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群青の嘘  作者: 伊田夏生
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嘘吐きな君へ

 その後、吉川さんの両親は逮捕されてしまった。吉川グループは一度は経営不振になったものの外部の人間が社長になり持ち堪えたようだ。

 リュウセイくんは、お姉さんと暮らし始めた。両親と一緒に暮らせる日を夢見て。そして、公立の小学校に転校して友達も沢山出来たよと僕に手紙を書いてくれた。

 お姉さんは大学を辞めて、知り合いのカフェで働いている。どうやら、その知り合いが本当の彼氏になったという噂も聞く。

 そして、僕の教え子達は、毎日、違う子が中学校へ遊びに来てくれる。正直、毎日来られたら仕事にならないし、迷惑だなと感じる時もあるが、君達が幸せそうに笑うから、君達の話を聞きたくなる。これが、愛おしいという感情なのだろうか?まさか、結婚も自分の子供もいないのにこんな感情を知るなんて思ってもいなかった。

 そして矢沢くんは、高校でも生徒会に入ったそうだ。どうやら、優しい性格だから、春山くんの次に女子にモテているらしい。僕の所には、あれから、リュウセイくんの手紙を届けることを口実に一番良く来てくれる。


 そして最後に、君とのことを話さないとね。君は仲間外れだとか差別だとか言いそうだから。

 

 吉川輝星。僕はこの名前を一生忘れないだろう。彼女は、名前の通り一番星のようにキラキラ輝いていた。そのくらい多くの人の目を惹く何かがあった。だから、彼女はクラスの人気ものになれたんだと思う。しかし、まるで流れ星のように一瞬で死んだ。

 ヨシカワキララ。最初からこの生徒に出会わなければ。違う、僕がもっと早く彼女を気にしてあげていたら。でも彼女は世界一の嘘つきだ。だからきっと誰も気付けなかっただろう。いや、彼女を嘘吐きにさせたのは、僕みたいな駄目な大人のせいだ。これ以上下手な言い訳をしても仕方ない。彼女の望みはきっと僕達が笑顔でいることだ。彼女の両親は酷い両親だった。それでも彼女はそんな両親の笑顔が好きだったはずだ。だから、これ以上君の家族に関わらないようにするよ。僕は君の両親を一生許せない。感情的になって君の笑顔を奪ってしまうことはしたくない。

 大丈夫。君の友達は皆んな笑顔で暮らしているよ。きっと君の家族も、いつか笑顔で過ごせる日が来る。君が夢見た、憧れ続けた日が。

 僕はもう後悔しない。君がまたあっちの世界で笑ってくれるなら。自分の生徒達に出来ることは何だってする。君が教えてくれたんだ。教師という職業の素晴らしさを。

 君に話したいことはまだまだあるけど伝え切れないからもうそろそろまとめないとね。薄っぺらいかもしれないけど、他に思いつく言葉が出て来ないから、純粋な言葉を添えておくよ。


 「ありがとう。」

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