残した。

Qとは悪名高い寄生生物だ。

人の脳内に寄生し卵を産み付け増えて行く。

日常生活は支障無く行えて居るのが厄介だ。

気付いた時には数万の人が犠牲になって居た例もある。

見分け方は幾つかある。尿の成分を確かめるのが一番、分かりやすい。

其れから混乱は拡大していった。互いに武器を向け合い怒鳴り合った。

銃声が聞こえ頭の上で何かが弾けた。

背後を振り返ると仲間の一人が立って居る。

背後に向けて銃を打ちまくる。

その内の一発が頭を吹き飛ばした。


更に一月が経った。もう船の中で生きて居るのは自分だけだ。

目的の港が近づいて来る。

アラームが鳴った。通信が届いた証だ。

通信機を耳に当てた。

所属と目的を問われる。

会社の名前と識別番号を告げた。

既に届けは出してある。

程なくして入港の許可が出た。

その瞼から落ちる物があった。涙では無い。白く丸い粒だった。

其れがとある寄生生物の卵だと知る者は少なく無い。

溢れるほどだと言う事は頭の中は全て卵に埋め尽くされて居るだろう。

関税を抜けさえすれば後は好きに広がる事が出来る。

港が近づいてきた。



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