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3話 俺は超絶美少女をスーパー銭湯に誘う

 俺はリュックサックを背負い、下を向いて落ち込んでいる、超絶美少女女子高生店員の耳元で、こう囁いた。


「外で待ってる……」

「えっ……?」


 俺は制服のポケットに手を入れて、店を出た。


 店を出た俺は、少し離れた路上でしゃがみ、彼女が来るのを待つことにした。


 しばらくすると、制服姿の彼女が店から出てきた。

 俺は立ち上がり、彼女に声をかける。


「よっ……」

「え……えっと……先程は本当に申し訳ございませんでした……」


 彼女は俺に深く頭を下げて謝ってきた。

 俺は彼女の肩をポンと叩いて、「頭を上げてくれ……」と言うと、彼女は落ち込んだ顔で頭を上げた。


「さっきのことは全然気にしてないから……えーと、名前なんだっけ? ゆり……? ゆみ……?」

「ゆ……優衣です」

「あっ、優衣さん、か……。なあ、優衣さん……」

「はい?」

「そのー、優衣さんがよければ、これから一緒に……スーパー銭湯に行きませんか?」


 優衣さんをスーパー銭湯に誘ってから、俺は思った。


 な……何言ってんだよ!? 俺! 

 さっき初めて優衣さんと出会ったのに、これから一緒にスーパー銭湯に行きませんか? って……うん。普通に考えてヤバい奴すぎるだろ! 俺!


 俺は自分できまづい空気を作り、自分できまづいと思ってしまった。

 じっと俺を見つめている優衣さんに、俺は苦笑いをして、冗談で済ませることにした。


「ア……アハ、アハハハハハ……。な、なーんてじょ――」

「い、行きましょう! スーパー銭湯!」


 優衣さんの返事を聞いた俺は、高速で何度もまばたきをしてしまった。


「えっ……今、なんて……?」

「えっ……行かないんですか? スーパー銭湯……」


 こいつ……マジか……!?


 どうやら俺の聞き間違いではなかったようだ。


 それにしても何故だ? どうして優衣さんは俺の誘いに乗ったんだ?


 俺は頭をフル回転させて……一つの考えを導き出した。


 それは――


 優衣さん……多分俺に惚れてるんだ! だから俺の誘いに乗った……うん! 絶対にそうだ! これなら俺の誘いに優衣さんが乗った辻褄が合う! アハハハハ……! アーハハハハハハハハハ……! わーかっちゃったー! 俺……わーかっちゃったー!!


 俺は優衣さんに仏のような顔で話した。


「左様ですか。では、スーパー銭湯に参るとしましょう」

「だ……大丈夫、ですか?」

「はい。問題ありません」

「そ……そうですか……。なんか頭とかおかしかったら、私に言ってください」

「お気遣いいただき感謝いたします」

「ほ……ほんとに大丈夫ですか? さっきと比べて、だいぶ別人になってますけど……」

「お気遣いいただき感謝いたします」

「ほんとに大丈夫ですか!? 病院に連れて行きましょうか!?」

「……お気遣いいただき感謝いたします」

「……ダメかも」





「あ~、いい湯だなぁ……」


 気がつくと、俺は優衣さんとスーパー銭湯の前で立っていた。


『ん……? あれ……?』

『ほんとに大丈夫なんですか?』

『えっ……何が?』

『……言わなくなった』

『ん……?』

『さっきまであなた、私が大丈夫ですかって聞くと、お気遣いいただき感謝いたしますしか言わなかったんですよ』

『…………アハハハ……アハハハハハハハ! 何言ってるんですか? 優衣さん。俺がそんなこと言うわけないですよ。アハハハハハ……! 面白い人ですね。優衣さんって……』

『いや、ほんとにさっきあなたは――けど、よかった。普通に戻って……』


 優衣さんは俺に笑みを浮かべながら、そう言ってきた。


 優衣さんとスーパー銭湯に着くまでの記憶が思い出せないのは、今日一日いろんなことがあったから、疲れて頭がぼーっとしているからなのか? 


 俺は足りない頭でせいぜい考える。


 ……うん。きっとそうだ。

 

 だって俺は――優衣さんが俺に惚れているのを覚えているからな!

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